《2度目の人生を、楽しく生きる》101話 「これから」

眼が覚めると、俺はベッドの上にいた。 起き上がろうとすると…

「っ! 痛ってえええぇっ!!!」

に強烈な痛みが走った。 特に両腕。 とてもかす事が出來ない。 

俺の絶を聞いたのか、扉を開けてレーラとシーラがってきた。

「あ、ルージュ君起きたんだね」

「あまりかない方がいいわよ」

そう言うと、レーラはれた布を直してくれた。

窓を見ると、もう夕方だった。

「…俺、どれくらい寢てたんだ?」

「2日よ」

「2日!? そんなにか!?」

2日も寢たきりとか…どんだけ力使ったんだ俺は…

「あ、そうだ! ローガは?」

「ローガなら、昨日レイニクスって人が王都に連れていったわ。 警備隊に渡したらしいわよ」

「…そっか、よかったぁ」

「あ、そうだ! ルージュ君凄いことになってるんだよ?」

そう言って、シーラがある紙を見せてきた。 俺は両腕を使えないので、シーラに見せてもらった。

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その紙を見た瞬間、俺は目を見開いた。 紙には…

『魔剣使いローガを1人で倒した”小さな英雄”! その名はルージュ・アルカディア! 年齢は10歳!

現在は剣魔學園に在學中。 今後に期待!』

と、でかでかと書かれていた……

「な…なんだ…これは…!?」

「レイニクスさんがローガを警備隊に渡した時にいろいろ話したみたいだよ?」

レイニクスの奴なんて事をしてくれてんだ…!?

…って事はこの事はディノスやセレナやクリス達にも知られてるって事だよな…

なんて説明すればいいんだよ……

「諦めなさい。 小さな英雄さん?」

「そうだよ! かっこいいじゃん小さな英雄」

「やめてくれ恥ずかしい!!」

…そうだよな、ローガは指名手配者なんだもんな…そいつを倒したんだからニュースになるよなぁ……

「あ、そうだルージュ君。 お腹空いてない?」

「あぁ、めちゃくちゃ腹減ってるよ…2日も何も食べてないからな…」

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「じゃあ今から作ってくるね! 行こう姉さん」

「えぇ」

2人が部屋を出て行くと、今度はセレスとグリムとカノンがってきた。

いつの間に仲良くなったのか、カノンの腕にはソルとルナが抱えられていた。

「やぁルージュ君。 お疲れ様」

「ルージュ! やったわね!」

「お兄様。 本當にありがとうございました!」

各々がそう言ってくる。 ソルとルナはカノン腕から離れ、俺の上に乗ると、俺の頬を舐めてきた。

……こいつらも一緒にローガと戦ってくれたんだよな…

「…ソル、ルナ。 あの時助けてくれてありがとな」

本當はでてやりたいが、生憎今は腕がかせない。

ソルとルナは俺のネックレスにれ、自分からクリスタルの中にっていった。 

「あ、そうだグリム。 他の龍族の人達はどこ行ったんだ?」

「あの人達は先に村に帰ったよ。 殘ったのは僕らとレイニクスさんだけ」

まじか、お禮言いたかったのにな…

まぁ、居ないなら仕方ない。 この2人に言おう。

「セレス、グリム。 今回は本當にありがとう。 俺1人じゃローガを倒せなかった。 皆があの死達を足止めしてくれたから、俺はローガだけに集中できた」

「いいえ、お禮なんていいわ。 ルージュと會えたから私達も強くなれたのよ」

「うん。 ルージュ君は強くて、僕の理想の人なんだ。 そんな人と一緒に戦えて僕は満足だよ」

俺はもう一度2人に頭を下げた。 そんな俺の元にカノンがやってきて、俺がずっと忘れていた事を口にする。

「お兄様…ディノス様達は心配してないでしょうか…?」

「……あっ…」

そうだ。 そういえば俺達はいきなりドーラ村から居なくなったんだよな……そして何も連絡がないまま何週間も経って…いきなり息子がニュースになってるときたもんだ。

……絶対問いただされる…!

