《魔法陣を描いたら転生~龍の森出の規格外魔師~》21 俺の翼

「おかあさーん、まきはここにおいておくよー」

「そうしてくれー。ありがとー、ユーリ」

あの日転生してから早5年が過ぎた。俺も日に日に長している。お母さんの薪運びの手伝いもできるようになった。

魔法を使った方が早いと思うかもしれないが、魔法を特訓していて気が付いた。

――あ、魔法って結構、力使う……。

それからは、魔法だけではなく力づくりにも力をれている。

俺は家の裏の薪置き場に薪を置くと、家の前で薪を割っているお母さんのもとへ戻っていく。お母さんは斧を片手にスパンっ、スパンっと軽快に薪を割っていた。

「よし、これくらいでいいか」

汗をぬぐいながらお母さんが言う。軽快すぎて笑ってしまう薪割りは終わりのようだ。

「おかあさん、これももっていくね!」

「ありがとう、ユーリ。頼んだ」

「うん!」

よいしょっと……重たい。でも、これも特訓だ! ファイトだ、ファイト。

俺は重たい薪をまた、家の裏に運ぶのであった。

***

朝の日課である薪運びの手伝いを終えると、もう一つの日課である魔力の現化のコントロールの練習を始める。

まず始めは、魔力をただ現化して……魔力の量は100分の1くらいを放出するイメージで……。

すると全から蒼いをしている『魔力』が、にじみ出るように放出する。魔力は全のあらゆるところから出てはいるが、から離れることはなくユラユラと纏まとわりつく。

次に全を魔力で薄く覆ったら、頭、、腕、腳の順に部分的に厚くして……うん、いいじ。

よし、そうしたら、覆っている全魔力を腕に集中させて鉤爪かぎづめ狀に変化させますっと。

魔力は俺の意思に従い腕に集まりだす。腕に集まった魔力は次第に形を変える。手甲から4本びたような形狀になっている鉤爪は鋭そうだ。

やっぱり鉤爪はやっとかないとねぇ。……ふふふ、この爪で引き裂いてやろうか? なんちゃってね。はい、皆さまご安心ください、しっかりと黒歴史の方に封印しました。

線してしまったが、俺は再び特訓に戻る。次は背中に魔力を集めることにする。

もうちょいで功しそうなんだけどなぁ、魔力の翼。このに合わせた大きさにしないといけないから難しい……。

お母さんのような力強い翼かつ、大きさは抑え気味に……。

俺の背中から生えるように魔力を放出させる。魔力は俺の考えに呼応するかのごとく、グニャグニャと形を彷徨さまよっているようだ。

んー、違う。そうじゃなくて、お母さんを意識しないで一から形にするんだ。今の俺ならいけるはず。

まずは背中から骨をばすイメージで魔力を集め、そこから空気をつかめるようにを張る。これまでの検証からいけば、大きさは長の2、3倍くらいで大丈夫なはずだ。

俺のより強いイメージが著実に背中の魔力に反映されていく。先ほどまで、ぼやけたような形をしていた魔力は背中に近い部分から固く、力強そうな骨となり翼へと変わる。

できた! 俺の翼! 今なら飛べる気がする。

俺は魔力の翼を大きく広げる。

バサッ!

おぉー。なんか気持ちいいかも。俺も龍になった気分になる。楽しい! よし、このまま飛ぶぞ。

俺は思いっきり駆けだす。翼があるせいか、いつも以上に空気抵抗をじる。俺は踏み切ると高く飛ぶようにジャンプし、翼を使い羽ばたく。風魔法も使い全力で飛ぶ。

「かぜよぉー!!」

あ、え? お、おぉー……俺、飛んでる。飛んでるよ! よっしゃぁー!! あ、お母さんだ。お母さーん! 俺、飛べた……よ? あれ?

俺はお母さんに向けて手を振る。だが、様子がおかしい。

「ゆ、ゆ、ユーリが飛んでる? まさかな……いやいや、私に向かって手を振ってるぞ。よく見ろ、ユーリじゃないか。って、えぇー!!」

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