《2度目の人生を、楽しく生きる》76話 「セレナとカノン」
「お兄様! 朝ですよ」
「んー…」
昨日は夜中までカノンと話していたが、フローラがやってきて無理矢理話を終わらせ、カノンを連れ去っていった。
カノンが居なくなってからは、特にやる事も無かったから眠ったんだが、思ったよりも疲れていたらしく、カノンに起こされた今もまだ眠い。
「お兄様、今日はセレナ様に會って、ディノス様と戦うんでしょう? ほら、早く起きて下さい」
そうだった、今日はセレナとカノンを會わせる約束をしてたんだ。
午前中はセレナに會いに行って、午後はディノスと戦う予定だ。
「…よし、起きるかぁ…」
「おはようございます。 お兄様」
「おう、おはよう」
「さぁ、もう朝ご飯が出來てますよ。 早く著替えて下さい」
「了解」
そう言ったが、いつまでもカノンは部屋を出ようとしない。
それどころか床に座ってくつろいでいる。
「あの…カノンさん?」
「はい? どうしましたお兄様?」
「…著替えたいから、一回部屋を出てもらっていいか?」
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俺がそう言うと、首を傾げていたカノンは、ゆっくりと顔を赤く染めていき…
「もっ…申し訳ございません! い、今すぐ出て行きますっ!」
そう言って凄いスピードで部屋を出て行った。
…そこまで顔を赤くする事か…?
そう思いながらも、俺はきやすい服に著替え、リビングへと向かった。
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「あ、ルージュ、おはよう」
「おはよう母さん。 …父さんは?」
「父さんは午前中は森の警備よ。 本當は午後からで、午前はアレスさんの擔當だったんだけど、変わってもらったらしいわ」
別に明日でも良かったのに…どんだけ戦いたいんだよ。
「そういえば、さっきルージュを起こしに行ったカノンちゃんが、顔を真っ赤にして戻ってきたんだけど。 何かしたの?」
フローラがニヤニヤしながら言ってくる。
…一何を考えてるのだろうか。
「著替えるから部屋を出てくれって言っただけだよ」
「え、それだけ? ……カノンちゃん、可いわねぇ…」
それは同だ。 
というか、カノンはどこに行ったんだ?
俺が周りをキョロキョロしていると
「カノンちゃんなら部屋に居るわよ。 準備があるらしいわ」
部屋か、昨日カノンは何処に寢て居るのか聞いたら、丁度空いてた部屋があったらしく、そこで寢て居るらしい。
まぁ…アルカディア家は3人で生活するにはちょっと広いからな。
4人になった今でも全然狹いとは思わない。
「カノンちゃんが戻ってきたらご飯を食べましょうか」
「うん」
「今日はセレナちゃんに會いに行くんでしょう?」
「うん、セレナはカノンに會いたがってたからね」
果たしてカノンはセレナと仲良くしてくれるだろうか。
まだセレナがハーフエルフという事は伝えてないが、カノン自は「仲良くしたいです」と言っていた。
「そう…ねぇルージュ。 剣魔學園でその…セレナちゃんは…」
…あぁ、そうか。 フローラやディノスにはまだ言ってなかったな。
きっとフローラはセレナが心配なんだろう。
フローラやディノスはセレナがイジメられていた事を知ってたからな。
「大丈夫だよ母さん。 セレナは自分から友達を作ったんだ。 いつもアリスとフィリアって奴と一緒にいるよ」
俺がそう言うと、フローラは安心していた。
「あ、じゃあルージュは?」
「俺はクリスって奴と仲良くしてるよ。 いつも俺、セレナ、クリス、アリス、フィリアの5人で行してるんだ」
「そう…クリス君、アリスちゃん、フィリアちゃんね。 母さん安心したわ、ルージュ、お友達を大切にするのよ?」
「分かってるよ」
やっと出來た友達なんだ。 大切にするに決まっている。
すると、そこに準備が終わったらしいカノンがやってきた。
カノンは俺を見てまだ顔を赤くしている。
「それじゃあ食べましょうか。 いただきます」
「「いただきます!」」
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朝食を食べ終え、俺は出かける準備をしていた。
「お兄様! 私は準備出來ました!」
「よし、んじゃ行くか」
準備と言っても、剣とタオルと水筒と銀貨10枚だけだ。
タオル、水筒、銀貨は小さなポーチにれ、肩に掛けている。
対するカノンは…
「カノン、荷多くないか?」
カノンは、かなり大きなリュックを背負っていた。
「え? そうですか?」
「何持ってるんだ?」
「えーと…お弁當、ブルーシート、タオル、水筒、枕、布、非常食のパンですよ?」
………
そんな當然だろ? みたいな顔で言われてもな…
「よし、弁當とブルーシートとタオルと水筒以外、全部部屋に置いてこい」
「え⁉︎ 何故ですか⁉︎ 」
「要らないからだよ! なんだ布って、今夏だぞ⁉︎ しかも村に居るのになんで非常食が要るんだよ!」
「で、でも…もしもの事が…」
「無いから。 絶対に無いから置いてきなさい」
俺がそう言うと、カノンは渋々部屋に戻り、今度は小さなリュックを背負って來た。
「よし、行くぞ。 もう余計なは持ってないよな? 弁當、ブルーシート、タオル、水筒だけだな?」
「はい。 その4つだけですよ」
ならいいか。 俺は部屋から出て、外に出るために扉へ向かった。
「母さん、行ってきます!」
「行ってきます」
「はーい、行ってらっしゃーい!」
家の奧からフローラの聲が聞こえた後、扉を閉め、歩き出した。
そして大分歩いた所で
「あ、ところでお兄様、待ち合わせ場所はどこなのですか?」
「……え」
あ……決めてなかった…
昨日は早く家に帰りたくてそんな事話す余裕が無かったしな… 
どうしよう…
「あ! ルージュだ、おーい!」
俺が本気で焦っていると、前からセレナが走ってきた。
「セレナ⁉︎ なんで…」
「おはようルージュ! 昨日待ち合わせ場所決めるの忘れてたから、直接ルージュの家に行こうと思ったんだ」
あ、その手があったか。 家に直接向かえば良かったんだ。
まぁ、會えたからいいか。
「おはようセレナ」
「うん! 」
セレナは次に俺の隣にいるカノンを見る。
カノンは張してるのか、何も喋らない。
「紹介するよ。 この子はカノンだ、ほらカノン、挨拶は?」
俺がカノンの背中を優しく叩き、セレナの前に行かせる。
セレナはずっとニコニコしてカノンが話すまで待っている。
……セレナも5年前まではカノンと同じような反応をしてたのに、本當長したな。
「かっ…カノンです…よ、よろしくお願いします」
カノンはなんでこんなに張してるんだ?
