《魔法陣を描いたら転生~龍の森出の規格外魔師~》28 お茶目はほどほどに
「おっじゃましまーす!」
「あぁ、適當にくつろいでくれ」
「はーい、副団長。……おっ! そこにいるのはもしかして、ユーリくんかな?」
「こんにちはー!」
「こんにちはー。元気がよろしいねぇ、うんうん」
***
「いやー、それにしても副団長。ユーリくん、本當に大きくなりましたねっ!」
この明るく元気な人はお母さんの部下にあたるの人で確か……
「おかげさまでな。フリージアが最後に會ったのは1才の頃か?」
そうそう、フリージアさん! 1才のとき以來だから、あやふやだけど覚えてるよ。
「そうですよー。ユーリくんは覚えてるかな?」
「うん! おぼえてるよ」
「ほんとにー! 嬉しいなぁ、私のことはフリージアお姉ちゃんと呼ぶんだよー、ユーリくんっ」
「うんっ、フリージアおねえちゃん!」
俺は子供モード全開で、可く元気に応える。
「くぅー、いいっ! 最高だよユーリくん! 本當に、私の弟にしたいくらいだよー」
「フリージア? ちょっと、はしゃぎすぎなんじゃないか?」
あ、お母さんのお顔がニコニコしてるけど、なんかコワーイ。
「(ビクッ)……あははー、あっちで遊んでいようか、ユーリくん」
「うん」
うん、なんとなくお母さんとの関係がわかってきたぞ。フリージアお姉ちゃん、お茶目はほどほどにね。
***
「この『シロクロ』って遊び、本當に面白いよねー」
「そうだね!」
今、俺とフリージアお姉ちゃんは『シロクロ』というボードゲームで遊んでいる。
『シロクロ』とは、真っ白いシロロの実と真っ黒いクロロの実を使って遊ぶ、言ってしまえばオセロだ。マスは6掛ける6なので、そこだけは違う。
「まぁ、ユーリが考えたと聞いたときは、驚きはしたが私は誇らしいぞ! ユーリ」
お母さんは目をキラキラとさせ、親バカモードだ。ここ最近は親バカ化の進行速度が早まって、とても危険な狀態だと言える。早めに――親バカの――治療をしなければならない……。
「え? そうだったんですか? ユーリくん、すごーい!」
「えへへっ、そうかなぁー」
きっかけはシロロの実とクロロの実を見つけて、これは使えるってじでやってみただけなんだけどね。
囲碁もできるけど、子供にはちょっと難しいと思ってオセロにしたら、空前の大ヒットときた。大人から子供まで遊べるとかで、集落中で流行ってるみたい。
集落には娯楽がなく、大人は酒やらなんやらが楽しみの一つだ。そこに大人も楽しめると噂が広まり、今では集落で『シロクロ』を知らぬ者はいないと言えるほどになった。
「そうだよー。さすが、私の弟だ!」
「(ゴホンッ)……」
「そ、そういえば私、お腹空いちゃったなー。ユーリくんは?」
「おれも、ペコペコー」
「ん、そうか。すぐ作るから待っててくれ」
「「はーい!」」
フリージアお姉ちゃんと俺の聲がぴったし重なる。
「あぁー、副団長の料理だぁー、楽しみっ!」
お母さんの料理はみんな大好きだ! 息子として誇らしいね!
「そうだ、そうだユーリくん。ちょっとお姉ちゃんとお話ししようではないか!」
「いいよー」
フリージアお姉ちゃんはニコニコして、まるでこれからイタズラをしようとしている子供の顔に見える。
「ふくだ……ユーリくんのママって、お家でもこわい?」
臺所にいるお母さんに聞こえる聲で、フリージアお姉ちゃんはわざとらしく俺に質問する。
お母さんは何もないようにしているが、耳がピクピクいてしまっている。
「うーん、おかあさんはやさしいよ!」
臺所の方から、軽快に野菜を切る音が聞こえる。「ふふっ」とお母さんが若干、笑った気がしなくもない。
「そうなんだー。本當は?」
「……ちょっとこわいかも」
トンッと一度、包丁が止まる。小さい聲で「うっ」と聞こえた気がした。
「うん、うん。やっぱりそうだよねー」
「でもね」
「なになに?」
俺はすかさず、フォローをいれる。
「おかあさんはいつもニコニコしててね、おれのはなしをきいてくれて」
「うん、うん」
「おりょうりもとってもおいしいし、おかあさんはすっごくやさしいよっ!」
どこからか、グスッグスッと涙をこらえるのが聞こえてくる。「ゆ、ユーリ……お前ってやつは……本當に。よし、今すぐとびっきり味しいものを作るからな!」そんな心の聲がお母さんかられ出ていた。
「もぉー、ユーリくんは優しいなぁ」
「フリージア、お前は後でゆっくり話そうか」という聲が死の宣告を告げるかのように聞こえる。
