《2度目の人生を、楽しく生きる》65話 「仲直りして元通り」
ハーネスを脅した翌日、案の定騒ぎになっていた。
”レガープ家が何者かに襲撃された”
”ハーネス様が襲われた”
などなど、だが肝心の犯人の名前は分かってないらしい。
ハーネスの奴、誰にも喋らなかったのか。
まぁサタンクロスの名前が広まっても、俺は何も困らないけどな。
そして、ハーネスの事は教室でも…
「昨晩、ドラグラード王國の貴族であり、我が校の生徒でもあるハーネス・レガープの屋敷が何者かに襲撃された。
犯人の特徴は分かってないが、 貴族の屋敷を襲撃する事は大罪だ、そんな犯罪者がこのドラグラード王國に潛伏している、皆くれぐれも気をつけろ」
朝のホームルームでモーナからそう言われた。
クラスメイト達もザワザワしだす。
まさかここまで大事になるとはなぁ…
「貴族襲撃だって、怖いね」
セレナが小聲で言ってくる。
「そ、そうだな」
…すまん、犯人俺なんだ。
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その日の放課後、俺はいち早く教室を出て、中等部のり口へ向かった。
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すると
「あっ、ルージュ君! 來ると思ったよ」
り口にはすでにサラが立っていた。
「…場所を移そうか」
「ですね」
俺とサラは先日の校舎裏へと移した。
まぁ、こんな場所じゃ話せないもんな。
「……君…本當にやったんだね…」
「ははは…意外とすんなり行けたんで驚きましたけどね」
「いや…たぶん君が凄いだけで、普通はそんなにすんなりはいかないよ多分」
サラが呆れたように苦笑いしながら言ってくる。
こんな大事にならなければセレナ達に本當の事を話しても良かったんだが、こんな事になってしまったら本當の事は話せないな…
「あ、多分今日ハーネスがサラさんに謝罪しに來ると思いますよ」
「謝罪って…どんな脅し方したのさ…」
「それはまぁ…で。 とにかく、謝罪しに來るので、そしたら一緒に生研究部に行きますよ」
「えっ…今日行くの…?」
「當たり前でしょう。 もう離れる理由はないんだから」
戻るなら早く戻った方がいいに決まってる。
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それにしても、ハーネスの奴本當に來るんだろうな。 あれだけ脅したから來るとは思うが…
そんな事を思っていると…
「あっ…居た居た! ちょっといいか⁉︎」
ハーネスがやって來た。 見覚えのある巾著袋を持って
「あ、ハーネスさん…」
サラは怯えたようにハーネスの名を呼んだ。
ハーネスは周りを常にキョロキョロと見ている。
きっとサタンクロスを探してるんだろうが、生憎目の前にいるぞ。
「そ、その…だな…今日は…ある事を伝えに來たんだ」
サラは何も言わずに黙っている。
「お前に弁償を請求した件だが…もう弁償はしなくていいぞ。 それだけだ」
………は?
何を言ってるんだこいつは、こいつは俺が言った事を覚えてるのか?
俺は”謝罪”をしろと言ったはずだが…
「あと、これをやろう。 斷る必要はない、貰っておけ」
そう言ってハーネスは金貨がっているであろう巾著袋をサラに渡した。
………なんだこいつの偉そうな態度は。 
「……ちょっとすみません、お腹痛いのでトイレ行って來ますね」
サラにそう言って走り出す。
そしてサラとハーネスから見えなくなった所で…
「突風ウィンド‼︎」
多めに魔力を込めて突風を使い、一気に中等部校舎の屋上に上がる。
そしてそこからサラとハーネスを見下ろせる場所まで移する。
「…ちょっと脅してやろう。 これで変わらないなら…もう知らん」
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ーーサラ視點ーー
「い、いえ…け取れませんよこんなお金…」
ルージュ君がいなくなってから、私はハーネスが渡してきたお金をけ取るのを斷っていた。
私としては弁償しなくて済んだだけでもう十分だから、本當にいらないのに…
「いいからけ取れ! 平民の癖に貴族の褒を斷るな‼︎」
これだ。 ルージュ君はハーネスが謝罪しに來ると言っていたけど、一度も謝罪されてない。
……まぁ、謝罪なんてしてもらわなくてもいいけどさ…
そういえば、さっきのルージュ君、ちょっと不機嫌っぽかったなぁ…そんなにお腹痛いのかな?
