《2度目の人生を、楽しく生きる》16話 「出作戦」
「まずどうやって出するかだが、それは主に魔を使おうと思う」
「魔…ですか」
「あぁ、そこで皆が魔を使えるのか、それと何屬の魔が使えるかを知っておきたい」
もちろん全部俺1人でやってもいいのだが、人數が多い方が効率がいい。
「なるほど、私は水屬の魔を中級、風屬の魔を初級まで使えます。 あ、あと一応回復魔法もできます」
「ぼ、僕は土屬を初級だけだ」
「なるほど」
中級を使えるのはデカイな、それと何かと使える風屬と土屬があるのもいい。
聞いといて良かったな。
「えっと…あなたは?」
金髪のが俺にそう言ってきた。
あぁ、そう言えば俺はまだ言ってなかったな。
「俺は一応全屬を使える、そんで火屬が中級だ」
「なっ…⁉︎」
「ほ、本當ですか…?」
「あぁ。 よし、そんじゃあ自己紹介するか、俺はルージュだ」
期間限定だが一緒に出する”仲間”だ、名前ぐらいは知っとかないと不便だろう。
「私はアリスです」
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「僕はクリスだ」
「………」
なるほど、金髪のはアリス。
茶髪の男はクリスか。
茶髪のは何も言わない、警戒されてるのだろうか。
「おいクレア、自己紹介しなさい。 この人は僕たちを助けてくれる良い人だよ」
クリスが茶髪のにそう言う。 
茶髪のは急に笑顔になり。
「本當⁉︎ お兄ちゃん!」
「あぁ本當だよ、だから自己紹介しなさい」
「うん! あのね、私クレア!」
「クレアちゃんか、俺はルージュだ。 よろしくな」
「うん! ルージュお兄ちゃん!」
よし、これで全員の名前と得意魔法が分かった。
後は実行するだけだ。
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まずは牢屋を調べてみる。
壁は當然だがい、子供の力ではビクともしない。
1つだけある窓は小さく、そして高い場所にあるので無理だ。
最後に檻、めっちゃいが鋼で出來ている。
鋼なら出る事が出來るかもしれない。
「どうだ…?」
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「だ、大丈夫そうですか…?」
クリスとアリスが不安そうな聲を出す。
100%出出來ると言った以上、ミスは出來ない。
「あぁ、こんな檻余裕で出出來るよ。 安心しろ」
俺が上手く出來るか出來ないかでこいつらの運命が決まってしまうのだ。
俺も自由に生きると決めた以上、奴隷には絶対になりたくない。
だから、絶対に失敗は出來ない。
俺は両手で檻の一本にれ……
「熱手ヒート・ハンド…!」
手の溫度を急激に上げる。
そして魔力を込め、さらに熱くする。
魔は魔力を込めれば込めるほど威力が増すのだ。
「………よし、これくらい熱くすれば大丈夫だろ」
檻は十分熱くなったはずだ、ったら火傷では済まないだろう。
さて、熱したらすぐに次だ。
「よし、次はアリスも手伝ってくれ」
「…! はい、私は何をすればいいですか?」
「今俺が熱くした檻を、水魔法を使って一緒に冷ましてくれ」
「分かりました!」
「よし、んじゃいくぞ。 水流ウォーター!」
「聖水セイクリッド・ウォーター!」
俺は噴水程度の水、アリスは消防隊の放水かそれ以上の威力の水を出した。
さすが中級魔法だな。
「……檻、壊れませんね」
「いや、十分脆くなってるはずだ」
この世界の人達は科學の力を知らない。
だから熱した後に急激に冷やしたらどうなるのかを知らないのだ。
「これでこの檻から出れるぞ。 石弾ストーン・ショット!」
俺が石弾を1発撃つと、俺とアリスが冷ました檻はパキッと簡単に折れた。
「なっ…⁉︎」
「えっ⁉︎ なんで…」
クリスとアリスが驚いた聲を出す。
「熱した後に急激に冷やすと、鋼や鉄は脆くなるんだ。
よし、んじゃ出るぞ」
俺達は檻から出る事に功した。
隊列は前から俺、アリス、クレア、クリスの順だ。
俺は常に前を警戒しながら進み、アリスは橫を警戒、回復魔法を使えるので真ん中に、クレアは全員で守り、クリスは後ろを警戒する。
というじだ。
「……なんか、暗いですね」
「あぁ、そうだな」
アリスの言った通り、通路は暗く、壁に松明が差してあるだけだった。
俺はそのの一本を拝借した。
「どうやら、僕達以外に囚われている者はいないみたいだな」
「あぁ、だがもし見つけたらそいつらも助けるぞ」
「もちろんだ」
話しながら歩いていると、俺達が進んでいる方から笑い聲が聞こえてきた。
「靜かに…! 何か聞こえる」
俺は3人を黙らせ、耳をすます。
『いやぁ…しかし今日だけで4人も捕まえられるとは…』
『流石ですぜボス!』
『ははは! そうだろうそうだろう! 』
あ、あいつらの聲は聞き覚えがある。
俺を気絶させた奴らだ。
「お、おいどうするんだ…! あいつらの足音……僕達の方に向かってるぞ!」
「る、ルージュさん…どうしましょう…」
ここがあいつらのアジトである以上、遭遇する事はあるだろうとは思っていた。
だがこんなに狹い場所で、とは思っていなかった。
『よし、お前はガキどもの様子を見てこい』
『へいボス!』
