《2度目の人生を、楽しく生きる》49話 「放課後の勉強會」

「さて、じゃあ古代文字からですね」

そう言われて俺はノートを出す。

見事になにも書かれていない、真っ白だ。 アリスとは真逆だな。

「まず、文字には3つの種類があるのは分かりますよね?」

「分かりません」

「えっ⁉︎」

俺の返答を聞いてアリスが驚く。

何それ、初耳なんだけど。 

それも授業で言われたのだろうか?

「はぁ…これは…全く聞いてないのね」

「……なら説明しますね…」

うわ、アリスが早速疲れてるみたいだ。

きっとこれは基本中の基本なんだろうな。

「えっと…私達がいつも使っている文字、これを”現代文字”といいます。

そして、昔使われていた文字を”古代文字”と言うんです。 分かりましたか?」

「なるほどー、ならあと1つは何なんだ?」

「あと1つは、さっきルージュさんが書いていた”神聖文字”です。

 神聖文字は、稀に読んだり書ける人が現れるんです。 なので特別と言う意味を込めて神聖文字と読んでいるんです 」

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「神聖文字ねぇ…」

俺からしたらこっちの世界の文字の方が神聖文字だけどな。

「だから、ルージュさんもその稀に現れる人の1人なんですよ! 凄いですね!」

「お、おう。 凄い…のか?」

「當たり前ですよ! この世界には神聖文字を読める人しかれない場所や、読めない本などが沢山あるんですから!」

なんだアリスの奴、やけに興してるな。

こういうの好きなのか?

「アリス、神聖文字の話はまた今度ね」

「はっ! すみませんつい…」

フィリアに注意されてアリスは元に戻る。

そしてアリスは俺のノートを見て

「では、まずは私のノートに書いてあるものを全てルージュさんのノートに寫してください」

笑顔で言った。

「え、全て…?」

「はい。 全てです」

全てって…何ページあると思ってんだ…?

アリスは部屋でも自主勉をしているらしく、沢山の事がノートに書いてある。

當然ページ數も多くなる。

「寫し終わったら次は読み書きを教えるので、早く寫して下さいね」

「言っとくけど、文句とか許さないから」

「は、はい…」

俺は黙々と、アリスのノートに書いてあるものを寫す作業を始めた。

俺が寫している間2人は勉強を教えあうらしい。

勉強熱心だなぁ…

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「よし…あとしだ…」

あれからだいぶ時間が経ち、もう殘りあと1ページになった。

現代文字は何故か分かるのに、古代文字は全く読めない。

日本語なら古文とかなんとなく分かったのにな。

そもそも異界人の俺がこの世界の現代文字を読めるのは謎だよな。

はルージュでも中は全く違うのに。

「手が止まってるわよ」

「え? あっ」

考え事をしていたら手が止まっていたらしい。

注意されてしまった。 そこからまた黙々と作業を始めた。

「終わった‼︎」

あれから5分ほど経ち、ようやく全て寫し終えた。

とんでもない達だ。 

「お疲れ様です。 ルージュさん」

アリスがそう言って俺のノートを取り、自分のノートと見比べる。

「ちゃんと全て寫してますね。 完璧です!」

「よし、じゃあもう4時だし続きは明日にしようぜ」

ノートを寫すのに1時間もかかってしまい、もう四時だ。

10歳ならばもう帰る時間だろう。

そう思い席を立とうとしたら。

「ダメです」

「ダメに決まってるでしょう」

2人に肩を摑まれて無理やり席に座らされた。

あ、あれ…?

「寮の門限は6時なので、まだまだ時間はありますよ?」

「ノートを寫しただけで終わりなわけないでしょ」

「次は読み書きを教えるので、黒板の前に移しましょう」

そう言ってアリスとフィリアは黒板の方に向かった。

俺はもう諦めてノートとペンを持って黒板の前の席に座った。

「ではまずこれをなんて読むか答えて下さい」

「剣魔學園…だろ?」

今アリスが黒板に書いたのは現代文字で”剣魔學園”だ。

俺がそう言うと、アリスはその橫にまた何かを書いた。

「ではこれはなんて読みますか?」

「……分からん」

今アリスが書いたのが古代文字だろう。

やっぱり分からない。 初めてこの世界で文字を見た時は一瞬で理解出來たのに…

「今私が書いたのは、古代文字で”剣魔學園”です」

「これで剣魔學園って読むのか?」

現代文字と古代文字を見比べて見たが、似てるところが1つもない。

はっきり言って、ただのミミズ文字にしか見えない。

「ルージュさんは現代文字は全て読み書き出來ますか?」

「多分、大丈夫だと思うぞ」

漢字とかカタカナとか種類がなければな。

そう考えると言語の中で日本語が1番難しいと言うのはその通りかもしれないな。

なんたって日本語は3種類もあるからな、そう簡単に覚えられるものじゃないだろう。

「なら私が今から あいうえお順に古代文字を書いていきますね」

「おう」

アリスは黒板に一定の間隔で1つずつ単語を書いて言った。

それにしてもアリスって字が綺麗だな。

黒板に書くと書きづらいから字が汚くなるものだが、アリスはスラスラと書いている。

「出來ました。 これが全ての古代文字です」

「ほー…」

やっぱり全然分からんな。

あいうえお順だからどれがなんて読むのかは理解できる。

だがそれはアリスがあいうえお順に書いてくれたからだ。 バラバラに書かれたら理解出來ない。

「そしたらルージュさん。 次はノートにこれを全て寫して下さい」

「絶対そうなると思ったよ…」

俺はノートにあいうえお順で古代文字を寫した。

これで自主勉しろって事か。

「出來たぞ」

「お疲れ様です。 それじゃあ次は…」

「順番に言わせてみれば良いんじゃないかしら。 ほら、言えば覚えるって言うじゃない?」

「なるほど! それいいですね!」

先生2人が話し合っている。

「じゃあルージュさん。 いまから順番に私が文字を指差すので、なんて読むか言って下さいね」

「分かった」

あいうえお順に言っていけば良いだけだもんな。

ちゃんと覚えなければ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アリスが文字を指差して、俺が答えるのを3回繰り返し、時計を見るともう5時になっていた。

「もう5時ですね、今日は終わりにしましょうか」

「そうね」

「終わったぁぁ……」

俺は機に突っ伏した。

まさか文字の勉強がここまで疲れるものだとは思わなかった。

「お疲れ様ですルージュさん」

「そもそも、あんたが授業真面目にけてればこんな事しなくて良かったのに」

「それは反省してるよ…次からは真面目にける」

「當たり前よ」

「それじゃあ帰りましょうか。 ルージュさん、部屋でも勉強して下さいね?」

「了解」

そう言って、俺たちは教室を出た。

男子寮と子寮へ行く為の別れ道では、ちゃんと今日の事のお禮をしてから別れた。

これからは真面目に勉強しないとな、もし赤點とったら………考えるだけでも恐ろしい。

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