《2度目の人生を、楽しく生きる》81話 「監生活」
あの後、ローガは俺たちを縄で縛り、窓のない部屋にれ、鍵をかけた。
その際武も奪われた。
つまりは監狀態だ。
「あーあ、捕まっちまったなぁ…」
「……」
今いる部屋は大分広く、窓はないが、本棚、テーブル、椅子などがある。
テーブルの上には果が置いてあり、生活には困らない。
「セレナ達、何してんだろうなぁ…」
「……」
さっきからカノンは一言も喋らない。
ずっと俺の隣で座ってかない。
「暇だなぁ…魔も使えないし…」
監される際、俺とカノンは首のようなものをつけられた。
どうやらこれは魔力を抑えるらしく、首をつけられてから俺は魔を使えなくなってしまった。
「なぁカノン、暇だから遊ぼうぜ。 しりとりって遊びがあるんだけど…」
「…お兄様」
「ん? どうした?」
これまでずっと黙っていたカノンが、俺の顔をチラチラ見ながら口を開いた。
まるで俺の顔を伺っているようだ。
「…何故…私を叱らないのですか?」
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「ん?」
「私がお兄様をここに連れて來なければ…こんな事にはなりませんでした。 なのに何故、お兄様は私を叱らないのですか…?」
「カノンはローガって奴が悪い奴だって知らなかったんだろ?」
「…はい。 知りませんでした」
「なら俺が怒る理由はないね。 知ってて俺を連れて來たんなら別だけどな」
そう言って俺はカノンの頭をでる。
カノンは自分が悪いと思ってるみたいだが、それは違う。
今回の件、悪いのは俺だ。
もっと警戒するべきだったんだ。
森にった時點で、怪しむべきだった。 
「安心しろよカノン。 俺が絶対、お前をドーラ村に帰してやるから」
「…ごめんなさい…」
俺がそう言うと、カノンは泣き出してしまった。
こんな狀況だ、泣くのも仕方がないだろう。
………せめてカノンだけでも、ドーラ村に帰してやらないとな。
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「リュック」
「”く”ですか…難しいですね…では、果」
「ノーベンバー」
「それは何ですか? 聞いた事がありません」
「どこか遠くの國の言葉だよ」
今俺は、泣きやんだカノンとしりとりをして遊んでいる。
この部屋には暇つぶしするが本しかなく、「読書は無言になるから止めよう」と言う事になり、しりとりをして遊ぶ事になった。
「では「ば」ですか。 えーと…」
カノンが次の言葉を考えていると、突然、部屋の扉の鍵が開く音がした。
この部屋は外からしか鍵がかけられず、中から鍵を開ける事は出來ない。
「失禮します。 ローガ様がお呼びです」
「……誰だあんた」
扉を開けたのは、大人のだった。
は緑の髪で、スーツを著ている。
禮儀正しそうな人だ。
「失禮。 自己紹介がまだでしたね。 私はケイプ、ローガ様の部下です」
「ケイプさんね。 ローガが俺たちを呼んでるって?」
「はい。 それと、「様」をつけるのを忘れないように」
「はいはい了解ですよ。 ケイプ様」
「……私にではなく、ローガ様に」
そう言うと、ケイプは俺たちの腕に拘束バインドをかけた。
そのせいで腕を自由にかす事が出來ない。
「…これは?」
「念のためです。 何をするか分からないから、と。 ローガ様の指示です」
…魔を使えないようにしたりと、ローガは隨分と用心深い奴らしい。 
腕を縄で拘束されたまま、俺たちはケイプの後ろをついていった。
俺たちのいた部屋は二階にあり、ローガのいる部屋は三階にあるらしい。
階段を上り、三階にある部屋の扉をケイプが開けると、長い機があり、その1番奧の椅子にローガが座っていた。
「やぁ、あの部屋の居心地はどうだい?」
「最悪だな。 出來ればあんたの部屋と換してほしいくらいだ」
「ははは、申し訳ないけどそれは出來ないなぁ。 ま、座りなよ、食事にしよう」
