《2度目の人生を、楽しく生きる》107話 「友達との再會」
「著いたああぁ! 王都だー!」
3年ぶりに見る王都は、何も変わっていなかった。 相変わらずの人の行列、沢山の店。
そんなには目もくれず、俺は剣魔學園へと走り出した。
早く皆に會いたい。 今は12時だから、多分晝休みだろう。 手っ取り早く手続きを済ませて、セレナ達と3年ぶりに晝食を食べよう。
「あー楽しみだ。 皆覚えてるかなぁー」
…そこで、俺の中にある疑問が生まれた。
……あれ…? 皆俺の事覚えてくれてるかな…? いや、セレナは大丈夫だと思うけど、他の奴らは半年しか一緒に居なかった訳だよな。
そして俺は3年も旅に出た。 
忘れられてないよな!? 大丈夫だよな!?
久しぶりに會って「え…誰?」なんて言われたら泣くぞ!? また引きこもるぞ!?
そんな事を考えながら走り続け、ようやく剣魔學園の門の前まで來た。
俺は門番の前に行き、學生証を見せる。
「…ルージュ・アルカディア…? そんな生徒居たかな…」
「あ、3年前に旅にでてたんですよ」
「ふむ…なるほど」
そう言うと、門番は門を開け、俺は中にる。
剣魔學園の中にると……
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「くたばれ2年生えええぇ!!」
「3年だからって調子に乗ってんじゃねええ!」
校庭で毆り合っている2人の男子生徒。
「あんたみたいなブスはさっさと食堂に行きなさいよ!」
「黙りなさいこのブタ! あんたは畑の野菜でも食ってなさい!」
中等部校舎の前でお互いの髪を摑みあっている2人の子生徒。
「おい、いい加減どっちが強いかはっきりさせようぜ」
「むところだ! どっちが2年生最強か決めようじゃねぇか!」
高等部校舎の前で剣を抜き構えている2人の男子生徒。
他にも、沢山の生徒達が爭いを起こしていた。
いろんな場所から剣がぶつかる音や、魔の音が聞こえてくる。
「えっ…何これ…世紀末?」
あれ? ここ本當に剣魔學園だよね? 荒廃した世界とかじゃないよね?
建を見たじは剣魔學園で間違いはない。 
つまり……何が起こってるんだ? 全くわからん。
「と、とにかく! 先生呼びに行かないと!」
呼びに行くなら俺を知ってる先生がいい。 手っ取り早いのはモーナだ。
モーナが俺達と一緒に進級するタイプなら、今は中等部の職員室にいるはず!
俺は中等部にり、校舎でも喧嘩している生徒の間をいながら職員室の前に辿り著いた。
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そして勢いよく職員室の扉を開け…
「すみません! あの! 外で生徒が喧嘩してま…す…?」
職員室にると、教師達は呑気に笑いあっていた。
そんな中で、真面目に何かを書いている緑の髪のを発見した。
あれはきっとモーナだ!
「も、モーナ先生!」
「…ん? なんだ。 私に何か用か? …なんだお前、制服も著ずに何をしている」
俺は學生証を見せる。 すると、モーナが目を見開き、學生証と俺を互に見る。
「ル…ルージュ・アルカディア…なのか?」
「はい! いや…今はそんな事どうでもよくて、外で生徒が!」
「あぁ…あれはほっといて構わん」
「えぇ!?」
「まぁ、話さなければならんな」
そう言うと、モーナは俺が旅に出てから起こった事を話し始めた。
俺が居なくなってから、ソーマが上級生に喧嘩を売り始めた事、それがきっかけで今は無法地帯になっている事。
だが、教師達が手を出せば力で押さえつける事になるから、生徒同士に任せている事。
そして、今剣魔學園は"暴徒"、"風紀委員會"、"無所屬"の3組に分かれている事。
暴徒が頻繁に問題を起こす生徒の事で、風紀委員會がその暴徒を止める組織らしい。
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無所屬はその名の通り、どこにも屬さず、何もせずに普通に授業をけている生徒の事らしい。
「…いや…不良學校ですかここは…」
「そしてその暴徒の1番上にいるのがソーマなんだ。 私の學年からそんな奴が出たものでな、中等部1年の教師は困ってるんだよ…」
ソーマ。 確か學試験の時に一緒に戦った白髪の生意気な奴だった。
確かにめっちゃ強かったが、まさか不良年に育つとは…
「はぁ…まぁ、そんな奴らには構わないからいいですけどね。 で、俺の教室は何処ですか?」
「1年2組だ。 だが、お前には進級試験をけてもらう」
「…へ? 進級試験?」
「そうだ。 初等部から中等部へ進級する時に皆けた。 お前には…そうだなぁ…」
え、何それ聞いてない。
もしそれ合格しなかったら退學!?