ん? どうやらこっちに來るのは1人だけのようだ。
1人なら……いけるかもしれない。
「こっちに來るのは1人だけらしい」
「で…どうするんだ…?」
「そいつを倒す、そんであわよくば出口を聞き出す」
「なっ…無茶ですよ! 子供だけで大人に勝てるわけが…」
「なら、お前ら3人はさっきの檻に戻ってていい。
もし俺が負けて今來てる奴が檻に向かったら、お前達は「あいつが1人で逃げました」って言えばいい。
もちろん、俺が勝ったらお前らを迎えに行くから、安心してくれ」
正直、相手の能力が未知數だ。
だから勝てるかは分からない。
俺の無茶にこいつらを巻き込むわけにはいかないからな。
「時間がない、決めるなら早めに頼む」
「……私は…ここに殘って、一緒に戦います」
「いいのか? 勝てるか分からないぞ?」
「どっちにしろ、勝たないと出できないんです。 なら、人數は多い方がいいでしょう?」
「……助かる」
アリスはそう言って微笑む。
「ぼっ、僕も戦うぞ! こ、こんな所で…怯えてたまるか!」
クリスも手伝ってくれるらしい、だがクリスはアリスと違い、聲と足が震えている。
「ありがとう。 なら今から手短に作戦を伝える、よく聞いてくれ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「いやぁ…この商売は楽だねぇ」
通路の奧から男の聲と足音が聞こえてくる。
「ガキを捕まえて売るだけで大金が手にる…ククク…やめらんねぇぜ」
そう言う男の口はいやらしいほどニヤけている。
ピチャッ…
「ん…? 水…? もしかして雨りかぁ…?」
男の足元には水溜りがあった、そして男が上を向くと……
「なっ⁉︎ おまっ…」
「雷球サンダーボール‼︎」
男が上を向くと、そこには子供がいた、そして子供の放った雷球サンダーボールが男の下の水溜りに當たると……
「ぐああっ……!」
男のは痺れ、膝をついた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「よしっ! 今だ! 痺れてる間に土魔法で拘束しろ!」
俺達は男を痺れさせた後、クリスと俺の土魔法によって男の手足を壁に固定、そして口を土魔法で塞いで拘束した。
「ふぅ…なんとか上手くいったな」
「お兄ちゃん達凄いね‼︎」
「まさか水魔法と雷魔法にあんな使い方があるとは思いませんでした……」
「俺も聖水セイクリッド・ウォーターが電気を通しやすいとは思わなかったよ。
ありがとな。
聖水って普通の水とは違うんだな。」
聖水は俺は使う事が出來ない。
それを知れたのは、アリスが俺についてきてくれたからだ。
「クリスもありがとな、クリスが土魔法で天井に土臺を作ってくれなきゃ、俺は集中出來なかったよ」
「お、おう! 俺は言われた事をしただけだ!」
俺達が男を倒した手順はこうだ。
まずはアリスが通路に水魔法で聖水を出す。
そしてクリスが土魔法で天井の壁に土臺を作り、俺達全員が乗る。
最後に俺が男が聖水の上に立った瞬間に雷魔法で痺れさせる。
というじだ。
「さて……」
俺は拘束された男を見る、男は俺達を睨んでいた。
「お前に喋らす気はない、頷くか、首を橫に振るかで答えろ」
「んー! んー‼︎」
「まず1つ、このアジトにいるのは、お前ら3人だけか?」
男は目を逸らす。
答える気は無いってか。
俺は男の前で掌に小さな火の球を出す。
「むっ⁉︎」
「なぁ頼むから答えてくれよ、俺らの命がかかってんだ。
答えてくれなきゃ……」
火の球を男の頬に近づけ…
「お前の顔に一生消えない火傷を作らなきゃいけなくなっちまうなぁ……」
そう言うと男は怯えた顔をして、すぐに顔を縦に振った。
「そうか3人か、じゃあ次の質問だ。
俺達の荷はどこにある?
右にあるか、左にあるか、どっちだ?」
男はすぐに右を向いた、男が歩いてきた方向だ。
「よし、このアジトの部屋の數は? 俺たちのいた牢屋も含めて、1か?」
男は首を振る。
「2か?」
男は首を振る。
「3か?」
男は首を縦に振った。
なるほど、3部屋か。
俺達のいた牢屋と、こいつらの部屋、後は俺達の荷部屋と考えるのが妥當だろう。
……いや、まだ1つ可能があったな。
「このアジトに、俺達4人以外に誰か捕らえられているか?」
男は首を振った。
「よし、んじゃ最後だ。 このアジトの出口は右にあるか、左にあるか、どっちだ?」
男は首を右に振った。
「よし分かった、ありがとな」
「ルージュ、お前以外と容赦ないな」
「……ちょっと怖かったです」
「ははは……でもあぁしなきゃ教えてくれなかっただろうしな」
まぁ確かに子供から見たら怖かったかもしれないな。
クリスなんか途中からクレアの耳を塞いで俺の方を見ないようにしてたし。
「ま、とにかく出口の場所と荷の場所は分かった。
とりあえず先に荷を取りに行こう」
「あぁ」
「はい」
俺達は男が來た方向へと歩き出した。
先程の尋問で俺は男に恐怖を與え、質問に答えさせた。
だから噓をつくはずがないと思っていた。
俺は、あの男が噓をついているとは微塵も思っていなかったのだ。
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