ローガがそう言うと、俺たちがって來た扉とは別の扉が開き、メイド服を著た2人の若いがって來た。
適當に椅子に座ると、メイド達は俺とカノンの前に料理を出して來た。
見るからに高級そうな料理だ。
「…このメイドも、あんたの部下か?」
「そうだよ。 カノンは面識があるよね」
ローガがそう言い、ふとカノンの方を見ると、カノンは小さく頷いた。
「…私はメイド見習いのようなものでした。 あの2人は私の先輩だった人たちです」
「2人共、ルージュ君に自己紹介をしてあげなよ」
すると、2人のメイドは俺の前に立ち、スカートの両端を軽く持ち上げ
「初めまして、メイドリーダーのレーラです」
「初めまして、メイドサブリーダーのシーラです」
レーラは桃の肩までの短い髪で、シーラは桃の長い髪だ。
2人共とても若い、明らかに10代だ。 
長から考えると…もしかしたらシルフィ達と歳が近いかもしれない。
「に囲まれてハーレムでも作ってんのか? 」
「ははは、これからは君も加わるから、ハーレムではなくなるね」
俺の軽蔑した視線にも、ローガは構わずに話し続ける。
「さぁ、冷めないに食べようか」
正直、空腹なので逆らわずに食べ始めた。
悔しいが、見た目通り味かった。
料理を食べ終えると、また両腕を縛られた。
「じゃあ、今日は疲れただろうし、部屋でゆっくりしてていいよ」
「…あぁ」
そのまま部屋を出て、ケイプと共に監部屋へと向かう。
「料理はお口に合いましたか?」
「あぁ、悔しいくらい味かったよ」
「それは良かったです」
ケイプは嬉しそうに微笑んだ。
ケイプは扉を開け、俺たちは監部屋にる。
「では、居心地は悪いと思いますが、我慢して下さいね」
「なぁ、1つ聞いてもいいか?」
「はい?」
ケイプは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに真顔に戻った。
「あんたは、ローガの正をしってるのか?」
「…魔剣使いの1人。 ですよね?」
「それを知ってて何故、あいつに従うんだ? あんたは真面目そうな人だ、なのになんでだ?」
「そうですね……”逆らえないから”ですかね」
ケイプは俺の耳元に顔を寄せ、小さく呟いた。
逆らえないから……だと…?
「じゃ…じゃああんたは…」
本當はこんな事、んでないんじゃ…
「次の仕事があるので、失禮しますね」
そう言ってケイプは扉を閉め、鍵をかけた。
俺は部屋に置いてある椅子に座る。
逆らえないってどういう事だ? 
何か弱みを握られてるのか?
「…なぁカノン」
「はい?」
ケイプがそうなら、もしかして…
「あのメイド2人…レーラとシーラってどんな奴なんだ?」
「えーと…レーラさんはお姉さんみたいな人で、とても優しい人です。 お仕事もきちんとやって、優しく教えてくれました。
シーラさんは、お料理が得意で、よく緒で私にお菓子を作ってくれました。
2人は姉妹で、とても優しい人達でした。
でも…まさか悪い人達だったなんて…」
この話から、カノンとレーラ達の仲の良さが分かる。 2人共カノンに優しくしてくれていたらしい。
そんな優しい人達が、悪者なわけがない。
「カノン。 あの2人が悪い人だと決めつけるのは早いぞ」
「…え?」
「俺の予想だが、あの2人はローガになにか弱みを握られてるんだと思う。 だから逆らえないんだ」
まだ確信は出來ないが、合っている気がする。
なら、ゆっくり話し合う必要がある。
「じゃあ…レーラさん達は…」
「あぁ、俺たちの味方になってくれるかもしれないぞ」
まず俺がやるべき事は、あの3人と話し合う事だ。
その為には、この屋敷を自由にけるようになる必要がある。
そして、それには、ローガに信用されなければいけない。
……明日から、大変になりそうだ。
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