「…絶対心配してるだろうなぁ……」

「私、ディノス様達に謝らなければですね…」

「いや、カノンは悪くない。 事を説明すれば分かってくれるさ。 …そうと決まれば、早くドーラ村に帰らなきゃな」

俺がそう言うと、セレスとグリムがピクッと反応した。 そしてセレスが寂しそうな聲で

「そ、そうよね、ルージュは家に帰っちゃうのよね…」

と言ってきた。 …そうか。 ドーラ村に帰ればセレス達とは會えない。 俺は學校があるし、セレス達は修行の日々だ。

もうこんな気軽に會えなくなってしまう。

……寂しいな…

「セレス。 離れてても俺はずっと聖龍連合の一員だ。 そうだろ?」

「…うん…」

「なら、また絶対に會えるさ。 お互い強くなって、聖龍連合の名前を広めようぜ?」

「…そうね! ルージュだけ英雄になっちゃったし、私も負けてられないわ! リーダーとしてしっかり活躍しなくちゃ!」

セレスが元に戻った所で、レイニクスとケイプが部屋にってきた。

「失禮します。 グリム様、セレス様、カノン。 シーラとレーラが呼んでいます」

そう言うと、グリム達はケイプについていき、部屋から出て行った。

この部屋には俺とレイニクスだけになった。

そして、レイニクスの手には魔剣が握られている。

「まずは、お手柄だ。 ルージュ。 途中龍化した時は驚いたが、よく最後まで戦った」

そう言うと、レイニクスは魔剣を俺に見せてきた。

「話は変わるが、この魔剣をお前に託そうと思う。 本當は厳重に保管するべきなんだが、ルージュが持つなら心配はないだろう」

そして、レイニクスは魔剣を俺の膝に置いた。 すると…

『やぁ、また話せたね』

魔剣グラビが話しかけてきた。 

「おぉ。 グラビか、あの時はありがとな。 助かったよ」

『いえいえ〜、ボクは認めた人間には優しいんだ。 君ならボクを正しく使ってくれそうだし』

「正しく…?」

『そう。 これまでボクを持った人間は、ボクの力を悪い事に使ったんだ。 

そのせいでボクは魔剣なんて呼ばれるようになったんだよ。

でも、君ならボクの力を正しく使ってくれそうな予がする。

……ボクは優しい人間が好きなんだ』

「そうか…よし、グラビ。 一緒に強くなろうな」

『うん。 ボクは君を全力でサポートするよ。 君は遠慮なくボクを頼ってくれ』

「あぁ、分かった」

「あー…ルージュ。 ちょっといいか?」

レイニクスがおずおずと言ってきた。

「さっきから1人で何言ってるんだ?」

「……へ?」

『あ、言い忘れてたけど。 ボクと會話する時は口に出す必要はないよ。 君が頭の中で呟けばボクに聞こえるから』

それを早く言えよ! 獨り言言ってるやばい奴じゃないか俺!

『ははは! ごめんごめん』

「すみませんレイニクスさん。 グラビと話してました」

「…魔剣とか? …ルージュ、しっかり休めよ?」

そう言って、レイニクスは部屋から出て行った。

「完っ全に誤解されたぞ」

『みたいだね』

「…はぁ…なんか急に疲れたな」

やはりまだ疲れがたまっているらしい。

『なら、眠るといいよ。 君が寢ている間、ボクが回復しておいてあげるから』

「そんな事出來るのか?」

『うん。 けるようになる程度で、痛みは消えないけどね』

「十分だよ。 んじゃ、頼むな…」

そう言って、俺は再び眠りについた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

扉がガチャっと開く音がして、俺は目を覚ました。 扉の方を見ると、レーラとシーラが料理を持ってきた。

『おはようルージュ。 もうある程度けるはずだよ』

グラビの言う通りに、を起こしてみると、多痛みはあるがかせた。

これはすごく助かる。

「あれ、ルージュ君もうけるの!?」

「あぁ、大分楽になったよ」

そう言って、料理を食べ始めた。 …うん、相変わらず味い。

しかも多めに作ってくれたらしい。 これはありがたい。

全て食べ終わり、ベッドから立ち上がる。 ……よし、なんとか歩けるな。

…グラビ、ちょっといいか?