俺に自己紹介した時はこんなに張してなかったのに。
…というか、カノンはセレナの耳を見てもなんとも思わないらしいな、そこは安心だ。
「カノンちゃんだね。 私はセレフィーナ・エゼルミア! 長いから皆にはセレナって言われてるんだ、よろしくね!」
…うん。 相変わらず自己紹介が上手いなセレナは。
「で、では…セッ、セレ…」
「セレナでいいよ?」
「は、はい…ではセレナ様、よろしくお願いします」
「え、様⁉︎」
セレナが俺と同じ様に驚く。
そりゃいきなり様付けで呼ばれたら驚くよな。
「あ、あー、じゃあ、自己紹介も終わったし移するか」
「え、あ、うん!」
「分かりました」
んー…靜かに話せる場所…どっかあったかな…
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「…結局、ここしか思い浮かばなかったな」
今俺達は、初めて俺とセレナが出會った河川敷に來ていた。
「うわぁ、懐かしいなぁ」
まぁセレナは嫌とは思ってないみたいだし、ここでいいか。
「素敵な場所ですね」
ただ川と坂と地面があるだけだが、この場所は俺達にとって思い出深い場所だ。
「座るか」
「そうだね」
「あ、ではブルーシートを敷きましょう」
カノンがリュックからブルーシートを出し、3人で協力してブルーシートを敷いた。
それからブルーシートに座り、3人で向かい合い。
「ルージュ、昨日はゆっくり過ごせた?」
「あぁ、久々にゆっくり過ごせたよ。 セレナは?」
「私もゆっくり過ごせたよ。 お母さんとお父さんに「お友達が出來たよ」って言ったらね? 泣きながら抱き付いて來たんだ」
セレナは苦笑いしながら言ったが、嬉しそうだった。
きっとセルミナやアレスも嬉しかっただろうな。
セレナは剣魔學園に學してから驚く程長したからな。
「あ、そういえば今日ディノスさんと戦うんでしょ?」
「え、なんで知ってるんだ?」
「さっきお父さんが言ってたの」
あぁ、そういえば森の警備を代わってもらったって言ってたな。
その時に言ったのか。
「…ねぇ、私もディノスさんと戦ってもいい?」
セレナが急にそう言ってきた。
「ディノスさんにどれくらい長したか見せたいの」
「いいんじゃないか? きっと喜ぶと思うぞ」
俺がそう言うと、セレナはガッツポーズをしていた。
そこにカノンが
「ところで、お兄様とセレナ様は、どちらの方が強いのですか?」
と言ってきた。
そしてセレナは
「んー、ルージュじゃないかな? この前はけなくされて負けちゃったし」
お、おい……
「え、けなくされて…?」
「そうそう、足と手を凍らされちゃったの」
いや…確かにそうだけど…
「…お兄様、流石にをけなくして勝つのは酷いと思います」
「いや! 違うんだよ、あれは良く考えてなくて……っていうか! 酷いのは噓ついて魔撃ってきたセレ…!」
「あー…あの時は怖かったなぁ…冷たかったし」
なっ…! セレナの奴…! 思ってもない事を…
「お兄様…」
ついにカノンの俺を見る目が冷たくなってきた頃
「ふふ…冗談だよ。 純粋に私よりルージュの方が何倍も強いよ」
セレナが笑いながらそう言ってくる。
いや…何倍もは強くないと思うが…
「え、そうなのですか?」
「うん! あ、そうだ、カノンちゃんにルージュの凄い所教えてあげようか?」
「! 是非! 是非教えて下さい!」
カノンが目をキラキラさせる。
おい、これなんの拷問だよ。
目の前でこんな話されるとか…
「じゃあまずはルージュの戦い方からね!」
「おぉ!」
「勘弁して下さいセレナさん!」
俺の願いは聞かれず、セレナは俺の事をカノンに話し始めた。
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