《2度目の人生を、楽しく生きる》26話 「白髪の片手剣使い」

「マズイな、だいぶ出遅れてる」

俺は現在、風加速ウィンド・アクセルを使って森を移している。

風加速のおかげで普通の何倍も速く移できているが、まだ森は抜けられていない。

「……これは本當にマズイぞ…、急がねぇと」

このまま地面を走っても変わらない。

なら……

「地面はやめて、空から行くか。 目立っちゃうけど、仕方がない」

とりあえず近くの木に登り、上まで行く。

「うわっ…まだまだ距離あるな」

森を抜けてもまだ平原が広がっており、校舎はずっと奧だ。

どんだけ広いんだよこの學園は……

「……泥舟どろぶね」

土魔法で泥で出來た舟を作る。

おぉ、オリジナルだけど上手くいったな、ちょっと脆いけど……まぁ大丈夫だと信じよう。

俺は泥舟に乗り、手を舟の後ろに向ける。

「突風ゲイル!」

俺は初級魔法の突風を舟の後ろの木に當てる。

それによって泥舟は前方に飛ぶ。

「よっしゃ、功だな。 後は落ちないように維持するだけ…」

舟が落ちそうになる度に木に向かって突風を使い、空を飛び続ける。

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魔力の消費が激しすぎるが、俺の魔力は多いので気にしない。

落ちそうになれば突風を使いまた飛ぶ、それを繰り返し続けた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「よーし! 森を抜けたぞ!」

突風を使い続け、ようやく森を抜けたので、俺は泥舟を降りる。

もう木がないので、空は飛んでいけない、ここから走るしかない。

「全速力だ!」

先程のように風加速を使って走り出す、ここは草原で、辺りをよく見渡せる。

だから油斷した隙に襲われるー、なんて事はないはずだ。

「……それにしてもおかしいな、こんだけ広いんなら、1人や2人くらい學者が居てもいいはずなんだけどな…」

まさかもうこの草原には俺しか殘ってないとか⁉︎

もう500人試験會場に著いてて、とっくに試験終わってるとかか⁉︎

そんな事を考えながら走り続けて數分後……

「うわっ、なんだよこれ…」

衝撃だった、草原をしばらく進んだ頃、そこには同い年くらいの奴らがかなりの數、地面に転がっていたのだ。

全員、気を失っている。 

教師だ、こいつらは皆、教師にやられたんだ。

気絶しているという事は、こいつらはもう落してしまったんだろう。

「おっ、なんだ。 次はお前か」

「っ⁉︎」

突然、右側から聲を掛けられる。

全然…気がつかなかった。

なんで……こいつは…この見渡しのいい草原の、どこにいたんだ…?

俺はおそるおそる右を見てみる

「あ、あなたは…グレン先生……でしたよね?」

「あぁ、そうだ。 まだお前の先生じゃないがな」

ダルそうに、試験の話をしていたグレンだった。

グレンは今もダルそうに頭を掻いている。

「あの…一…あなたはどこにいたんですか?」

「あぁ? そこにいたよ、ずっとな」

グレンが指をさしたさきには、ポツンと、椅子が1つだけ置かれていた。

そして、その椅子の周りには気絶した奴らが大勢いた。

「そんな…だって…それなら気づかない訳が…」

「いや? 気がつかなくて當たり前だ、だって、気がつかれないようにしてたしな」

「……は?」

どういう事だ? 気がつかれないようにって……こんな近くに椅子があるのに、言われるまで気づかなかった。

意図的に出來るものなのか?

「ま、企業なんで、教えないけどな」

「…そ、そうですか…」

教えてはくれないのか。

ってか教師って事は…勿論戦いになるんだよな……、勝てるか分からんぞ……

「……はぁ、まだ気絶してなかったのかよ…」

グレンが、またダルそうに頭を掻いて、腰から片手剣を抜く。

そして、俺のが震えた。

原因は、俺の背後からだ。 これは……多分殺気……というやつだろう。

「死ねえええぇぇ‼︎‼︎」

そんな聲と共に、見知らぬ男がグレンに襲いかかった。

そいつは白髪で、俺と同い年だろう。

白髪の男は、片手剣を巧みに使い、グレンに連続攻撃を仕掛けている。

あいつは強い、無意識にそうじた。

「おいおいソーマ君。 教師に向かって死ねはないだろ、禮儀を知れガキが」

「黙れ。 さっさとここを通しやがれ!」

グレンとソーマと呼ばれた男は、會話をしながら凄いレベルの戦いをしている。

グレンはダルそうに、ソーマは怒りに任せて剣を振っている。

「だから…俺が認められない奴を通すわけにはいかないっていってるだろ」

そう言って、グレンはソーマの腹を蹴る。

「ぐあっ!」

ソーマは地面を転がり、俺の方に來る。

俺はソーマをけ止めた。

「お、おい…大丈夫か?」

るな、失せろ」

「えぇ⁉︎」

なにこいつ、け止めてやったのに「失せろ」って、なにこいつ。

け止めてやったのに、失禮な奴だなお前!」

「あぁ? 誰もそんな事頼んでねぇだろ」

ソーマは俺にそう言いながら立ち上がる。

「いいか、絶対に手を出すな。 あの野郎は俺が倒す」

「はぁ? いやいや、2人で戦った方がいいだろ。 俺も加勢する」

「いらねぇ、足手まといだ」

「なんだと⁉︎」

足手まとい、そんな事を言われたのは初めてだぞ。

自分で言うのもなんだが…俺はこの歳にしては結構強いと思うんだが……

俺とソーマがそんな會話をしていると、突然グレンが笑い出した。

「ははは‼︎ いいねぇお前ら、中々面白い。 よし、お前ら2人で俺にかかって來いよ」

「ほら、グレン先生もああ言ってるぞ」

「ふざけんな、俺は1人で十分だ」

「いいや、ソーマ、お前だけじゃ絶対に俺には勝てないぞ。 ならそうだな……お前ら2人が協力するんなら、俺に1発でも當てれば俺の負けでいい」

「……………」

グレンがそう言い、ソーマが悩む。

いや、悩む必要ないだろコレ……

「………ちっ、おいお前、名前はなんだ」

いきなりソーマが俺に聞いてくる。

舌打ちって…どんだけ嫌なんだよ。

「ルージュだ」

「得意なものはなんだ。 魔か? 剣か?」

「魔だな。 剣は持ってるけど、剣は苦手だ」

「……分かった。 なら半端野郎、お前は後方から援護だけしてろ、接近戦は俺がやる」

半端野郎⁉︎ とことん失禮な奴だな……

ツッコミたいのは山々だったが、流石に時間がないので我慢する。

「り、了解……」

「おー、決まったみたいだな。 なら、始めるぞ」

グレンとソーマが同時に剣を抜く。

俺は右手をグレンに向け……

「石連弾ロック・マシンガンっ‼︎」

手始めに石連弾を撃つ。

石連弾は猛スピードでグレンへ向かう。

「行け! ソーマ‼︎」

「うおおおっ!」

グレンが俺の石連弾を避けた隙に、ソーマがグレンに斬りかかる。

「ほぉ……面白くなりそうだ」

グレンは初めて、楽しそうに微笑んだ。

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