《魔法陣を描いたら転生~龍の森出の規格外魔師~》6 栄養と魔力

転生してから1日が経った。

そうか、俺は転生したんだよな。夢じゃない。俺は人族の赤ん坊で名前はユーリ。アーテルさんと二人で暮らすことになったんだ。

あれ? アーテルさんはどこだ?

域のない首を何とかかして、部屋を見渡す。

「起きたか。おはよう、ユーリ」

「あーう、あーああー!」 (おはよう、アーテルさん!)

「いい返事だ。偉いぞユーリ!」

そ、そうかなぁー。おはようなんて久しぶりで、張り切っちゃったかも。

「ユーリ、お腹は空いてないか?」

そういえば、昨日から何も食べてなかった。魔法とか異世界に興し過ぎて、忘れてた。

「あーう!」 (空いたー!)

「そ、そうか。それはそうだな、ユーリはまだまだ赤ん坊なんだ。沢山、栄養を取らないとな」

あれ? アーテルさん何で顔が赤いの? 熱かな?

「隣の家のラルージュさんに聞いたのだ。赤ん坊に一番必要な栄養が詰まっているのは、ぼ、母だと……」

……。

「私はユーリ、お前を一人前に育てると決めた。自分で決めたことは、し遂げるのが私の信條だ」

はい。ということはつまり……

アーテルさんが顔を赤くし、恥じらいながら和服のような服の襟をずらす。そして、俺を抱き上げるとベストポジションまでセッティングされる。

ここまで、わずか10秒ほど。しかし、俺のはその10倍以上に遅くじた。

「さぁ、ユーリ。いつでもいいぞ! 私の覚悟は決まっている」

あー、何だか目が回ってきて……グルグルだぁー。アイアムベイビー!

***

俺は一……。ミルクサイコー! え!? 何だこれ、考えてないことが勝手に。

今、ベッドでは俺と一緒にアーテルさんも寢ている。何故か、アーテルさんが直視できない。

でも、溫かい……。これが――溫もりなんだ。

誰かと一緒にいて、こんな気持ちになったのって初めてだ。まだ、出會って1日しか経っていないのに……。

アーテルさんとなら……。まぁ、今はそんなことはいいよね。

今はただ、この溫かさをじていたい。

***

そういえば、さっきからお腹の辺りがゾワゾワする。何だろう?

俺は腹痛とは違う、違和を覚える。ふと、腕を見る。

ん? これっての流れではないよな。蒼い……。

不思議と怖くはなかった。それは元々あったもので、あたりまえな存在にじた。一つの結論に行き著く。

これは――魔力。

誰かが教えてくれた訳ではない。だが、間違っているとは思えなかった。

俺は重い頭を何とか上げて、お腹の辺りを見る。そして、先ほど魔力を見たように意識を向ける。

すると、の中央に魔力の塊のようなものがあった。魔力の流れは、ここから來ているらしい。しばらく意識を向けていると、頭の中でぼんやりと湖のイメージが浮かび上がる。

大きさは、公園の砂場くらいでそこまで広くはない。

これは……俺の魔力なのか。

湖を見つめると、何故か魔力の流し方がわかった。俺は意識を更に集中させ、魔力をかすことだけを考える。

湖から、しずつ水路を引くように流していくじだ。

湖から魔力が減り、魔力がの外へ流れているのがわかる。

おぉー! 魔力だぁー! すごい、すごい! どんどん流してい、こ……う……。

これで何度目かわからないが、またもや俺は意識を落とした。

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