「暴徒を100人倒してきてもらおう。 期限は2ヶ月だ。 それまでに達できなければ退學とする」
「は、はあああああああ!?」
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「鬼…鬼だあの人…」
モーナから「話は終わりだ」と職員室を追い出された俺は、トボトボと食堂に向かって中等部を歩いていた。
食堂近くまで來ると喧嘩している生徒は見なくなった。
「はぁ…早くセレナ達に會おう…」
きっとセレナ達は暴徒になってないはずだ。 それは確信できる。
ていうかあいつらが喧嘩しているイメージが湧かない。
もうすぐ食堂に著くというところで、校舎の外から大きな音が聞こえた。
2階の窓から下を見下ろすと、10人の生徒が闘していた。
「はぁ…なんでこんなに変わっちゃったのかねぇ…」
10人か。 こんな進級試験、とっとと終わらせるか。
俺は窓を開け、2階から飛び降りた。
10人の中心に著地すると、皆俺を見る。
ふむ…制服からすると、中等部生徒5人と高等部生徒5人か。
……余裕だな。
「喧嘩両敗だぜ!!」
目の前の中等部生徒2人を毆り飛ばし、さらに隣にいた高等部生徒に回し蹴りを食らわせる。
あと7人。
「なんだてめぇいきなり!」
「制服も著てねぇ不良が何しに來た!」
えぇ…俺不良って言われた…100%お前らの方が不良だからね。
「喧嘩なんてやめて、仲良く晝食食べましょうよ。 ちゃんと食べないとほら、午後の授業ぶっ倒れますよ?」
こんな問いかけで止まるはずはなく、7人のうち5人の生徒が襲いかかってきた。
俺は地面に手をつけ
「絶対零度アブソリュート・ゼロ」
一瞬で地面が凍り、5人の生徒の首から下が完全に凍った。
そして、襲いかかってこなかった2人の高等部生徒の前に行き、青龍刀を抜く。
こいつら2人は他の奴らとは違う。 雰囲気で何となくわかる。
「ガキが、調子に乗るなあぁ!」
「上級生に刃向かうんじゃねぇ! 」
巨大な炎の球と、巨大な巖が迫ってくる。
なるほど…どっちも中級魔か。
俺は、剣に炎を纏わせ、突きの構えをする。
そして、2つの魔が俺に當たる直前。
「炎突えんとつ!」
素早い突きで2つの魔を打ち消した。 そして片方の上級生の元へ向かい、下から顎を蹴り上げる。
俺も飛び上がり、浮かび上がった上級生の顔にかかと落としを食らわせ、地面に激突させると、上級生は気絶してかなくなった。
俺は、殘った1人に剣を向け。
「あとは、あなただけです」
上級生は、頭にが上ったのか、剣も抜かずに襲いかかってきた。
俺は剣を鞘に納め、右手を青くらせる。
「龍神武・蒼連撃そうれんげき」
上級生の腹を數発毆り、中等部の校舎に激突させる。
これで、10人全員倒した。
あとは90人か…長いなぁ…
「君! 何してるの! 制服も著ないで暴れてる生徒って君だね!」
「名前と學年を言ってください! 抵抗するなら…」
「痛い目を見てもらう事になるぞ」
俺の背後から、3人の聲が聞こえた。 その3人の聲を聞いた瞬間。 俺は懐かしい気持ちになった。
し聲は変わったが、ちゃんと分かる。
セレナ、アリス、クリスだ。
俺は、笑顔で振り返り、3人を見る。
セレナは、肩までばした綺麗な金髪に、綺麗な青い瞳、エルフの特徴である長い耳。 そして程よく長した。 相変わらず可い。 いや、可すぎるくらいだ。
アリスは、腰までばした金髪に、黃い瞳。 整った顔立ち。 …は全然長していない。 だが相変わらず可い。 上品な可いさだ。
クリスは、頼もしくなっていた。 長は俺より高く、杖を構えているが程よく筋がついているのが分かる。 そして茶髪に整った顔立ち。
その3人が、俺をジッと見つめていた。
「よぉ皆! 久しぶりだなぁ!」
両手を広げて一歩前に進むと、3人は一歩後ろに下がった。
…あれ?
「くな。 10人を1人で倒したという事は相當な強さを持っているはず。 一歩でもけば、攻撃するぞ」
……あれ…? もしかして、気づいてない…?
噓でしょ!? 俺一目見ただけで気づいたよ!? 俺ってそんなに特徴ないか!?
いや、黒髪って珍しいはずだよな……なら、気づかないはずがない。
つまり、これはドッキリだな…?
本當は気づいてて、俺の反応を楽しんでるんだな…?
ふっ…簡単には引っかからないぜ? 逆に驚かせてやる。
「行くぜっ!」
俺は、突然走り出し、3人の元へ向かう。 3人は目を見開いたが、すぐに手を前に出して構える。
ふっ…どうだびっくりしただろ?
どうせこの後、「ごめんルージュ! ドッキリだよー!」とか言うんだろ?
