《2度目の人生を、楽しく生きる》94話 「暴走する龍の力」
「石連弾ロック・マシンガン」
右手を前にだし、男に石連弾を撃つ。 なぜか、この石連弾は今まで出した石連弾の中で最高の速度だった。
石連弾は1発も外れる事なく、全弾男に當たる。
男はそのまま地面を転がり、俺を睨んでくる。
「て…てめぇ…何者だ…?」
「……俺…? 何者って…見ての通り、ただの子供だろ」
何を訳の分からない事を言ってるんだろう。
俺は風加速を使い、一瞬で男の前に行き、男の顔を蹴り上げる。
蹴り上げにより、男は思ったより高く飛んでしまった。
……普通に蹴ったつもりなのに…なんでだろう。
俺は思い切り飛び上がり、空中の男に追いつき、男の腹にかかと落としを食らわせる。
それにより、男は急降下し、地面に激突する。
「ぐはっ…!」
「……なんかお前、弱くなってないか?」
さっきはコイツのきが全然見えなかったのに、今はスローモーションみたいに見える。
「くっ…そぉ…! 砂槍サンドスピアァ!」
地面の砂を槍に変え、至近距離で槍を放ってくる。 俺はその槍を片手で摑み、逆に男の足に突き刺した。
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「があああああっ!! あ…足がああっ…!」
男が槍が刺さった足を抑えて蹲る。 
そんな男を見下し、俺はただただこの男に怒りを抱いていた。
「痛いか? ルナ・ウルフは、もっと痛かったはずだぞ」
そう言って、蹲っている男を思い切り蹴り、遠くへ飛ばす。
コイツは、生きていちゃダメな人間だ。 ここで逃せば、また新たな生が命を落とすかもしれない。
コイツは、ここで殺す。
右手を上にあげ、魔力を溜める。
そして、頭上に大きな火球を5個作る。
だが、おかしい事が起きた。
火球のが違うのだ。
いつも俺が出していた火球のは赤だ。 だが、今俺の頭上にある火球のは黒。 黒い火球が、メラメラと燃えていた。
しかも、いつもの火球よりも大きい。
なんだ…? 今日はおかしな事が多すぎるぞ…
「…死ね。 隕石雨メテオ・レイン」
右手を下げ、黒い火球は男の元へまっすぐ飛んでいく。
男は餅をつき、目を見開いていた。
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そして、隕石雨が地面に落ちると、落ちた周辺に黒い炎が広がった。
周りに木があったため、その木にも炎が燃え移っている。
……まぁ、じきに消えるだろう。
俺は振り向き、背後にいる狼達を見る。 狼達も俺の事をジッと見ている。
…謝らないと。 俺が弱かったせいでルナ・ウルフが死んだ。 元兇は倒したが、もうルナ・ウルフは戻って來ないんだ。
狼達の方へ歩き出すと、大人のソル・ウルフは子狼の前に出て、俺を睨んできた。
……やっぱり、怒るよな。
「…ごめん。 俺のせいで、ルナ・ウルフが死んでしまった」
頭を深く下げ、謝罪する。 ソル・ウルフの顔は見えないが、きっとまだ怒っているだろう。
チラッと顔を上にあげてソル・ウルフの方を見ると。
凄い形相で俺の元へ走ってきていた。
あぁ…コレは噛みつかれるな。 もしくは當たりか。 だが、素直にけよう。
そう決意していたが、ソル・ウルフは俺の橫を通り過ぎ、俺の背後の森にっていった。
黒い炎が広がっている森の中へ。
「……は…? 」
なにをしてるんだ? 今森は燃えてて、ったら危ないのは分かっているはず…
ソル・ウルフは炎の中に顔を突っ込み、何かを口に咥えて戻ってきた。
ソル・ウルフが咥えていたものを見て、俺は目を見開いた。
それは、酷い火傷をした子供のイノシシだった。
ソル・ウルフはイノシシを地面に寢かせ、俺に吠えた。
「ガウッ!!」
”火を消せ”。 そう言っているのが理解出來た。
「っ! 水球ウォーター・ボール! 水球! 水球!」
黒炎に水球を撃つが、消える気配がない。 むしろ広がり続けている。
人手不足だ。 俺1人じゃこの炎を消すのは…無理だ。
そう思っていた時、俺の頬を砂の槍が掠めた。 頬からが流れる。
「…まだ生きてたのかよ」
「はっ! このガルダ様が簡単に死ぬかよぉ!」
…こいつガルダって名前なのか。 まぁ、そんな事はどうでもいい。 生きてるなら、また攻撃するだけだ。
「砂槍サンドスピアァァッ!」
ガルダが地面の砂を槍に変えて飛ばしてくる。 
俺は背中に差している片手剣を抜き、砂槍を弾き飛ばす。
弾き飛ばした後、風加速でガルダの元へ移し、片手剣でガルダの顔を狙って突きをする。
「っ!」
「…避けるなよ」
だがガルダは顔をずらして突きを躱す。 次に、剣に黒炎を纏わせ、剣を振るう。
「…っ! 砂剣サンド・ソード!」
俺の剣撃を避けながら、ガルダは地面の砂を剣に変え、その砂剣で俺の剣防ぐ。
だが、至近距離になった時點で俺の勝ちだ。
し魔力を込めると、剣に纏わせている黒炎の威力が増す。
「炎斬えんざん」
至近距離でガルダに炎斬を食らわせる。 ガルダはその場に膝をつく。 中火傷しているのを見ると、相當なダメージだったはずだ。
そして、周辺は黒炎で囲まれている。 逃げ場ない。
ソル・ウルフに火を消せと言われたが、今はガルダを殺す事が最優先だ。 火消しは全てが終わってからでいい。
「さぁ、今殺してやるよ」
膝をついているガルダの頭に狙いを定め、剣を振り下ろそうとした時…