「私はお金なんていりません。 もう十分ですので」
「貴様…! 黙ってけ取れと言って…!
 ひぃっ…‼︎」
突然。 そう、突然だった。
顔を赤くして怒鳴っていたハーネスの周りに、10本のの矢が突き刺さった。
それによりハーネスの顔は真っ赤から真っ青に変わる。
「なっ…何故今…! 今まで何もなかったのに…!」
ハーネスが訳のわからない事を言っている。
「……た、頼む…この金をけ取ってくれ…! じゃないと俺は…‼︎」
また1本、追加でハーネスの橫にの矢が突き刺さる。
「た、頼むぅっ! け取ってくれ…! でないと…でないと俺は…サタンクロスに…‼︎」
次は3本、ハーネスの橫にの矢が突き刺さる。
今度のはし掠ったらしく、ハーネスは涙目になりながら…
「すみません…すみませんでした! 騙してすみませんでした…! どうか許してください」
の矢が降ってきてから、ハーネスの態度がガラッと変わった。
まるで何かに怯えてるみたい……あっ…
まさか…
私は先程居なくなった彼の事を思い浮かべる。
まさか彼がここまで容赦ないなんて思わなかった…
普段優しい人ほど怒らせたら怖いというけど、彼はまさにそれに當てはまる。
「た…頼むよ…け取ってくれよぉ…」
ハーネスがとうとう泣き出してしまった。
……これはけ取るしかないなぁ…
「……分かりました。 ありがたくけ取ります…」
「ほ、本當か⁉︎ ありがとう…ありがとう…‼︎」
ハーネスは私の手を強く握って謝してきた。
そして謝をするとビクビクしながら歩いて行った。
帰り際、背中に水球ウォーター・ボールをぶつけられ、びしょ濡れになりながら走って行った。
……本當に容赦ないなぁ…
…でも、ありがとね、ルージュ君。
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ーールージュ視點ーー
ハーネスがサラに謝罪するのをちゃんと見て、ハーネスが見えなくなったのを確認した後、俺は靜かに地面に降りた。
屋上からだからもちろん聲は聞こえなかったが、きっとちゃんと謝っただろう。
さて、知らないふりしてサラに會いに行くか。
「あれ、もうハーネスは行ったんですか?」
そう言いながらサラに近づくと…
「痛っ! 何するんですかサラさん」
急にサラに頭を叩かれた。
何だいきなり。
「あのね…気づかないと思った? 」
あれ…もしかして俺の仕業ってバレてた?
「どうするのさこれ…中見たけど、金貨がいっぱいってるんだけど…」
「素直にけ取ればいいじゃないですか。 
俺なんてハーネスから貰ったお金でレガープ家に襲撃する為のを買ったんですよ?」
「そ、そうなんだ…うーん…」
まだサラが悩んでいる。
この人は優しすぎる。 
「1人でそのお金を使うのが嫌なら、皆で使えばいいじゃないですか。
 生研究部の皆で遊びにでも行けばいいんじゃないですか?」
しは贅沢をするべきだ。 これまで大変だったんだから、これからは楽しむべきだ。
「……うん。 そうだね」
「じゃあ、早速部室に行きましょう」
「うん!」
サラが笑顔でそう言い、俺とサラは部室棟へ向かった。
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「うわぁ…懐かしいなぁ…ここに來るのも1ヶ月ぶりだよ」
部室棟にると、サラがキョロキョロしながらそう言う。
だが、生研究部の部室に近づくにつれ、どんどん靜かになっていった。
「…………」
「やっぱり不安ですか?」
「…うん…退部する時、いろいろ言っちゃったし…」
「無責任かもしれないですけど、それはちゃんと謝るしかないと思いますよ。 きっと許してくれます」
「…そうだといいな…」
そしてついに、生研究部の部室の前に著いた。
中から3人の聲がするので、皆揃っている。
「準備いいですか?」
小聲で言う。
「うん…いいよ」
サラは深呼吸をしてから、そう言ってきた。
「なら、開けますよ。」
俺は生研究部の扉を開け、中にった。
中に居たシルフィ達は…
「あれ? ルージュ君いらっしゃい。 今日は來たんだね」
「今ルージュ君の分の紅茶を淹れますね」