「氷結矢アイシング・アロー!」
「聖水撃セイクリッド・ウォーターストライク!」
「隕石連弾メテオロック・マシンガン!」
セレナから大量の氷の矢。
アリスから拳の形をした水。
クリスから巨大な複數の巖。
それら全てが、俺に向かってきた。
多分、あれは全て上級魔だろう。
……どうやら、思い出してくれてなかったみたいだ。
…泣きそう。
「もう怒った! 周りの被害なんて知るかっ! 大炎柱だいえんちゅう!」
巨大な炎の柱が俺を包み込み、天高く昇る。
セレナ達の魔を全て防いだ後、大炎柱を消し、3人に右手を向ける。
「喰らえ人でなし共! 紅炎散プロミネンス・スプラッシュ!!」
俺の右手から出た散弾のような炎の弾丸が、セレナ達に向かって行く。
紅炎散は超広範囲の攻撃だ。 防ぎきれねぇだろ!
「2人とも下がって下さい! 聖水壁セイクリッド・ウォーターウォール!」
3人を守るように出來た巨大な水の壁により、大量の炎の弾丸は蒸発して消える。
…なるほど…炎系の魔はアリスに消されてしまうわけだな…?
「ならこれだ! 風槍ウィンド・ランサー!」
両手に風を集め、風を槍の形に変化させ、2つの風槍を思い切り投げる。
「僕に任せろ! 地面針グラウンド・スパイク!」
クリスが地面に手をつけると、地面の形が変化し、無數の針となって風槍を打ち消した。
そして、クリスが地面を元に戻すと、今度はセレナがレイピアを構えて走ってきた。
「天てんらん!」
セレナが飛び上がり、助走を利用して連続で突きを繰り出してきた。
俺は素早く剣を抜いて防いだが、數発掠ってしまった。
セレナの奴…剣のキレが3年前とは別人みたいに違う。
セレナはレイピアを構え、腰を低くする。 
俺もそれに合わせて剣を構え、腰を低くする。
突き勝負だ。
「行くよ! 閃突せんとつ! 」
「炎突えんとつ!」
セレナがのような速さで突き繰り出してくる。
俺は剣に炎を纏わせ、力任せに突きを放つと、セレナのレイピアと剣の先がぶつかった。
そのままセレナと鍔迫り合いになるが、セレナはずっと目を見開いていた。
「えっ…それって…まさか…!」
「隙ありだぜ! 炎斬えんざん!」
セレナが力を緩めた瞬間にセレナを押し、バランスを崩した後、炎の斬撃を飛ばす。
「きゃあっ!」
炎の斬撃に當たったセレナは吹き飛び、地面を転がる。 アリスとクリスがセレナをけ止め、3人共俺をジッと見つめる。
…よし、話すならこのタイミングだな。
「よぉ、久しぶりだなぁ。 覚えてるか? 俺、ルー…」
「もしかして…あなた、ルージュ?」
俺の言葉を遮り、セレナが言った。 
セレナは、俺…というか、俺の炎を纏った青龍刀を指差している。
……あぁなるほど。 俺の顔や聲じゃなくて、技で思い出したって訳ね。
あぁそうですか。 あぁそうですか。
「ったく…こっちは久しぶりに會えて直ぐにお前らだって分かったのに。 お前ら何? 俺の技見るまで気づかなかった訳? 
はぁ悲しい。 俺は悲しいよ、俺達の友がこんな薄っぺらいだったなんて…」
「は…はは…ルージュだ…本當にルージュだ…!」
「ルージュさん…3年前とは別人みたいです…!」
「ルージュ…帰って來たんだな…!」
セレナとアリスが涙目になる。 あぁ泣かないで、俺も泣きそうになるから本當やめて。
して號泣しちゃうからマジでやめて。
泣きそうになるのを何とか堪えながらセレナ達の近くに行き、セレナの頭をでる。
「…ただいま。 皆」
笑顔で言うと、セレナが堪えられなくなったのか、號泣しながら俺に抱きついてきた。
「うぅ…! ルージューー!! おかえりいい!」
セレナが俺の服を強く握り、顔をり付けてくる。
その後ろで、アリスとクリスが優しく微笑んでいる。
俺はアリスとクリスに微笑んでから、優しくセレナの頭をでる。
「ただいまセレナ。 3年ぶりだな。 3人共凄く変わってびっくりしたよ。 …まぁ1番変わったのは剣魔學園だけどな」
「う、うん…ルージュが居なくなってからね? 剣魔學園おかしくなっちゃって…それで私達、風紀委員っていうのになって…生徒達を止めてたんだけど、全然止まらなくて…! それで…!」
「分かった分かった。 まずは泣き止んでからな?」
「うん…私…昔みたいな剣魔學園に戻ってほしいよ…」
セレナが悲しそうに呟いた。 セレナ達が風紀委員會にってるって事は、ずっとさっきみたいな喧嘩を止めていたのか…
3年間もずっと…
俺がいない間に、こいつらはきっと沢山悩んだだろう。 沢山悲しんだだろう。 沢山苦労しただろう。
…なら、次は俺も一緒だ。 悩むのも、苦労するのも、俺も一緒だ。
「俺を、風紀委員會にれてくれ。 ソーマの馬鹿野郎を、ぶん毆って更正させてやるよ」
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