《2度目の人生を、楽しく生きる》105話 「3年後のドーラ村」

ドラグラード王國にある小さな村、ドーラ村。

そこは、3年たった今でも、何も変わっていなかった。

「おーおー、変わってないねぇドーラ村」

「お客さん。 料金は銀貨50枚だよ」

おぉ…流石にソーディアス王國からドーラ村まで馬車となると金額が大きくなるなぁ…

ま、余裕で払えるけどね。 ハーネス謝、マジ謝。

馬車のおじさんに銀貨を払い、大きな荷を背負って俺……ルージュ・アルカディアは我が家へと歩き出した。

この3年間、この世界ではいろいろな事が起きた。 まぁ、1番驚いたのは、この世界に日付が出來た事だ。

しかもちゃんと1月から12月まである。 絶対これ決めた奴日本人だよな。 この世界って結構日本人いるのか?

まぁ、日付が出來たのは正直有難い。

今日は4月1日、まだ春だ。 そしてなんと、俺の誕生日があと9日後なのだ。

日付が出來た時に計算したら、俺が生まれた日は4月10日だと分かった。

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つまり、俺はもうすぐ14歳になるわけだ。

「早いもんだなぁ…」

この3年間で背もだいぶびた。 3年前は140cmくらいだったが、今は165cmになった。

子供の長速度は凄まじいなぁ…

「…さて、ついたぜ我が家」

アルカディア家。 相変わらず庭の手れがしっかりされている。 

家の扉を叩くと、中から「はーい」との人の聲が聞こえた。

この聲はフローラではない。 この聲はシーラだ!

「どちらさまで……え………」

「よぉ。 久しぶりだな、シーラ」

軽く手をあげて言うと、シーラは口をパクパクさせる。

うん、3年前はシーラの方が長高かったのに、今は俺の方がし高いな。 年はシーラが今は17歳だから、4歳年上だ。

うん。 17歳のシーラは…何というか…大人っぽいな。

「る…ルージュ…君…?」

「おう。 ルージュ・アルカディア。 3年ぶりに帰宅だぜ」

「お…お…」

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「お?」

突然、シーラが両手を広げ…

「おかえりいぃぃっ!!」

「うぶっ!?」

シーラが俺を抱きしめてきた。

いや…ちょっとまってやめて!! 當たってるから!

もうお互い子供じゃないんだから!!

まぁ俺ずっと大人だったけど!!

「シーラうるさいわよ? いったい誰……が…」

シーラの背後から見覚えのあるの子が來た。 

レーラもちょっと大人っぽくなっている。

だが…殘念ながらはシーラの方が大きいみたいだ。

「…シーラの人か何かかしら…?」

レーラは首を傾げて訳が分からないことを言い出した。

「おいおい、自分の弟の顔忘れたのか?」

そう言うと、レーラは目を見開いたあと、俺の目の前まで歩いてきて、足元から頭までジッと見る。

「…生意気ね。 なぜ私より長が高くなってるのかしら。 前は見下せていたのに」

長期だからなぁー。 多分これからまだまだびるぜ?」

「…相変わらず、可げのないガキね」

そう言うと、レーラは振り返って廊下を進んでいった。

俺はとりあえず玄関で靴をぎ、3年ぶりの我が家にる。

「さて、シーラ。 他の皆は?」

「カノンとフローラさんはお買い、ケイプさんは王都に住み込みで働いてるよ」

「え!? ケイプさん王都にいるのか!?」

「うん。 でも連休の時は帰ってくるけどね」

驚いた。 まさか働いているとは…まさかケイプさんって働くの好きなのか…?

