《2度目の人生を、楽しく生きる》47話 「第一印象は信用出來ない」

今闘技場ではクラスメイトたちは皆ギャラリーに登っている。

闘技場のギャラリーは椅子が沢山置いてあり、闘技場を見下ろすことが出來る。

皆の視線の先には2人の男が距離を置いて立っていた。

俺、ルージュ・アルカディアと、教師のモーナだ。

俺はモーナと戦うことになってしまった。 

……まぁ、完全に俺の自業自得だけどな。

俺は屈など準備をして、木刀を構える。

対してモーナ何もせずにただ木刀を持っている。

「準備は終わりか?」

「はい、お待たせしました」

「もう一度言うが、もしお前が負けたら罰をけてもらうからな」

「分かってますよ」

どんな罰かは分からないが、もし負けたらどんな罰でもけよう。

負けたらな。

「まぁ、お前にとってはこれ自も罰にもなるかもな」

「どういう事ですか?」

そう言うと、モーナはフッと笑って。

「こんな大勢のクラスメイトに見られながら無様に負ける。 恥ずかしいだろうな」

なんだ、そう言うことか。

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確かに無様に負ければ恥ずかしいだろうな。

「俺は無様に負ける気はありませんし、もしかしたら皆に負ける姿を見られるのは先生かも知れませんよ?」

「ほぅ…それは考えてなかったな」

こいつ……勝つ気満々ってか。

「さっきの訓練、見ていたがどうやらお前は剣が苦手なようだな。 自己紹介の時も言ってたな」

「まぁ…得意ではないですね」

「ならば私はこの戦闘では魔は使わん。 剣だけで相手してやろう」

「…は?」

「私の剣を見て、剣とはどんなかを

知るといい。 もちろん、お前は魔も剣も使って構わんぞ」

要はハンデって事か。

どうやらモーナは負けるとは微塵も思ってないらしい。

「話は以上だ、始めるぞ。 いつでもかかって來い」

今日はまだ魔を使ってない。 だから魔力は満タンだ、しかもさっきのアリスとの打ち合いでは溫まっている。

萬全の狀態だ。

「では…行きます! 火球ファイアー・ボール!」

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まずはモーナに向かって火球を2発撃つ。

を使えないモーナはどうするか…

「ふっ!」

モーナは木刀で俺の火球を斬った。

ディノスもやっていたが、剣が凄い奴は魔も斬れるのかよ…!

「なら…黒霧ダーク・ミスト!」

即座に黒霧で闘技場に霧を発生させる。

これでモーナの視界を奪った。 次は…

「石連弾ロック・マシンガン!」

橫に走りながらモーナがいた場所に石連弾を撃ちまくる。

流石にこの霧の中では迂闊にけないはずだ。

見えない場所からの攻撃ほど怖いものはないだろ…!

「まだまだ行くぞ! 水領域ウォーター・フィールド!」

ケンにやったのと同様に、水領域で地面を水浸しにする。

これでもしモーナが移していてもモーナの足元には水があるはずだ。

「氷結フリーズ!」

次は地面を凍らせる。

完全にモーナの足は凍っただろう。

それにしてもモーナの奴は何も喋らないな。

驚きすぎて聲も出ないのか?

「突風ウインド」

突風で黒霧を消し飛ばす。

あとはけないモーナに適當に攻撃して俺の勝ちだ。

「あ、あれ…?」

おかしい……

なんで…

なんでモーナは居ないんだ?

地面は完全に凍っている。 なのにいるはずのモーナが居ない。

「さっきから、1人で何をやっているんだ? 魔自慢か?」

後ろから聲が聞こえ、慌てて振り向くと……居た。

俺の後ろ、闘技場の壁に背を預け、モーナは腕を組んでこっちを見ていた。

いつの間に移したんだ…?

「相手の視界を奪うのは良いが、自分も見えなくなるならせめて相手の場所を知る手段を持て」

確かに、相手の場所を知れてたら今回のようにはならなかった。

モーナはゆっくりと俺の方に歩いてくる。

「次は私から行くぞ」

そう言うと、モーナは木刀を構えながらものすごいスピードで突進してきた。

「ふぉ…矢フォトン・アロー!」

俺はがむしゃらに五本の矢を撃つが、先ほどの様にモーナに斬られてしまう。

なら…剣には剣だ。

俺は木刀に炎を纏わせ、構える。

「炎斬えんざん!」

炎斬を撃つが、モーナは軽々と避けて止まる事なく向かってくる。

「はぁっ!」

そして木刀を振り、俺の腹を斬る。

俺は耐えられずに地面を転がる。

止まる事なく何回も何回も地面を転がる。

「痛てて…なんて力だよ…アリスと全然違うじゃねぇか」

「ほら、もう終わりか? ルージュ・アルカディア」

「ま、まだまだ行けますよ!」

「そうか」

するとモーナはまた突進してきた。

しかも今度は距離が近いこともあり、もう目の前だ。

「くそっ…!」

モーナが剣を振り下ろしてくるが、俺の剣でモーナの剣を防ぐ。

だがモーナの方が力が強いらしく、グイグイと押されてしまう。

「ちょ…力強すぎませんかね…!」

こんな人なのに怪力って…詐欺もいいとこだぞ。

「鍛えているからなっ!」

剣ばかりに集中していたからか、突然モーナに腹を蹴られた。

蹴られた事によりバランスを崩してしまい、よろける。

「隙だらけだぞ」

「ぐっ…!」

モーナが木刀をしたから振り上げ、アッパーの様に俺の顎に當たり、そのまま俺は宙を舞う。

強過ぎだろこの人……

「はあぁっ‼︎」

宙に浮いている俺にモーナは容赦なく木刀を振り、俺を斬る。

當然避ける事も防ぐ事も出來ず、俺は何メートルも離れた闘技場の壁まで飛ばされ、壁に強く背中を撃ち、気絶してしまった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーセレナ視點ーー