「ルージュ君!?」
「ルージュ! 何をしてるの!?」
聞き覚えのある聲が聞こえ、思わず聲の方を見る。
すると、そこに居たのはやはりセレスとグリムだった。
2人は俺を見て目を見開いている。
対して俺は、2人に手を振る。
「よぉ2人共、一緒にこうどうしてたんだな」
「そんな事言ってる場合じゃないでしょう!? この狀況は何よ! なんで森が燃えてるの!?」
「それにルージュ君…その姿は…」
なんだ2人共、そんなに焦って。 
とりあえずガルダの頭を踏みつけ、2人に狀況を説明する。
ガルダはいつの間にか気絶していた。
「コイツと戦ってたんだよ。 森が燃えてるのはそのせいだ」
「なら…森を燃やしたのはソイツなのね? だからルージュが戦ってたってわけ?」
セレスがそう言うが、俺は首を橫に振る。
「いや? 森が燃えてるのは、俺のせいだぞ? そんなのあとから消せばいいだろ? それより、コイツを殺すのを手伝ってくれ」
そう言うと、2人はまた目を見開く。 そして、セレスが無言で俺の元に歩いてくる。
どうやら手伝ってくれるみたいだ。
「…ルージュ」
「なんだ?」
次の瞬間。 セレスが思い切り、俺の顔を毆った。
それにより、俺は後ろに飛ばされ、木に激突する。
セレスの方を見ると、セレスは怒りをわにしていた。
「何を考えているの!? どう考えても、火を消すのが先でしょう!?」
毆られた頬をさすりながら立ち上がり、セレスを睨む。
睨まれると思っていなかったのか、セレスは一瞬を震わせた。
「火消しをしてる間に逃げられたらどうするんだよ」
「そ、それは…でも! 火を消さないと、森に住んでる生が死んじゃうわ!」
「………だから、なんだ? 」
そう言うと、セレスは俺を睨む。 
なんでセレスがそんな目をするんだ? その目は、敵に向ける目だろう。
俺はセレスの敵じゃないはずだ。 
「……グリム、しばらく火消しを任せてもいい? 私もすぐに協力しにいくから」
「え……分かった。 セレスはどうするの?」
「私は、あの馬鹿を叩きのめすわ!」
そう言って、セレスが俺の元へ走ってきた。
よく分からないが、どうやらセレスは俺と戦うつもりらしい。
俺の近くまで來ると、セレスは飛び上がり、空中で拳を強く握り、右手を後ろに引く。
「龍神武・紅破ッッ!!」
拳を突き出してくるが、俺はそれを片手で摑む。 そしてセレスの拳を強く握る。 セレスは痛みに顔を歪めるが、力を緩めることはしない。
「…邪魔なんだよ」
そのままセレスの腹を思い切り蹴る。 セレスは凄まじい勢いで後ろに飛び、地面を転がる。
「うっ…! 」
腹を抑えて蹲るセレスの元に風加速で一瞬で移し、セレスを見下す。
「…ルージュ…いったいどうしちゃったのよ…! なんでそんなに変わったの!? 」
…俺が変わった…? 何を言ってるんだセレスは。
「俺は変わってない」
「噓よ! ルージュは優しいもの! こんな事絶対にしないわ!」
「……俺だって、怒ることくらいあるんだよ」
「限度があるでしょう! ルージュが満足するためなら、犠牲者が出てもいいって言うの!?」
「もう黙れよ!!!」
セレスのがビクッと震えるが、すぐに真剣な表に戻る。
「俺の邪魔をするな。 アイツを殺したら、火消しでもなんでもやってやる。 だから、今は邪魔をしないでくれ」
そう言って気絶しているガルダの元へ歩く。
だが、セレスは俺の肩を強く摑んだ。
それにより、とうとう俺の怒りが頂點に達した。
「邪魔すんなって…言ってんだろうがっ!!」
セレスの手を払いのけ、思い切り回し蹴りをする。
セレスは水魔法で火消しをしているグリムの元に飛んでいき、グリムの近くで気絶した。
グリムがセレスを見て目を見開き、セレスのを揺すりながら何度もセレスの名前を呼んでいる。
俺はガルダの近くに來ると、剣を構える。
…やっと殺せる。
「死ね。 ガルダ」
「風龍魔・ゲイルブラスト!!」
後は剣を振り下ろすだけ、と言うところでグリムのゲイルブラストによって俺は橫に飛ばされる。
またしても木に激突し、イライラしながらグリムを見ると、グリムの姿がなかった。
先程までグリムがいた場所にはセレスが寢かされている。
グリムの姿を探すために周りを見回していると、頭上の木の上から聲がした。
「土龍魔・ロックマシンガン!!」
頭上から雨のように龍の形をしたロックマシンガンが降ってくる。
俺はその場から回避しようとしたが、數発被弾してしまった。
ロックマシンガンの威力は凄まじく、被弾した箇所は打撲したように腫れ上がっていた。
聲のした木の上を見ると、またグリムの姿が消えていた。
「グリム! どこだ!」
「ここだよ、ルージュ君」
右から聲がした。 すぐ真橫だ。 數秒前まで、そこには誰もいなかったはずだ……
グリムは、俺の顔を思い切り毆ってきた。 俺は地面を転がり、グリムの方を見る。
今回はグリムの姿を確認する事が出來た。
それと同時に、グリムの変化に気がついた。
「…ルージュ君。 僕今、凄く怒ってるんだ。 友達として、僕は君を止めるよ。 君を人殺しにはさせない」
グリムの顔以外のを、赤い鱗が覆っていた。 そして、グリムの表にはいつもの弱気は微塵もじられなかった。
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