《2度目の人生を、楽しく生きる》62話 「ハーネス・レガープ」

斷れる訳もなく、俺はハーネスについて行き、近くの高級そうなカフェにった。

「あ、あの…僕お金持ってないんですが…」

「ん? あぁいいよいいよ。 俺が奢ってやるよ。 ……聞いて驚くなよ? 俺の名は、ハーネス・レガープ、貴族だ」

「………」

知ってるよ。

「つまんないな。 驚けよ」

どっちだよ! わがままな奴だな!

「えぇ⁉︎ 貴族なんですか⁉︎ わわわ…僕なんかが一緒に居てもいいんでしょうか…」

これで満足だろ。

「ははは! いい驚きっぷりだな! よしよし、なんでも好きなもの頼めよ!」

「ありがとうございます!」

まじかよ、早く別れたいんだが…

だが俺は異世界に來てから外食というものをした事がない。

だからちょっとだけワクワクしていたりする。 ハーネスから渡されたメニュー表を見て…俺は3秒で決めた。

「何が食べ…」

「プリンで」

「ん?」

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「プリンが食べたいです」

まさかここにも我がしのプリンがあるとは……

それを聞いたハーネスは店員を呼び、注文をしていた。

「よし、じゃあプリンが來るまで話すか」

來た。 ハーネスは何故俺をった? 

接點は昨日だけだったはずだが…

「お前の事は調べさせてもらったよ。 ルージュ・アルカディア。 

學早々中等部の男3人を一撃で倒した謎の新生……だろ?」

「…なぜ僕の事を調べようと思ったんですか?」

「髪のだよ」

「髪の?」

俺の髪のがなんなんだ?

「黒髪は珍しいんだよ。 そして、過去に偉業をし遂げた人の殆どが、黒髪の人間らしい」

「初耳なんですが」

何それ、ディノスもフローラもそんな事教えてくれなかったぞ。

「當たり前だろ、これは貴族だけが知ってる事なんだから」

何か一般人に知られたらマズいことでもあるのか…?

そしてハーネスは、カバンの中から大きな巾著袋を出し、俺に渡してきた。

「……これは?」

「開けてみろ」

言われた通り巾著袋を開け、中を見てみると……

黃金に輝くコインがたくさんっていた。

「金貨100枚ってる」

「きっ…金貨…⁉︎」

これが金貨か…初めて見たぞ…

「な、何故これを僕に?」

「お前、強いんだろ? レガープ家の専屬騎士になれよ。 勿論月々の給料は出す。 それは契約金だ」

「専屬騎士…?」

「あぁ、悪い話じゃないだろ? 貴族の専屬騎士だ。 なろうと思ってなれるじゃない」

予想外のこと過ぎるが、冷靜になろう。

目の前には金貨が100枚、100枚あればサラの借金はチャラ。

だが俺はハーネスに仕えるとなる。

そんなのゴメンだ。

「考えさせてもらっていいですか?」

そもそも俺はハーネスを潰すと決めた。

だがこの立場、利用させてもらおう。

「勿論。 時間はたっぷりある、おっ、プリンが來たぞ」

まずはプリンを食べよう。

プリンの前ではどんな事も後回しだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ごちそうさまでした」

「よし、じゃあ俺は家に帰るから、ゆっくり考えてくれ」

「ハーネス様。 待って下さい」

「なんだ?」

帰ろうとしたハーネスを引き止める。

こんなチャンス、逃してたまるか。

「これからハーネス様のお家にお邪魔する事は可能ですか? もしかしたら働く現場になるかもしれないので…」

俺がそう言うと、ハーネスは笑い出し。

「はははっ! そうだな、いいぞ。 ルージュ・アルカディア。 お前をレガープ家に招待しよう」

「ありがとうございます‼︎」

これでハーネスの家の場所が分かる。

順調だ。

レガープ家は剣魔學園から大分離れた場所にあるらしい。

王都はとても広く、王城らしき建付近にある建全てが貴族の家らしい。

そして貴族にもランクがあるらしく。

ランクが高いほど王城に近いらしい。

レガープの家は王城から1番遠いみたいだ。

只今俺は馬車に乗っている。

剣魔學園から王城付近まで行くには1時間以上かかってしまう。 だからハーネスはいつも馬車を使って帰宅しているらしい。

ハーネスは寮で暮らしてるわけじゃないんだな。

「ついたぞ。 ここがレガープ家だ」

「……これが、家なんですか…」

大きすぎる。 剣魔學園の校舎くらいあるぞこれ。

3階建てで、とても大きな屋敷だ。

「あぁ、貴族だしな」

ハーネスはそう言って門番に話しかける。

「俺だ。 今日は友を連れて來た。 中にれるぞ」

「了解しました! ハーネス様!」

門番はハーネスに向かって敬禮をした。

……この門番、剣持ってるってことは、戦えるのか。

「行くぞルージュ」

「は、はい!」

俺はハーネスの後ろについて行き、レガープ家にっていった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ハーネス様、お聞きしたいんですが」

