《2度目の人生を、楽しく生きる》59話 「接

シルフィ達に部活を元に戻すと宣言した次の日、そして今は放課後だ。

早速今日、サラに接してみる予定だ。

「中等部は…ここか」

俺の目の前には校舎がある、俺達が通っている初等部校舎と全く同じだが、玄関に大きく『中等部校舎』と書いている。

実に分かりやすい。

さて…サラは確か紫の髪をした中等部一年生。

今はその報しかない。

校舎の作りが同じなら一年生の教室は一階にあるはずだ。 

俺が廊下を歩いていると…

「おっ、ルー…あっ…!」

「………」

前から歩いてきたベリーが俺の名前を呼ぼうとして、やめた。

…本當に勘弁してほしい。 

俺は無言でベリーと目を合わさずにベリーの橫を通り抜けた。

そして中等部一年生の教室の前をウロウロしていると……

「あれ? キミ初等部の子だよね? なんで中等部にいるの?」

來た。 この時をずっと待っていたぞ。

中等部の生徒が俺を心配して話しかけてくるのをな。 

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ここまでは作戦通りだ。 

俺はなるべく子供っぽい口調で、話しかけて來たの顔を見ずに

「あっ…えーと…実は俺、ある人を探してて…」

下を向いたまま途切れ途切れに言う。 どうだ、子供っぽいだろう。

「人? 名前は分かるかな?」

「名前は…分かりません。 でも確か…紫の髪をしたでした」

「紫…? うーん…一年生に私以外の紫の髪のの子って居たかなぁ…」

「…へっ……?」

今なんて言った? 

俺はゆっくり顔を上げ、の顔を見た。

そこには……

「多分、君が探してる人は一年生には居ないと思うよ?」

の長い髪をした、困ったような表で俺を見ているが居た。

…あれ? いきなり本人登場⁉︎

マズイぞ…早速予定外の出來事が起きた。

予定では、話しかけて來たにサラの元に連れて行ってもらい、何とか話をしようと思ってたのに…

「もし良ければ、君の探してる人を探すの手伝おうか?」

「えっ、あの……えぇ…?」

探してるのあなただったんですけどね。

「どうしたの? あ、もしかして張しちゃってるのかな? そんなに張しなくても大丈夫だよ」

そう言って……サラは優しく俺の頭をでてきた。

何だこれ…何だこれ⁉︎

「あ、あの…! しっ、失禮しました‼︎」

俺はその場から逃げる様に走り出し、中等部校舎から出た。

そのまま走り続け、自分の部屋に戻り、ベッドに顔を埋めた。

「くっそ…やっちまった…」

完全に怪しまれただろアレ…

逃げちゃダメだろ逃げちゃ…

「……新しい作戦を考えよう」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

次の日の放課後、俺はまた中等部校舎の前に來ていた。

だが今日は中にはらない。

俺は中等部校舎の橫に植えてある木に登り、サラが出てくるのをひたすら待つ。

木の上で待ち続けて30分くらいたった頃、ようやくサラが出て來た。

やっと來たか、危うく眠る所だった。

サラの後ろから誰も來ない事を確認し、俺は靜かに木から降り、サラを尾行した。

今日の作戦、それは、サラがどんな人間かを調べる事だ。

あわよくば部活を辭めた理由も知れればいいのだが…

サラは寮に帰るわけではなく、何故か校舎裏の方へと向かっていった。

ここら辺に何かあるのか?

「あっサラちゃん、こっちこっち」

「…はい」

サラが突然誰かに呼ばれ、聲のした方に歩いて行った。

聲の主は…中等部の制服を著た小太りの男だった。

……誰だ…?

サラはそのままその男と共に中等部の校舎の裏に歩いて行った。

俺はそんな2人に気づかれないようにゆっくりと尾行した。

「…で、結局あれはどうするつもりなのかな?」

「それは…責任を持って私が返品しますから…」

「返品ねぇ…あれ、いくらするか知ってる? 金貨100枚だよ? 貴族達の屋敷と同じ位の値段だよ? 払えるの?」

「はい…必ず払いますから…」

校舎裏に行った2人が話している。

何だ…? 話が読めない。 払う? 責任? 訳が分からない。

「ねぇ、もっと頭使ったら? 金貨100枚は大金だけど、四等分したら25枚だ。 

別に君1人で払おうとしなくても、あの3人にも払ってもらうように言えば良いじゃないか」

「それは…ダメなんです…お願いします。 もうし待っていただけませんか…?」

「はぁ……あのさぁ…」

小太りの男はゆっくりとサラの方に近付き…

サラの髪を思い切り鷲摑んだ。

「甘えるのも良い加減にしなよ、あれからいくら待ったと思ってる? もう1ヶ月だぞ⁉︎ この1ヶ月で君は幾ら稼いだ⁉︎ 言ってみろよ! 」

「…っ! ぎ、銀貨…20枚…です」

「銀貨20枚⁉︎ 馬鹿にしてるのか⁉︎ 銀貨が100枚で金貨1枚と同じなんだぞ⁉︎ 一いつまで待たせる気だよ!」

「す…すみません…すみません…!」

おいおい…流石にやり過ぎだろ…!

「そうだ、良いこと考えたぞ。 お前、売れよ。 街に出て貴族共にを売ってこい。 お前顔はいい方だし、今お前が働いてる所より稼げるぞ? 良い考えだろ?」

「えっ…それは…」

「なんだ? まさか嫌ですとか……」

「あっ、すみませぇ〜ん。 僕道に迷っちゃったんですけど、初等部校舎ってどこにありますか?」

俺は隠れるのを辭め、小太りの男に話しかけた。

小太りの男は俺を見ると…

「チッ…初等部校舎? 初等部校舎ならあっちだよ」

「あっちって言われても…僕方向音癡だから逆に行っちゃうかもしれません」

「そんなの知らな……」

「あー! 昨日の優しいお姉さん‼︎ ねぇお姉さん! 僕を初等部校舎まで案してくれませんか?」

俺は小太りの男に喋らせる事なく続ける。

 場の空気を読まない、これは子供あるあるだ。

「はぁ⁉︎ お前いきなり何を…」

「ねぇお姉さん! 早く行こうよ!」

「え…えぇ…? 君昨日と様子が…」

「いいから早く! 僕先生に怒られちゃうよ!」

俺はサラの手を摑み、走り出した。

「お、おいお前!」

小太りの男が何か言っているが、気にせずにサラの手を摑んで走り続けた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ふぅ…ここまででいいかな」

「はぁ…はぁ…君…何で…」

サラが息を切らしてはぁはぁ言っている。

今俺達が居るのは花畑のベンチだ。

まずはサラをベンチに座らせ…

「すみませんサラさん。 全部聞いてました」

「え? 全部…? って言うか、なんで私の名前……」

何故サラが部活を辭めたのか、その理由は分かった。

自主的に辭めた訳じゃないなら、俺の正を隠す必要はない。

「初めまして、臨時で生研究部にってます。 ルージュ・アルカディアです」

「え…生…研究部…? え? ええええぇぇっ⁉︎」

サラが俺の話を聞いて、驚きのあまりんだ。

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