《2度目の人生を、楽しく生きる》60話 「退部の理由。 サラの優しさ、ルージュの怒り」
「え…え…ちょっと待って…? 話が急過ぎて訳が分からないんだけど…」
「だから、俺は生研究部の廃部を防ぐ為に臨時で部員になったんですよ」
「そうだったんだ…ごめんねルージュ君…生研究部の為に…」
「申し訳ないと思ってるんなら、今からでも部活に戻ってもらえませんか?」
「それは出來ないの」
サラはキッパリと、俺の目を見て言った。
「なら、あの男の人と何があったか、何故生研究部を辭めたのか、教えて下さい」
あの小太りの男の問題が解決すれば、サラは戻るはずだ。
「それは……ごめんなさ…」
「逃げないで下さい。 ちゃんと話して下さいよ、1人で抱え込まずに」
金貨100枚。 俺はまだこの世界のお金の価値は分からない、だが、相當な金額と言うのは分かる。
何故あの男に金貨100枚を払わなければいけないのか。 まずはそれを聞かないと。
「……この事は、絶対にシルフィ達には言わないでね?」
「…約束します」
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「ありがとう。 実はね、1ヶ月前に…」
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ーーサラ視點ーー
1ヶ月前、私達生研究部は、珍しい生きを探しに王都の外に行った。
勿論、學園の許可は取った。
「あ〜あ〜、どっかにカッコイイドラゴンいねぇかなぁ…」
「あ〜あ〜、どこかにソル・ウルフいないかなぁ…」
「あぁ…どこかにルナ・ウルフはいらっしゃらないでしょうか…」
「3人共…多分この近くにはどれも居ないと思うよ?」
私達はいつも通りに話をしながら生を探していた。
「なぁなぁ! 折角だし、森にってみないか⁉︎ 珍しい生きがいるかも…」
「ダメだよベリー! 森の中は危険だから絶対にらないようにって、先生に言われたでしょ⁉︎」
「むぅ…相変わらずサラは固いなぁ…仕方ねぇか」
ベリーを止め、私達は王都の壁の周りを探索した。
そんな私達の元に…
「失禮、お嬢さん方…この近くにネックレスが落ちてませんでしたかな?」
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スーツを著た、優しそうなお爺さんが話しかけてきた。
ネックレスと言われたけど、私達はここに來たばかり、そんなは見てない。
「見てませんよ?」
私は、お爺さんにネックレスは見ていないと伝えた。
「そうですか…おかしいですねぇ…ここら辺に落とした筈なんですが…いやはや、私もボケが始まったんでしょうか…」
お爺さんはそう言いながら、私達から離れていった。
お爺さんが私達と別れてから數分後…
「あれ? これ…ねぇサラ、このネックレス、あのお爺さんのじゃない?」
シルフィがそう言って、私にネックレスを見せて來た。
赤い寶石が付いた綺麗なネックレス。
きっとそうだ。 
「絶対そうだね! ごめん皆! 私お爺さんにこれ屆けて來るね!」
私はシルフィからネックレスをけ取り、王都でお爺さんを探した。
王都でお爺さんを探し始めてから、直ぐにお爺さんは見つかった。
お爺さんの隣には剣魔學園の制服を來た男の人が居た。
あのお爺さんのお孫さんかな?