「ルージュ! この前は悪かった! ついつい話しかけちまってさ!」
サラが見えてないからか、皆いつも通りに話す。
「ミーナさん。 紅茶2つお願いできますか?」
「え? 2つですか?」
「はい。 ほら、ってください」
俺が手招きし、サラがゆっくりと、部室にる。
すると…
「え…さ、サラ…⁉︎」
シルフィが純粋に驚き。
「い、今ここっこ…紅茶淹れますねっ!」
ミーナが慌てながら紅茶を淹れはじめ。
「サラ…」
ベリーが気まずそうに呟いた。
「皆…その…ひ、久しぶり…」
「う、うん…」
サラとシルフィが気まずそうに話す。
……これはサポートするしかないな。
「あー…とりあえず、みなさん座りましょう。 ほら、サラさんはこっち」
俺はいつもセレナが座っている場所にサラを座らせた。
そしてミーナが紅茶を淹れ終わり、俺とサラに紅茶を出す。
皆が椅子に座り…
「「「「…………」」」」
4人共誰も話さない。
まぁ…気まずいのは分かるけどさ…
「サラさん。 話さないと何も始まりませんよ」
「う、うん…そうだね。 皆、話があるの」
サラは決意したように、顔を上げた。
「まず最初に、突然部活を退部してごめんなさい! そのせいで生研究部を廃部寸前まで追い込んで…ごめんなさい」
「……それはもういい。 なんか理由があったんだろ」
サラが謝罪すると、ベリーがそう言った。
「うん…実はね…」
サラは、シルフィ達にこれまでハーネスという貴族にお金を請求され、生研究部に迷を掛けないように退部し、今まで放課後は働いていた事を全て話した。
それを聞いた3人は…
「何それ…今まで1人でそんな事してたの…?」
「なんで相談しなかったんですか…」
「あたし、ちょっとそのハーネスって奴ぶん毆って來る!」
皆驚いていた。
しかもベリーは立ち上がり、今にも部室を出て行こうとしていた。
「ダメだよベリー! 相手は貴族なんだから! あともうルージュ君が十分ハーネスを懲らしめてくれたから!」
「ちょっ…! サラさん何バラしてんですか‼︎」
「あっ…ご、ごめん!」
サラがそう言うと、シルフィは俺を見て
「って事は…今朝先生が言ってたレガープ家を襲撃した犯人って…」
「……はぁ…頼みますから、緒にしてて下さいね」
もう諦め、頷いた。
「ははは…ルージュ君もサラも…1人で頑張りすぎだよ…」
シルフィは苦笑いしながら言った。
「ごめんなさい…。 それでね、皆にお願いがあるんだ」
サラは改まってシルフィ達を見た。
立ち上がっていたベリーも席に戻っている。
「あの…出來ればまた…わた…私を…生研究部に部させて下さい…‼︎」
サラは3人に頭を下げた。
するとシルフィは立ち上がり…
「えーっと…あったあった。 はい」
棚を漁って紙をサラに渡した。
サラは渡された「部屆」と書かれた紙を見ると…
「あ……い、いいの…?」
「斷る理由なんてないでしょう?」
「後でたっぷり説教だからな!」
「わたくし達、本當に落ち込んだんですからね」
3人の言葉を聞き、サラはついに泣き出してしまった。
俺は靜かに立ち上がった。
「まぁサラに言いたい事はいっぱいあるけどさ、まずは…」
シルフィはそう言って3人で呼吸を合わせ
「「「おかえり!」」」
笑顔で言った。
サラは…
「うん…ただいま…!」
泣きながらだが、笑顔で言った。
俺は抱きしめあって泣いている4人に気づかれないように靜かに部室を出た。
「これからも、仲良くな」
俺は、予め用意していた「退部屆」を部室の前に起き、寮へ戻った。
きっとあの4人は前よりも仲良くなれるだろう。
あの4人の笑顔が見れただけでも、今回、シルフィの頼みをけてよかったと、素直にそう思えた。
俺も、やっと出來た友達を大切にしないとな。
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     三章 年期 剣魔學園編
    終
男子が女子生徒として高校に入りハーレムを狙っている件(仮)
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