「あ、ルージュ君の部屋いつも掃除してたから綺麗だよ。 荷置いてきちゃいなよ」

シーラに言われ、自室に行くと、本當に綺麗だった。 多分埃1つないだろう。

とりあえず大きな荷を部屋に置き、リビングに行く。

リビングは3年前より家が増え、鮮やかになっていた。

まぁ、住む人が増えたから當たり前か。

「今晝食を作るから待ってなさい」

キッチンではすでにレーラが料理を始めており、いい匂いがしてきた。

シーラは服を外に干している。

數十分たつと、料理を持ったレーラがリビングにってきた。

「シーラ、晝食が出來たわよ」

「はーい」

シーラが作業をやめてリビングにくると、テーブルに料理が並べられた。

パンとクリームシチューの様なものとサラダだ。 相変わらず味しそうな匂いがする。

俺たちは、適當にこの3年間の事を話しながら晝食を食べ始めた。

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「ふぅー…ごちそうさま」

レーラが食をキッチンに持っていき、シーラが立ち上がった瞬間、玄関の扉が開く音が聞こえた。

「あ、カノン達が帰ってきたみたいだよ?」

シーラがそう言って作業に戻った。 

言われた通り、玄関の方から「ただいまです〜」とし聲変わりしているがカノンの聲が聞こえてきた。

そして、リビングに水の髪をした可らしいってきた。

髪はびている。 今は12歳くらいか。

の髪の、カノンは俺を見ると、一瞬驚いたあと距離を取り、右手を前に出す。

あれは…戦闘準備か…? 驚く程隙がない。 

「待て待てカノン! 俺だよ俺!」

「…オレオレ詐欺ですか? 最近王都でそういった詐欺が流行っているようですが、私は騙されません! 行きます!」

そう言うと、カノンの手のひらに青の魔法陣が現れる。

なんだあれ!? あんな魔法見た事ないぞ!?

「封印・鎖錠チェーン・ロック!」

カノンの青の魔法陣から鎖が現れ、俺の方に向かってくる。

封印…!? 確か封印は使える人間がないはず…カノンの奴、いつの間に…

ってか、これくらったらマズイ!

「重力作右グラビティ・ライト!」

俺の右手が紫り、チェーンが突然右に曲がる。 その瞬間にカノンの近くに行き、両手を摑む。

「は、離してください…!」

「待てって! 俺だ! ルージュ・アルカディアだよ!」

「……え?」

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「ご、ごめんなさいお兄様! 私、お兄様だと気づかずに!」

「いや、いいっていいって。 それにしてもカノン、封印使えるなんて凄いじゃないか! 母さんに教わったのか?」

「はい! 適検査をしたら、特殊魔に適があったんです」

特殊魔。 空間魔や封印のことを指す言葉だ。 これは本當に珍しく、筋とか伝とか関係なく、単純に才能で使えるか使えないか決まる魔だ。

まさかカノンがそうだとは…

「ほー…あんなに小さかったカノンがこんなに大きくなるなんてなぁ…」

カノンの頭をでると、カノンは顔を赤くして下を向く。

うん。 こういう所は昔と変わらないな。

「あ、カノン、母さんは何処だ?」

「フローラさんは今エゼルミアさんの家に行ってますよ!」

おぉ…カノンがフローラの事を様付けじゃなくてさん付けで呼んでる…

ちゃんと仲良くなれたみたいだ。

そうか、フローラはセレナの家か。 セレナは今の季節はまだ剣魔學園にいるはず。 ならこのまま家で待とう。

「あ、父さんは? 父さんは何処いるんだ?」

「ディノスさんは、今ベルリア鉱山に行っています! 多分あと3ヶ月は帰ってきません」

「…え? なんでだ? ベルリア鉱山ってあれだろ? 危険な魔が沢山いて、S級冒険者以外は立ち止っていう…」

冒険者とは、この世界の仕事の一種だ。 この世界の各地にはギルドという建があり、そこで冒険者登録をすれば誰でも冒険者になれる。

まぁ、冒険者になれるのは12歳からだがな。 ちなみに、俺とセレスとグリムは冒険者になっている。

ソーディアス王國にいる時、強くなるために様々なクエストをけた。

冒険者はD級冒険者からスタートし、最上級はS級だ。 D級から上がるほどにクエストのレベルが上がり、D級はゴミ拾いや人探しのクエストがほとんどだった。

そして、冒険者はパーティーを組む事が出來る。 俺とセレスとグリムのパーティー名は、《聖龍連合》。 ランクは、B級冒険者だ。

ソーディアス王國ではそこそこ有名なパーティーだった。

「はい! お兄様が旅に出た後、ディノスさんは「このままじゃルージュに負けてしまう! ルージュが帰ってくるまで俺は冒険者に戻って強くなるぞー!」と言って、冒険者稼業を再開したんです」

