《2度目の人生を、楽しく生きる》22話 「王都の人達」
「ルージュ、ルージュ‼︎ 起きて!」
「ん……んん…?」
「もう朝だよ、早く準備しなきゃ」
セレナにを揺すられ、俺は目を覚ました。
最初は寢ぼけていたが、時間が経つにつれ、だんだん意識が覚醒してきた。
まず、ここは宿だ。 俺とセレナは王都の宿に泊まっている。
「そっか、もう今日なんだな」
「うん、5年間必死に修行してきたよね」
そう、俺達は5歳の時からディノスとフローラに剣と魔を教わってきた。
それは全て今日のため……剣魔學園に學するためだ。
5年間、長いようで短かった。
俺が異世界に転生してから5年が経った、異世界で見た事験した事は全てが初めての事で、全然退屈する事はなかった。
「確か、學式は晝からだったよな」
「うん、だけどディノスさんは早めに行って校舎や敷地を見て回った方が良いって言ってたよ」
「そうなのか、んじゃ早めに出るか」
「うん!」
俺はワクワクしていた。
だって學式だぞ? 日本での學校生活は最悪だったが、この世界の人達は優しい人ばかりだ。
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もう中學の時みたいな事にはならないだろう。
…………ならない、はずだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「セレナまだかー?」
「ちょっと待ってー!」
俺は今廊下に居て、俺達の部屋の扉の前に居る。
中では現在、セレナが著替え中だ。
流石に男とが一緒に著替えるわけにはいかないので、1人ずつ著替えよう、とセレナが提案したのだ。
あれ? 男が一緒の部屋で寢るのもまずくないか…?
「おまたせ!」
セレナが部屋から出てきた。
セレナの服裝は、全的に青を基調としたきやすそうな服裝だ。
………きやすそうだが、スカートでもいいのだろうか。
俺の服裝は黒いズボンに赤い服を著てるだけだ。 
服裝だけならお互い日本に居てもおかしくはないだろう。
だが俺は背中に剣を、セレナは腰に細剣レイピアを刺している。
それだけで異世界が急上昇する。
恐るべし剣の威力……
「それじゃあ行こうか」
「お、おう。 確か剣魔學園は王都の東側だったよな」
「うん、そうだよ。 大きいから近くまで行くとすぐ分かるって言ってた」
「ほぉー、楽しみだな」
俺達は宿を出た。
宿代は既にディノスが払っていたらしく、宿屋のおじさんは笑顔で送り出してくれた。
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「ね、ねぇルージュ…本當に大丈夫かな? 私、周りから睨まれてない?」
「大丈夫だって、だからいい加減顔上げろよ、転んでも知らないぞ?」
さっきからセレナが何回も同じ質問をしてくる。
セレナは現在フードを被っていない。
それはつまり、エルフの特徴である耳を隠してないのだ。
実は昨日俺が奴隷商人に捕まってる間、セレナはディノスから 
「王都の人達の殆どはエルフでも関係なく接してくれるから、もう耳を隠す必要はないぞ」
と言われたらしい。
「うぅ…」
だがセレナ本人はこれだ。
恐怖で前を向く事が出來ないのだ。
まぁそれも無理はない、セレナはずっとドーラ村では耳を隠して生活していた。
なのに突然耳を隠さず人がいっぱいいる場所を歩けと言われたのだ。
怖くない訳がない。
「ふぅー……よし…」
セレナが深呼吸をする。
どうやら覚悟が出來たらしい。
セレナは勢いよく顔を上げ、前を見た。
「っ!」
セレナが一瞬で固まり、顔は怯えた表になる。
よく見ると小さく震えている。
俺はそっとセレナの背中をでながら
「大丈夫だ、ここはドーラ村じゃない。 誰もセレナをイジメたりしない」
俺がそう言うと、セレナの震えが止まる。
「ねぇあなた、顔悪いけど大丈夫?」
そこに突然、見知らぬお婆さん來て、セレナに聲をかける。
「え…あ…うぅ…」
これがお婆さんの善意なのは分かる。
分かるが、タイミングが悪すぎるだろ…
セレナがまた震え出しちゃったよ。
仕方ない、とりあえずは人が居ない場所に連れてって……
「合が悪いのかい?」
「…うぇっ?」
お婆さん待って。
今のセレナに追い打ちをかけないで!
お婆さんの右手がセレナの方にびる。
セレナの怯えた表を見るのはもう耐えられん、お婆さんには悪いがここは強引に連れてくしか……
「よしよし、何で怯えてるかは知らないけど、大丈夫だよ」
お婆さんはセレナの頭をでた。
最初はビクビクしていたセレナだったが、徐々に安心した表になっていく。
「あ、あの…」
セレナが小さな聲で言う。
「ん? なんだい?」
お婆さんはそれに優しい聲で答える。
「お婆さんは…怖くないんですか? 私はその……エルフで…その…」
それを聞いたお婆さんは、一瞬目を見開き、その後、突然んだ。
「今歩いている人達に聞きたい! この中に、この娘を怖いと思っている人はいるかい⁉︎」
お婆さんが歩いている大勢の人に向かってぶ。
お婆さん⁉︎ セレナはあなたに聞いたんですよ⁉︎
何で一般人に同じ質問してんの⁉︎
俺が恐る恐る一般人の方を見ると……
「あの娘って、エルフの娘か?」
「怖いわけないだろ」
「エルフを怖いって言う奴は変わり者か、いつまでも過去の事に怖がってる臆病者だけじゃの」
「だからさっきからあの娘は下向いて歩いてたのか」
「私達は怖がったりしないから、大丈夫よー!」
そんな聲が聞こえてくる。
それは若い男だったり、老人だったり、大勢の人達が、セレナを怖くないと言っている。
「え……」
セレナは信じられない。 とでも言いたそうな顔をしている。
「分かったかいお嬢ちゃん。 ここには、お嬢ちゃんを怖がる人間はいない。 今までとは、違うんだよ」
そのお婆さんの言葉は優しく、セレナを安心させるには十分だった。
「お婆さん、ありがとうございます」
セレナはお婆さんに深く頭を下げた。
俺も謝しておこう。 俺には、お婆さんみたいな事は出來ないしな。
「俺からも、セレナを安心させてくれて、ありがとうございます」
「ふふふ…いいんだよ。 若い子を見守るのが、私の生き甲斐だからねぇ」
そう言って、俺とセレナの頭をでた後、お婆さんは去って行った。
「さて、もう大丈夫だよな?」
「うん、ごめんねルージュ。 いつまでも怯えてて」
「おう。 よっし、んじゃ行くか」
俺とセレナは先程とは違い、堂々と、剣魔學園のある方角へと歩き出した。
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