《2度目の人生を、楽しく生きる》68話 「魔止令②」

「ほらどんどんいくぞルージュ! 石連弾ロック・マシンガン!」

「ぎゃあああああ!!」

俺のに石連弾が數発當たる。

今俺がやっているのは、足さばきの練習だ。

まず俺とクリスがし離れ、クリスが石連弾を俺に撃つ、俺は風加速を使わずに石連弾を避け、クリスの元へ辿り著くというものだ。

「いててて…」

「ルージュ大丈夫? 回復ヒール」

「ありがとなセレナ…」

別に怪我はしていないが、セレナが回復魔法をかけてくれた。

…それにしても、ただ魔を避けるのがここまで難しいとは…

「んー…何故當たってしまうんでしょう…」

「僕も出來るだけ石連弾の速度は落としてるつもりなんだが…」

いやもうホント…すみません…

これまで魔を制限した事なんてなかったからなぁ…

「……無意識に魔を使おうと考えてるからじゃないの?」

それまで黙っていたフィリアが口を開く。

無意識か……

「無意識に魔を使おうと考えるから、一瞬きが止まって、石連弾を避ける事が出來ないんじゃないかしら」

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「なるほど、それはあるかもなぁ……自分でもよく分からないんだよ、石連弾はちゃんと視えてるし、避けられない速度じゃない事も分かってるんだけどさ…」

無意識だとしたら相當厄介だ。 いちいちきが止まってたんじゃただの的だ。

「…なら、確認しましょう」

「確認?」

「はい。 ルージュさん、一度だけ風加速を使って石連弾を避けてみてください」

「え、いいのか?」

「はい。 風加速を使えば本當に避けられるのかを確認しましょう。 ルージュさんとクリスさんはいつもより離れて、クリスさんは今出來る最高の速度で石連弾を撃ってください」

最高の速度って……やっぱりアリスは教える立場になると厳しくなるな…

俺はクリスからかなり離れ、集中する。

クリスが一度に出せる石連弾の數は6〜7発…それをこの距離から考えると…大5〜6回石連弾を使えるな。 

なら弾の合計は約40発……風加速ならいける…

「ねぇアリス! 私も魔撃っていい?」

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え……?

「セレナさんもですか?」

「うん! 多分石連弾だけだとルージュなら簡単に避けちゃうと思うからさ、私の閃矢ライトニング・アローとクリスの石連弾ロック・マシンガンなら難易度も丁度いいと思うんだ」

いや……え…? セレナさん…あなた一度に閃矢何本出すと思ってるの?

50本越えてるんだぞ…?

「あら、セレナも混ざるなら私もやるわ。 2人の魔を私の風魔法でさらに速度を上げるわ」

はぁ⁉︎ 

何これ⁉︎ イジメか⁉︎

「はぁ…皆さんがやるなら私も混ざります。 聖水連弾セイクリッド・ウォーターマシンガンで…」

「4人で魔を撃つならもっと離れようよ!」

「…なぁ…俺皆になんかしたか…?」

恨まれるような事でもしたのだろうか……

4人が俺からかなり離れ、魔の準備をする。

遠くないか…? 風加速使わないで避ける時の距離の3倍くらいはあるぞ……

「ルージュさーん! 準備出來たら言ってくださいね!」

準備出來たって言いたくない……

そう思いながらも、直ぐに走れるように準備をする。

「……準備出來たぞー!」

「じゃあいきますね!」

4人が魔を撃った瞬間に走りだそう……

「聖水連弾セイクリッド・ウォーターマシンガン!」

「石連弾ロック・マシンガン!」

「閃矢ライトニング・アロー!」

風ブラスト!」

「風加速ウィンド・アクセルッ!!」

何だこれ……聖水連弾10発、石連弾7発、閃矢約50本…

それだけでも脅威なのに、フィリアの風によって速度が上がり……

俺は數発りながらも前に進んでいたが、4人は容赦なく

「聖水連弾!」

「石連弾!」

「閃矢!」

風!」

2度目の魔を撃ってきやがった。

しは手加減しろよ…!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「はぁ…! はぁ…! あれ…危ない…絶対怪我する…!」

何とか4人の元へ辿り著いたが、ボロボロだった。

避ける為に地面を転がり、避けた先で違う魔に當たり…

幸い出とかは無かったが…

「それでも、ちゃんと辿り著いちゃうんだもんなぁ…」

「まさか本當に辿り著くとは思いませんでした…」

「うーむ…最高速度のつもりだったんだがなぁ…」

「……気絶すれば面白かったのに」

「お前ら俺で遊んでんの⁉︎ 」

なんだ4人して…辿り著かせる気無かったのか⁉︎ 

「…まぁ、これでルージュさんが魔を使えば普通に避けられるというのが分かりましたね」

「そうだな。 今の俺のボロボロの狀態を普通と呼ぶならな」

「はいはい、回復魔法かけてあげるから。 はい回復ヒール」

「…どーも…」

セレナに回復魔法をかけてもらっていると、アリスが話し始めた。

「やはり、ルージュさんは魔はちゃんと視えてるんです。 

風加速はただ走る速度を上げるだけで、視力までは上げられないでしょう?

