《魔法陣を描いたら転生~龍の森出の規格外魔師~》25 トモダチ

今日は何して遊ぼうかなぁー。鬼ごっこ? かくれんぼ? おままごと? それとも長距離型ロング固定降式遊すべりだいにするか?

そんなことを考えながら俺はセレーナちゃんのもとへ向かう。今日はセレーナちゃんと遊ぶ約束をしているのだ。

「セレーナちゃん、おまたぁ……せ?」

俺の目に映るのは、楽しそうに話しているセレーナちゃんと見知らぬ・・・・子供である。

「キュウ!」 (おもしろーい!)

「だろ、だろ!」

え? えぇー!! ……だ、誰だ!? あの男は!

「キュ、キューウ!」 (あ、ユーリくん!)

セレーナちゃんはこちらに気がつくと翼をパタパタさせて俺のもとへ來る。

「お、おはよ、セレーナちゃん」

「キュウ」 (おはよー)

「おう! おらっちアニモっていうんだ! よろしくな!」

アニモと名乗る子は元気に自己紹介をすると俺に手を差し出し、握手を求めているらしい。

うおっ! いつの間に。ん? なんかこのじ知ってるぞ。気で豪快な……。

「う、うん。おれはユーリ。よろしくね、アニモくん」

俺は半ば相手の勢いに押されながらもしっかり答える。そして、差し出されている手を握り返す。

「おう! おらっち、いつもはとうちゃんのみせのてつだいあるから、あんましあそべねぇけど、きょうはあそべんだ!」

店……もしかして!

「アニモくんのおとうさんって、もしかしてブリオおじさん?」

「そうだぞ! とうちゃんがどうかしたか?」

「ううん、なんでもないよ!」

あー、やっぱりか。どうりでこの軽快なしゃべりと、元気の良さだ。よく見るとめっちゃ似てる!

「それよりユーリ! おらっちのことはよびすてにしろよな! おらっちたち、もうトモダチだろ!」

アニモはニコッと無邪気に笑う。その顔からは一切の噓偽りはなく、ただ純粋に俺と友達になりたいという気持ちが伝わってくる。

「うん! わかったよ、アニモ!」

友達……これが、友達! なんか嬉しい。アニモいいやつだった。疑ってごめんな!

「キューウ!」 (わたしもー!)

セレーナちゃんは仲間外れにされて、し不機嫌なご様子だ。プンプンっという音をつけたくなる。

***

「キュウー」 (わぁー、にっげろー)

「まてぇーい! おらっちからにげれるとおもうなよ!」

「セレーナちゃん、がんばれー!」

今、俺たち3人は鬼ごっこ真っ最中だ。ちなみに現在、アニモが鬼でセレーナちゃんを追いかけている。

「つかまえたぁー! つぎはセレーナがおにだぞ!」

「キュウ!」 (わー!)

あ、セレーナちゃん捕まった。ということは、次の鬼はセレーナちゃんだ。どうくるかなー?

「キュウ、キューウ」 (ユーリくーん)

「どうしたのー?」

セレーナちゃんは俺の名前を呼びながらこちらに飛んでくる。

ケガでもしたのかな? 見たところなさそうだけど……。

「どうしたの、せれ……『キュウ! (タッチ!)』……あ」

「キュウキュ、キューウ」 (ふふふっ、にっげろぉー)

セレーナちゃんは俺にさりげなくタッチすると、すぐさま逃げる。俺を欺くあざむその技は一級品といえるだろう。そもそも、引っかかる俺がセレーナちゃんに対して警戒心がなさすぎなのだが……そこは気にしない。

せ、セレーナちゃん……何というテクニック! 恐ろしいわあの子!

よーし、ちょっと本気出しちゃおっかなー。ふ、ふふ。

「……まてぇー!!」

俺は先ほどより一段階ギアを上げる。これは特訓の果の一つで、走る速さを段階的に変えるというものだ。最初が子供の平均的な足の速さなら、一段階上がった今は運會で1番を取れる速さになっている。

「ゆ、ユーリはやっ!!」

「キュウキュウ」 (ユーリくん、はやーい)

俺はアニモに狙いをつける。アニモも気がついたのか、慌てて走り出す。追いかけている俺は余裕な表だが、逆に追いかけられているアニモは必死に走っている。

「や、やめろー! おらっちだけねらうなー!」

え、無理だよ。セレーナちゃんを鬼にするなんて。それに、アニモを追いかける方が楽しい。

「やーだね!」

「うぉー!!」

アニモが決死の覚悟で全力疾走をする。だが、相手が悪かった。俺はゆうゆうとアニモとの距離を詰めていく。次第に、アニモはスタミナが盡きてきたのか、走る速度が落ちる。

ついに俺とアニモの距離は0となり、俺はアニモの肩を軽くタッチする。

「はい、タッチ!」

「ぬわぁー、はぁはぁ……はや、すぎ……だ」

「はははっ」

俺は息一つさずに笑う。アニモはもうダメだとばかりに地面に寢っ転がる。バテバテのご様子だ。

いやー、鬼ごっこってこんなに楽しかったんだ。それにしても、アニモ結構粘ったなぁ。

「キュウキューウ!」 (ふたりとも、はやーい!)

「あはは、そう?」

「ゆ、ユーリはバケモンだぁー……(コテっ)」

あ、化けとはひどい。ちょっと普通の子供より、努力しただけだよ。そうそう、ほんのちょっとね。

アニモが疲れて寢てしまったので、俺とセレーナちゃんは休憩することにしたのであった。

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