「お爺さーん!」
「ん? …おやおや、先程のお嬢さんじゃありませんか」
私はお爺さんに話しかけ、ポケットからネックレスを取り出し…
「お爺さんが落としたネックレスって、多分これじゃないですか?」
ネックレスをお爺さんに見せた。
その瞬間……
パリンッ
と言う音と共に、ネックレスについていた赤い寶石が砕けた。
「………え?」
な、何で…? 私…何もしてないのに…
「おいお前! 何してくれてんだよ!」
お爺さんの隣にいた男の人が、私に摑みかかってきた。
「わ、私…何もしてません…!」
「噓つくな! お前がこのネックレスを壊したんだろ!」
そんな…私は本當に何もしてない…寶石にれてすらいないのに何で…
「このネックレスは俺の大事ななんだぞ!」
「す、すみません…!」
「謝って済むものでは座いませんよ。 お嬢さん」
今まで黙っていたお爺さんが言った。
そんな…私はただネックレスを屆けに來ただけなのに…
「べ、弁償します…」
「當たり前だろ! 」
「その…お値段は…」
私は壊してない。 でも実際にネックレスは壊れてしまった。 運悪く、今。
このまま騒ぎになったら、シルフィ達にも迷がかかってしまうかもしれない。
弁償で済むなら…私が…
「金貨100枚」
「え……?」
「金貨100枚だよ。 このネックレスは特殊な寶石を使ってるんだ。 高級品なんだよ」
「そ…そんな…」
金貨100枚なんて…直ぐに払えるわけがない…
「お前、剣魔學園の生徒だよな。 何年生か分からないけど。 払えないなら、學園側に報告させてもらうからな!」
私は制服だったので、剣魔學園の生徒と言うことがバレてしまった。
絶対に逃げられない。
 私はとんでもないことをしてしまった。
「そうだ、名前教えろよ」
「……サラ…です」
「サラねぇ…覚えた。 絶対に払ってもらうぞ」
男の人は、ネックレスをけ取らずに、お爺さんと共に去っていった。
「………どうしよう…」
とりあえず、働いてお金を稼がないと…
私は、後悔しながらシルフィ達の元へ戻った。
「お、サラ! 遅かったな! ちゃんと渡せたか?」
ベリーが相変わらず笑顔で聞いて來た。
ちゃんと話さないと、何があったのかを。
「あのね、実はさっき……っ!」
そこで、私は思った。
 もしこの事を話したら、3人はどうするのかを。
きっと、3人は「私も払う」と言うだろう。 
金貨100枚を4人で分ければ、1人金貨25枚。
だけど、25枚でも大金なのは変わりない。
お金を返すには働かないといけない、そしたら部活は出來なくなって、生研究部は廃部……
私のせいで、この場所を壊していいのか…
「サラ? どうしました? 」
この場所は…生研究部は、私達の大事な場所。 
壊しちゃいけない。 
「…ううん、ごめん。 何でもないよ。 それより、何か珍しい生は見つかった?」
「いいや! 全然見つからない‼︎」
ベリーが悔しそうに言った。
「じゃあ、違う所を探そうか。 今日はいつもより長く探索しよう!」
「珍しいね、サラっていつもは暗くなる前に帰ろうって言うのに…」
「ははは…今日くらいは良いかなと思って」
「あたしは賛〜!」
「わたくしも賛です」
明日には、私は生研究部を退部する事になる。
勿論私が生研究部を退部すると言えば、3人さ理由を探すと思う。
だから、3人には私を嫌ってもらう。 そして、私に関わらないようにする。
だから今日は私が生研究部の部員で居られる最後の日、最後くらいは、ちょっとだけ長く活しても…良いよね…?
そして、次の日。
私は3人よりも遅れて部室に行き、部室にった瞬間。
「私、生研究部を辭める事にしたよ」
そう言った時の皆は、とても驚いていた。
「さ、サラ…? 今なんて…」
「もう、あなた達とは関わりたくない」
シルフィの言葉を無視し、私は続けた。
「突然辭めるとかどうしたんだよサラ! あたし達にちゃんと理由を説明しろ!」
「理由? 理由なんてないよ、単純にあなた達の事が嫌いなだけ。  
シルフィの笑顔も、ミーナのいつも冷靜な所も、ベリーの明るさも。 
全部、全部、大嫌いなの。 これまでずっと我慢して來たけど、もう限界」
理由を聞かれる事は分かっていたから、昨日の夜、必死で考えた事を皆に言った。
大好きな皆に嫌われるような事を考えるのは、すごく大変だったけど……
「サラ…本気ですか?」
「本気だよ。 気づかなかった? 私、この部活が大嫌いだったの」