「ほぉ…なるほどなぁ…」

あと、今のはディノスの真似なんだろうが、相変わらず全く似てない。

だが、ディノスが今ベルリア鉱山にいるって事は、ディノスはS級冒険者って事だ。 やっぱり凄いんだな…

「ただいま〜」

すると、突然玄関の扉が開き、の聲が聞こえた。

ようやくフローラが帰ってきたらしい。

「ねぇ皆聞いて! また出たらしいわよ? 畑荒らし! 怖いわよ…ね……え?」

フローラがリビングにり、俺を見つけると、買ってきた荷を全て地面に落とし、口元を手で隠す。

「ただいま。 母さん」

「ル…ルージューー!!」

フローラは両手を大きく広げて俺を強く抱きしめる。

「久しぶりねルージュ! さっき帰ってきたの?」

「うん。 そうだよ」

「大きくなって…男の子らしくなったわね!」

背はびたが、男らしくなったかどうかは分からない。

多分セレスの方が男っぽいと思う。

実際、俺とグリムはセレスに頭が上がらないしな。

「あ、母さん。 今言ってた畑荒らし? ってなに?」

「え? あぁ、最近ドーラ村の畑をデルタ・ボアが荒らすのよ。 見つけても逃げられちゃうし、デルタ・ボアはA級の魔獣だから一般人は手を出せないし…」

デルタ・ボア。 確かツノが三本ある危険なイノシシだ。

この辺りには生息しないはずだが…

だが、被害が出ているなら懲らしめなきゃな。

「母さん。 ちょっとイノシシ狩りに行ってくるよ」

俺は、そう言って部屋から剣を持って靴を履き、外に出る。

後ろからフローラが走ってくる。

「ル、ルージュ!? デルタ・ボアはA級の魔獣よ!? 大人の冒険者でもなかなか倒せないのに危険よ!」

そう言ってくるフローラに、俺はポケットから出したギルドカードを見せる。 ギルドカードには、俺の名前と、所屬パーティー、冒険者ランクが書かれている。

「えっ…び…B級…冒険者…!?」

「1年じゃB級までしか行けなかったけど、これからはどんどんランクを上げてくよ。 安心して任せてくれよ」

そう言って、被害現場の畑に風加速を使って向かう。 あっという間に畑につくと、赤髪のイケメンが立っていた。

「アレスさん! 久しぶりです! ルージュ・アルカディアです」

「あぁ、ルージュ君。 ……えぇ!? ル、ルージュ君!?」

アレスは俺を2度見して驚いて餅をつく。

畑を見渡すと、確かに荒らされている。 の足跡、齧られた野菜たち。

こんな事が続いているのか。

「ソル、ルナ! 出てきてくれ!」

首飾りのクリスタルにれ、ソルとルナを出す。

2匹とも3年前とはの大きさが全然違くなり、馬よりし小さいくらいの大きさになった。

俺が乗っても問題ない大きさだ。

俺は、アレスにギルドカードを見せ

「ご覧の通り、俺は冒険者です。 なので、この畑荒らしを懲らしめてきます」

「え!? いや、なら俺が行くよ! 俺はS級冒険者だ! 君が行くより俺が…」

「アレスさんが行ったら、誰がこの村を守るんですか。 S級冒険者は村を守って下さい。 大丈夫、俺を信じて」

そう言うと、アレスは渋々頷いた。 

…驚いた。 アレスもS級だったとは…

「ソル、ルナ! この畑に殘ってるデルタ・ボアの臭いを覚えてくれ!」

そう言うと、2匹は畑の地面の臭いを嗅ぎ、しすると俺の元に戻ってくる。

俺は、ルナの背中に飛び乗り。

「よし、それじゃあ、覚えた臭いの場所に全速力で向かってくれ!!」

そう言うと、2匹は地面を強く蹴って凄いスピードで走り出した。

さぁ、イノシシ狩りだ。

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