 でもルージュさんは、フィリアさんの風で速度が上がった私達の魔でもちゃんと視て避ける事が出來ていました。

あんな速度の魔なんて、普通視えないですよ」

「んー…確かに皆の魔はちゃんと視えてたけど、それがなんなんだ?」

「つまり、ルージュさんは魔に頼らなくても避ける事が可能なんです。 

ちゃんと視えてるなら、避けられないはずがありませんからね」

なら、やはり俺は無意識に魔を使おうとしているんだろう。

それさえなくなれば、後は剣だけに集中出來る。

「問題はどうやって無意識に魔を使おうとする癖を治すかですが…」

トーナメント戦は來週、もう時間がない。

「…やっぱりひたすら練習するしかないな。 剣だけに集中出來るように頑張るよ」

この癖が治らない以上、いくら避ける練習をしても無駄だ。 

癖を治すのは、本人である俺にしか出來ない。 アリス達に頼むのはそれからだ。

「皆、今日はありがとう。 この癖が分かっただけでも十分だ」

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あれから皆で夕飯を食べ、一度寮に戻ったが、俺は1人で寮を出て、グラウンドへ向かった。

「…時間がないんだ。 しでも練習しないと」

まず俺が鍛えるべきなのは反神経だ。

視てから直ぐに避けられるようにならないと…

そしてそれを鍛えれば自然に癖も治るだろう。

だがどうやって練習するか…魔止令が出てる以上、何か道を使うしかないが…

「んー…どうするかなぁ…」

グラウンドの周りには木しかない、木を使って何か出來ないか……

「……あっ…」

木を使って避ける練習…”あれ”が出來るじゃないか!

俺は急いで部屋に戻り、金貨を持って売店へ向かった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ふぅ…売ってて良かったぁ…」

俺が売店で買ったもの、それはロープ數本と太い棒をロープと同じ數だけ買った。

まずはロープを木の枝に結びつけ、そのロープに太い棒を吊るす。

それを數カ所で同じようにやれば…

「完だ!」

年漫畫で読んだ事がある、ロープに吊るされた太い棒を揺らし、それをひたすら避けるという特訓だ。

「まさか自分がやる事になるとは思わなかったが…」

とりあえずやってみるか。

そして俺は早速吊るされた太い棒を揺らし、それをひたすら避ける特訓を始めた。

「ほっ…! 意外と…キツイな…!」

四方八方から様々なタイミングで向かってくる太い棒を避けるのはかなりキツイ。

しでも気を抜くと…

「いてぇっ‼︎」

棒に當たってしまう。

痛む後頭部を抑えながら、ひたすら避け続けた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「え⁉︎ ルージュどうしたのその怪我⁉︎」

次の日、セレナが教室にって來て、俺を見た瞬間にそう言ってきた。

「おうセレナ、おはよう。 ちょっと特訓してたら怪我しちゃってな…」

「どうやら昨日1人で特訓してたらしいんです」

昨日、あれからも避ける特訓を続けた結果、後頭部に當たったり、顔に當たったり、に當たったり、足に當たったりと、避けきれずに々當たってしまったのだ。

それで當然だが怪我をしてしまった。

「もう…回復ヒール!」

「おーありがとな」

「あんまり無茶しちゃダメだからね!」

さっきアリスにも同じ事言われたなぁ…

「おう。 だけど、昨日避ける特訓してたら大分マシになったと思うんだ。 放課後、また頼めるか? なんかいける気がする」

「それは全然構いませんが…」

これでちゃんと避ける事が出來たらようやく剣の特訓に集中出來る。 

そして放課後、グラウンドに昨日と同じ5人が集まっていた。

「もう一度聞くがルージュ、本當に最高速度でいいんだな? 風加速は使えないんだぞ?」

「あぁ、手加減はしなくていいぞ」

まだ自分でも癖が治ったか分からないが、治ったならちゃんと避けれるはずだ。

「來いクリス!」

「…分かった。 石連弾ロック・マシンガン!」

クリスの最高速度の石連弾が向かってくる。

…ちゃんと全部視えてる、後は避けるだけ…

昨日の特訓と同じ…!

「よしっ…! 」

ちゃんと避ける事が出來た! 癖が治ったんだ。

あとはクリスの元に辿り著くだけだ。

「石連弾!」

クリスが2度目の魔を撃ってくるが、走りながら回避する。

よし…風加速無しでも避けられてる!

「石連…!」

「はいタッチ!」

クリスが魔を撃つ前に、クリスの肩にタッチする。

を使わなくてもクリスの元へ辿り著く事が出來た。

「おめでとうございますルージュさん!」

「ルージュやったね!」

まさか1日で治るとは思わなかったが…これでようやく本格的に剣の特訓が出來る。

トーナメント戦まであと5日だ。

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