ごめんねミーナ。 
「ならなんで…なんで今まで部室に來てたんだよ!」
「生が好きだからに決まってるでしょ? だから今まで我慢してやってきたの」
ごめんねベリー。
「いつから…私達の事を嫌いになったの…?」
「……最初から…だよ」
ごめんねシルフィ。
ごめんなさい……ごめんなさい皆…
私の返答を聞いたシルフィとミーナは、地面に座り込んで泣き出した。
そしてベリーは……
「このっ…!」
「痛っ…!」
ベリーは、涙目になって私の頬を叩いた。
「さっさと出て行け! あたしも…! あたしも…! お前の事が嫌いになったよ!」
「………そう。 さよなら」
私はこの日、親友を、大事な場所を捨てた。
そして、今まで部活をしていた時間を、全て働く時間に変えた。
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ーールージュ視點ーー
「……これが、私が生研究部を辭めた理由だよ」
「………」
「ルージュ君?」
「…名前……」
「え?」
「あいつ…さっきの小太り野郎の名前、教えて下さい」
「な、何する気…?」
「ちょっとぶん毆ってきます」
「だ、ダメだよ‼︎ 絶対にダメ!」
ならこの怒りは何処にぶつければいい。
サラは何も悪くない。 それどころか親切にネックレスを屆けてやったんだ。 
なのに何でこんな目に遭わなくちゃいけないんだ。
何であんなクソ野郎の為に大事なを全部捨てて、働かなきゃいけないんだ。
「いいから、教えて下さい」
「ダメだよ!」
「……何であいつを庇うんですか。 メリットないでしょう」
「私が庇ってるのは、ルージュ君の方だよ。 あれから調べたんだけど、あの人は貴族だったんだよ。
 貴族に逆らったら…ルージュ君、酷い目に遭うよ?」
なるほど、貴族で味いもの沢山食えるから、あんなにブクブク太った訳だ。
しいもの、高価なも買って貰って……
だが、貴族だからなんだ。
「構いません。 教えてく…っ!」
俺が引かずに名前を聞こうとしたら、サラに頬を叩かれた。
俺は頰を抑えながら
「……何するんですか」
「馬鹿なの⁉︎ 貴族がどれだけ理不盡か、君は分かってない! 貴族は子供だろうが容赦せずに罰を與えるの!」
「なら! このままあんたは黙ってあいつに従うのか⁉︎ 生研究部に戻りたくないのかよ‼︎」
俺は熱くなり、敬語を使うのも忘れ、サラに怒鳴った。
周りに誰もいなくて良かった。
「戻りたいよ! 戻りたいに決まってるでしょ⁉︎ でも…もう引き返せないの…」
「俺、自分で言うのも何ですが……そこそこ強いと思うんです」
「…? 知ってるよ…ルージュ・アルカディア、有名だもん。 ケン君達を一撃で倒した凄い新生だって噂だから……それがどうしたの?」
「俺の力を最大限使って、あのクソ野郎を脅そうかと」
俺は拳を握りしめ、サラを真っ直ぐ見て言った。
あのクソ野郎になら、なんだってできそうだ。
「まだ言うの? なんでルージュ君がそこまでするの? 言っちゃ悪いけど…私達、他人でしょ?」
「あなたとは他人ですね。 でも、俺は生研究部の部員だ。
 同じ部活の部員がこんな目に遭ってるのに、放っておくのは酷いと思いません?」
「……私、今は生研究部の部員じゃないよ?」
「あなたが本心から辭めたいと思った訳じゃないなら、あなたはまだ生研究部の部員ですよ。 さっき、戻りたいって言いましたもんね」
俺は今、凄くイライラしている。
なんなら今すぐにでもあの野郎に隕石雨メテオ・レインを喰らわせてやりたい。
いや…氷結フリーズで下半から徐々に凍らせて恐怖心を植え付けるのもいいな…
「もう一度言います。 サラさん、あの男の名前を教えて下さい。 俺を信じて下さい」
「…………はぁ…」
サラは深い深い溜息を吐き……
「……ハーネス・レガープ…」
「…ハーネス・レガープ。 覚えました、ありがとうございます」
「ねぇルージュ君、名前を教えてからなんだけど…貴族に刃向かうって事は、重罪なんだよ?
 君の人生を、私なんかの為に臺無しにしてもいいの?」
「……ねぇサラさん。 こんな言葉を知ってますか?」
「ん?」
「バレなきゃ、犯罪じゃないんですよ?」
それを聞いたサラは、目を丸くして固まっていた。
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