《2度目の人生を、楽しく生きる》61話 「噓」

「とにかく、バレないように上手くやるんで、安心してて下さいよ」

「んー……でもやっぱり悪いよ…もしバレたら…」

「大丈夫ですって。 でも一応、あいつ…ハーネスを怒らせないように、今まで通り放課後は働いててくれませんか? 申し訳ないんですけど…」

「それは勿論だよ。 ……じゃあ約束して、危ないと思ったら、バレる前に逃げて」

そんなにバレたらマズイのか。

まぁ、俺も人生を無駄にしたくないしな。

「了解です。 あ、後、壊れたネックレスって持ってます?」

「え? 何で?」

「さっき話してくれた時、ハーネスに返したって言ってなかったから」

「なるほどね…」

サラはそう言うと、カバンを漁り、丁寧に包まれたを取り出し、包みを開けた。

「これですか」

見事に紅い寶石が割れていた、丸い寶石が、まるで弾丸に撃ち抜かれたように、真ん中にが空いていた。

「こんな小さいが金貨100枚ねぇ…」

貴族共の価値観は分からんな。

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「すみませんサラさん。 これ預かってもいいですか? 々使えるので」

「え? うん、いいよ」

「ありがとうございます。 では、俺はこれで失禮します」

俺はサラに別れを告げ、寮に戻った。

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自分の部屋に戻った俺は、ベッドに座り、今後の事を考え始めた。

まず最初にやる事は、このネックレスの謎を暴く事だ。 いきなり寶石が割れるなんてありえない。

なんらかの魔、またはトリックの可能がある。

そして謎を暴いたら次はハーネス・レガープの家を見つける、見つけたらハーネスに不正の証拠を突きつけ、一件落著……。

「……こんなに上手くはいかないだろうなぁ…」

とにかく、時間が必要だ。 

「明日から早速くか」

俺は明日やる事を決め、夜ご飯の時間になってから、食堂に向かった。

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「ルージュさん、なんか元気ないですね?」

食堂でご飯を食べていると、アリスにそう言われた。

マズイ、考え事をしてたからそう思われたのか。

……いや、一応このネックレスの事を聞いてみるか、セレナはともかく、育ちの良さそうなアリスやクリスは何か知ってるかもしれない。

「なぁ皆、夜ご飯食べ終わったら、時間あるか? 聞きたい事があるんだ」

流石に食堂では他の人もいるため、ネックレスは出せない。

「僕は別に大丈夫だぞ?」

「珍しいですね、ルージュさんが聞きたい事があるなんて」

皆OKしてくれたので、ご飯を食べた後、俺の部屋に來てもらった。

ちなみに、子は男子寮にるのはOKだが、男子が子寮にるのは止らしい。

當たり前だな。

「それで、聞きたい事って何? ルージュ」

セレナに言われ、俺は皆にネックレスを見せた。

「このネックレスについて、どう思う?」

「どうって…寶石が割れちゃってるね…綺麗なのに勿無い…」

は大事に扱わなきゃダメじゃない。 作った人に失禮よ」

どうやらセレナとフィリアは何も思わなかったらしい。 

……だが…

「何か分かるか? アリス、クリス」

アリスとクリスは何も言わず、割れた寶石をじっと見つめていた。

やがてアリスが…

「ルージュさん。 このネックレス、誰に貰ったんですか?」

「え?」

予想外の質問に、俺は戸ってしまう。

「……もしかして、ルージュさん。 このネックレスの持ち主に弁償しろと言われませんでしたか?」

「……え?」

なんでアリスが知ってるんだ?

まさかアリスも被害者なのか⁉︎

「3年前、王都である事件があったんだ。

犯人が持っている寶石を一般人にらせ、一般人がった途端に寶石が割れるように仕組み、一般人に弁償させて金を巻き上げるという事件だ」

「は? ……は?」

「今ルージュさんが持っているネックレスについている寶石、それはベリフィアといいます。 そのベリフィアが、事件に使われた寶石なんです」

話が読めない。 何…? 3年前…? 事件? ベリフィア?

これがベリフィアで、このベリフィアを使って3年前に事件……

全く同じじゃないか、今回と。

「このベリフィアじゃないといけない理由があるのか?」

「それはまだ判明していない、だが、3年前に犯行に使われたのが全てベリフィアだったんだ」

「なのであれからベリフィアは絶対に所持しないようにとの決まりなんですよ」

……このベリフィアに、なにかがあるのか? 

絶対にあるはずだ、そしてそれは、ハーネスが知っているはず。

…結局やる事は変わらないか。

「なるほど、分かったよ。 ありがとな皆。 マジで助かった」

この報は大きいぞ、これが分かった今、やる事は決まった。

ハーネス・レガープの家……レガープ家に浸し、証拠を手にれる。

「いや…ルージュ。 君はこれを一誰に…」

「……いや? ただ落ちてたのを拾っただけだよ」

俺がそう言った途端。 皆が靜かになった。

「噓をつかないで下さいルージュさん。 なぜルージュさんがベリフィアを持ってるんですか?」

アリスは俺の噓を見破ったらしい。 

と言うか多分皆にバレてるなこれ、だってセレナ達の視線が冷たいもん。

「……生研究部」

セレナがボソッと呟いた。

「…ん?」

「生研究部と関係があるんでしょ? そしてそのネックレスは、多分サラさんって人のだよね」

え…なんで分かるのセレナさん…

俺は必死に言い訳を考えてオロオロしていると…

「話してよルージュ。 何をするつもりなの?」

……マズい…この空気は…逃してもらえない空気だ。

しかもここは俺の部屋、そもそも逃げる場所がない。

「はぁ…分かったよ…教えるよ。 実はな、このベリフィアは、セレナの言った通り、サラさんのなんだ」

俺は皆に、俺が今生研究部に臨時で部しているという事、そしてサラが3年前と同じ事件に遭っていることを伝えた。

……ハーネス・レガープ…貴族の事は、皆には伝えなかった。

「……ってなわけで、俺はこのネックレスの謎を探してたって訳だ」

「なら、私も手伝うよ!」

セレナが自分も手伝うと言ってきた。

だが、皆を危険な目に遭わせたくない。

「気持ちは嬉しいけど、いいよ」

皆には噓をついてしまう事になるが、仕方がない。

「後は犯人を見つけるだけなんだ、俺1人で十分だよ。 犯人を見つけても、サラさんに近づかないように言うだけだからさ」

もう後はレガープ家に浸するだけだ。 

それからは話題を変え、いろいろ話をして盛り上がった。

皆信じてくれてよかった。

罪悪はあるが……

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次の日の放課後、俺は寮に帰らず、街へ出た。

暗くなるまでにレガープ家を探さなければ。

貴族らしいからきっとデカイ家なんだろう。

俺が街の中を適當に歩き回っていると……

「……おいそこのお前。 昨日の奴だな」

背後から、聲をかけられた。

振り返ると……

「やっぱり、昨日の奴だ。 昨日はちゃんと初等部に戻れたかい?」

小太り、短い金髪、低い長、人を見下しているような態度。

ハーネス・レガープが立っていた。

「ど…どうも…ははは…」

「なぁ…ちょっと俺と話さないか? まさか…斷らないよな?」

マズい……どうしよう。

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