「なんだ?」

今俺はハーネスに家の中を案してもらっている。

今向かっているのはハーネスの自室だ。

ハーネスの自室は3階…つまり最上階にあるらしい。

「この屋敷、警備の人は何人くらいいるのですか?」

「警備? そうだなぁ…70人くらいじゃないか? 詳しくは知らんが、朝晝夜で代して警備してるらしいぞ」

「へぇ……」

以外と多いんだな…

「ここが俺の部屋だ、れ」

「お邪魔します」

ハーネスの部屋にる……

ハーネスの部屋は、質素なものだった。

大きな部屋に大きなベッド、大きなタンス、機と椅子。

目立つのはそれくらいか。

あとは壁に々な寶石が飾ってある事だ。

「何もないだろ? 貴族にしては」

「い、いえ…そんな事は…」

「いい、気を使うな」

ハーネスはベッドに座り、俺は椅子を持って來て座った。

俺はこの機會に、ハーネスに昨日の事を聞いてみることにした。

「あの、ハーネス様。 昨日の事なんですが…」

「あぁ、サラのことだろう?」

「えっ⁉︎」

なんで知って…

「言っただろう? お前の事は調べたって、お前が生研究部にった事も、當然知ってるさ」

「そ…そうなんですか…」

「…で? 昨日が何だって?」

「……ベリフィア。 この名前に覚えはありますか?」

「あぁ、ある」

ごく自然に、息を吐くように、言った。

この言葉を聞いた途端、俺は今すぐにハーネスをぶん毆ろうと思ったが、なんとか踏みとどまった。

今毆ったら全てが無駄になる、耐えろ…

「なら…3年前に王都であったベリフィアを使った事件も…」

「知ってるさ。 あれは元々俺の父様が考えたんだからな」

「なら、あの事件は…」

「レガープ家が犯人だよ。 もちろん、この事を警察に言う気は無い、お前が警察に報告しても、信じてもらえない」

「……でしょうね」

一般人、しかも子供が言った事を警察が信じるわけがない。

そもそも警察署がどこにあるか分からない。

「これを聞いて、お前はどう思う?」

「………」

お前をぶん毆って、泣くまでサラに謝らせてやりたい。

……と、言いたいのは山々だが…

しました! 人々からお金をむしり取る……なかなかできる事じゃないです!」

「そうか‼︎ 金はいくらあっても困らんからな!」

「はい! 流石は貴族ですね!」

…言いたくもない事なのに、言葉がスラスラ出てくる自分が嫌になる。

本當に俺は人のご機嫌取りが得意らしい…。

親の顔を伺い、親が喜ぶ事だけをやってきた。 その結果が引きこもりだ。

「ははは! 気分がいい。 よし決めた、もしお前がレガープ家の専屬騎士にならなくても、その金貨はお前のものでいい! 俺とお前は、今日から友達だ‼︎」

……友達…

俺がずっとしかったもの。 この世界に來るまで、ずっと得られなかったもの。

「えぇ⁉︎ 良いんですか⁉︎」

日本にいた頃なら、こんな言葉でも嬉しかっただろう。

だが今は、こんな友達はいらない。

「お、もうこんな時間か、ルージュ。 お前は寮に戻ると良い。 急がないと、夕飯が食えなくなるぞ?」

ハーネスに言われ、俺は時計を見る。

確かにもうすぐ夕飯の時間だ。

「ほ、本當だ…‼︎」

「馬車は用意してある。 門番に言えば乗せてくれるはずだ」

「ありがとうございます!」

これでこいつがベリフィア事件なんて起こしてなけりゃ、本當に、純粋に、ただの友人として過ごしてみたかった。

だが、こいつは生研究部をバラバラにした張本人。

俺にはあんなことしないだろうが、そんな事は関係ない。

俺はレガープ家の前に止まっていた馬車に乗り、剣魔學園に帰りながら……

ハーネス・レガープ…

「……絶対に、後悔させてやる」

巾著袋を握りしめ、そう決意した。

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