『なんだい?』

レーラ達に魔法陣があるのは知ってるよな? その解除方法が知りたい。

『あぁ、それは簡単だよ。 君がボクを持って”魔法陣解除”って言えばいいだけ』

それだけか。 なんか簡単だな。

俺は、早速グラビをレーラ達に向ける。 すると、レーラ達は目を見開いた。

「”魔法陣解除”」

グラビは一瞬り、なにもなく終わった。

レーラは、シーラの服の中を覗きこむ。 そして…

「魔法陣が消えてるわ…」

「ほ、本當…? 姉さん」

「えぇ」

その後、屋敷を歩き回ってケイプを発見し、同様に魔法陣を解除した。 解除した後、ケイプは何度も何度も俺に頭を下げてきた。

そして今、俺はレイニクスとグリムとセレスと共にいる。

理由は、レイニクスに呼ばれたからだ。

「俺様からある提案がある」

レイニクスはそう言うと、一枚の地図を取り出し、広げて床に置いた。

「俺様達は今トバーブルクにいる。 この辺りで一番でかい國はドラグラード王國だが、1番力がある國はここ、ソーディアス王國だ」

レイニクスが指をさした場所は、ドラグラード王國よりは小さいが、十分大國と言える大きさだった。

「このソーディアス王國には、剣聖が住んでいる。 そして、このソーディアス王國では年に2回、闘技場で大會が開催される」

「け、剣聖…」

セレスが呟いた後、唾を飲み込む。 剣聖。 確か名前はアルダ・ガーレット。 初代剣聖に最も近い力をもつ人だったか。

「そこで提案なんだが、ルージュ、セレス、グリム。 お前達、ソーディアス王國に行ってみないか?」

「へ…?」

俺は間抜けな聲をだしてしまう。 まさかこんな事を言われるとは思わなかった。

「お前達はまだまだ強くなれるはずだ。 最近は騒でな、悪い奴が増えてきたんだ。 だから、お前達に強くなってもらいたい」

…確かに、ローガは倒したが、魔剣使いはまだまだいる。 もしかしたら今後また魔剣使いに出會うかもしれない。

…もう、何も出來ずにやられるのは嫌だ。

「…ソーディアス王國に行けば、俺は強くなれますか?」

「あぁ、ソーディアス王國に俺様の知り合いがいる。 そいつは道場をやっていてな、俺様が頼めば3年間みっちり鍛えてくれる」

「3年間…」

3年間というと、帰れるのは13歳になった時。 それまで、セレナ達に會う事は出來ない。

…だが、強くなるためなら、何年でも修行してやる。

「分かりました。 俺、ソーディアス王國に行きます!」

「よし。 セレスとグリムはどうする?」

レイニクスが問うと、セレスは目をキラキラさせて

「もちろん、私も行きます! もっともっと強くなりたい!」

「僕も行きます。 しでも、弱い自分を変えたいから!」

どうやら2人もソーディアス王國に行くらしい。 …って事は…

「俺たち、まだ一緒に居られるな」

「そうね! 一緒に頑張りましょうね!」

セレスが心底嬉しそうに言う。 …さて、ソーディアス王國に行くのは決まったが、そうなるといろいろ準備しなくちゃな…

「なら、早速明日旅の準備をしろ。 俺様がルージュをドーラ村に、セレス達を龍族の村に連れて行ってやる」

まぁ、それは明日考えればいいか。

「よーし! ルージュ、グリム! 聖龍連合はまだまだ強くなるわよ! 一緒に頑張りましょう!」

「「おー!!」」

俺たち3人が盛り上がっているのを、レイニクスは微笑ましそうに見つめていた。

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