「…噓……ルージュが…」

私達はギャラリーでルージュ達の戦いを見ていた。

ルージュと先生の戦いに、私達以外のクラスメイト達はワクワクしていた。

逆に私、アリス、フィリア、クリスは、心配そうに見ていた。

「まさか…あそこまでルージュさんと先生に差があるなんて…」

「ルージュは間違いなく本気で戦っていたはずだ、なのに…」

アリスとクリスも同様に驚いていた。

これまで、ルージュは々な人と戦ってきた。

ディノスさんや、聞いた話だと魔剣使い? とか言う強い人とも戦ったらしい。 

剣魔學園でも先生と戦って認められて學した。

だから勝つ事は出來なくても、今回もルージュは何かやってくれると思ってた。

「手も足も出て無かったわね」

そう、フィリアの言う通り、ルージュはモーナ先生に1度も攻撃を當てる事は出來なかった。

ルージュは間違いなく私達5人の中で1番強いと思う。 なのに、そのルージュが手も足も出ないなんて…

「これにて、今日の授業は終了だ! 各自解散」

モーナ先生はギャラリーの方を見てそう言う。

クラスメイト達がゾロゾロと闘技場を出て行く中、私達は真っ先にルージュの元へ向かった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーールージュ視點ーー

「ルージュ!」

「……ん?」

目を覚ますと、目の前にセレナが居た。

……なんだ? なんでセレナがここに…

「起きたか、ルージュ・アルカディア」

モーナもなんで…

あ、そうだ、俺は気絶したんだ。

って事は、やっぱり負けたのか俺は…

「痛てて…いやぁ…負けちゃったなぁ」

負けたのは悔しいが、モーナの剣は勉強になったな。

後は…

「では約束通り、お前には罰をけてもらおう」

そう、罰だ。 一なんなんだろうか。

飯抜きとかかな? 流石に軽すぎるか。

「ま、待って下さい先生!」

セレナが俺とモーナの間にり、両手を広げて俺を守る様に立つ。

「なんだセレフィーナ」

「あの、罰なら私がけます! 元々、悪いのは私で…」

「ダメだ。 ルージュ・アルカディアにはきちんと罰をけてもらう」

「でも…!」

「セレナ、いいから」

俺はセレナの肩を摑み、止める。

セレナはを噛んで黙る。

セレナを橫に移させ、モーナの前に立つ。

「約束通り、罰はけます。 何をすればいいですか?」

「ルージュ…」

「ルージュさん…」

セレナとアリスは心配そうに見ている。

クリスとフィリアは無言だ。

「そうだな…何をしてもらおうか」

…ん?

何をしてもらおうか…?

「え、決めてないんですか?」

「當たり前だろ。 ずっとこの戦闘の事を考えてたんだからな」

「戦闘の事って…いったい何を?」

「そんなの、どうくかとか、戦とかに決まってるだろうが。

 お前は何をして來るか分からないから注意しろと、ザイル先生に忠告されていたからな」

………って事はつまり…

「えっと…俺を警戒してたって事ですか?」

「そりゃ警戒するだろう。 ザイル先生を倒して、グレン先生とカイン先生に認められた生徒だぞ? 」

なんだ…? どんどんモーナの印象が変わっていく…

「実際、お前の魔には心焦っていたよ」

「焦ってました⁉︎ 全然そうは見えませんでしたが…」

そう言うとモーナは苦笑いをしながら。

「お前が黒霧を使った時だ。

 何をするのかと思ったらいきなり見えない場所から石連弾が飛んできて、本當に焦ったんだぞ。

つい本気で逃げてしまったよ。 その後に地面を凍らせるお前を見た時は逃げて良かったと安心した」

「で、でも…「さっきから、1人で何をやっているんだ? 魔自慢か?」って言ってたじゃないですか」

「クラスメイト達の前で「焦った」とか言えるわけがないだろう。 

舐められたらどうするんだ。 ただでさえ教師になったばかりなのに…」

「え⁉︎ モーナ先生って教師になったばかりなんですか⁉︎」

アリスが驚きながら質問する。

俺もビックリだ、てっきりベテラン教師かと思っていたが…

「あぁ、今年教師になったばかりで、お前達が初めてけ持つクラスなんだ。 だから舐められないようにしている」

だからいつもあんな態度なのか。

そう思うとなんか…嫌いになれないな。

「無駄話はこれで終わりだ。 肝心の罰だが…思いつかないから、”何でも1つ、私の言う事を聞く”にする」

適當だな‼︎ そんでめっちゃ面倒臭い罰だ……

「以上だ! お前ら早く闘技場から出ろ。 そしてを休めろ。 くれぐれも、この事は他言しないように、舐められたら困るからな」

どんだけ生徒に舐められたくないんだよこの人は。

なんだがモーナの印象が大きく変わったな。 

いつもこんな態度なら舐められるどころか慕われると思うんだが…

そんな事を考えながら、俺たちは闘技場から出た。

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