「今日は本當に楽しかった。では、私はこれで……(ガシッ)……あ、怒ってる顔もおしいですね! 副団長」
気配を消すように帰ろうとするフリージアお姉ちゃんを、お母さんはニコニコしながら襟の後ろを摑み、逃がさない。
「あぁ、ありがとう。せっかくだ、飯くらい食べていったらどうだ?」
「そ、そうですね! はい、頂きます」
フリージアお姉ちゃんはしなしなと小さくなっていく。
お母さんを怒らせてはいけないと、俺は改めて思った。
【書籍化】王宮を追放された聖女ですが、実は本物の悪女は妹だと気づいてももう遅い 私は価値を認めてくれる公爵と幸せになります【コミカライズ】
聖女のクラリスは王子のことを溺愛していた。だが「お前のような悪女の傍にいることはできない」と一方的に婚約を破棄されてしまう。 絶望するクラリスに、王子は新たな婚約者を紹介する。その人物とは彼女と同じ癒しの力を有する妹のリーシャであった。 婚約者を失い、両親からも嫌われているクラリスは、王子によって公爵に嫁ぐことを強要される。だが公爵はクラリスのことを溺愛したため、思いの外、楽しいスローライフを満喫する。 一方、王子は本物の悪女がクラリスではなく、妹のリーシャだと知り、婚約破棄したことを後悔する。 この物語は誠実に生きてきた聖女が価値を認められ、ハッピーエンドを迎えるまでのお話である。 ※アルファポリスとベリーズカフェとノベルバでも連載
8 108【書籍化決定!】家で無能と言われ続けた俺ですが、世界的には超有能だったようです
俺には五人の姉がいる。一人は信仰を集める聖女、一人は一騎當千の女騎士、一人は真理を求める賢者、一人は人々の魂震わす蕓術家、一人は國をも動かす大商人。才知に優れ美貌にも恵まれた彼女たちは、誰からも愛される存在だったのだが――俺にだけ見せるその本性は最悪だった。無能な弟として、毎日のように姉たちから罵詈雑言の嵐を受け続けてきた俺。だがある日、とうとう我慢の限界を迎えてしまう。 「とにかく、俺はこの家を出るから。もう決めたんだ」 こうして家を出た俺は、辺境の都市で冒険者となった。こうして始めた新生活で気づく。あれ、俺ってもしかして超有能……!? 実力を評価され、どんどん出世を重ねていく俺。無能と呼ばれ続けた男の逆転劇が、いま始まった! ※GA文庫様より書籍化が決定、1~5巻まで発売中!
8 126最弱能力者の英雄譚 ~二丁拳銃使いのFランカー~
☆あらすじ☆ 世界では、能力者という者が存在している。そんな世界で、能力が無いと判斷され、落ちこぼれの烙印⦅Fランク⦆を押された少年タスク。彼は能力者を育成する學園において、実戦授業が受けることができない唯一の最底辺だった。しかしある日、伝説にして、最強にして、無能力者の極致である恩師、剣・ミサキにより、戦闘技術の才能を見込まれ、能力者學園で開催される、通稱ランク祭に出場することとなった。最底辺を生きるタスクは、その才能を開花させながら、自身の隠された能力⦅さいのう⦆に気づき、學園最強の戦士へと成り上がる。――なろうじゃなくてな、俺はなるんだよ!! 1章と2章はまったくの別物なのでご注意ください。
8 129休止中
ごく普通の一般高校生…でもないか… よくいる學校の地味ーズの[魔壁 勇] 天使より悪魔押しの廚二病… 異世界勇者ライフを満喫!…とおもいきや! とまぁ異世界系の小説です!初心者ですがよかったら! ※二作目で【我輩はモンスターである。名前はまだない。】を投稿中です。そちらもよかったら!
8 107高校生は蛇になる
退屈な日常に耐えきれず自殺した高校生。 だがその高校生の魂は異世界で目覚める……。 しかし自分の體は蛇になっていた!? 意図せずして蛇になった高校生は、衝撃的な再會を果たし、出會いと別れを繰り返して、より強く成り上がっていく。
8 51虐められていた僕はクラスごと転移した異世界で最強の能力を手に入れたので復讐することにした
高校二年の桜木 優希はクラス中で虐められていた。 誰の助けも得られず、ひたすら耐える日々を送っていた。 そんなとき、突然現れた神エンスベルによって、クラスごと異世界に転生されてしまった。 他の生徒に比べて地味な恩恵を授かってしまった優希は、クラスメイトに見捨てられ命の危機にさらされる。気が付くと広がる純白の世界。そこで出會ったのはパンドラと言われる元女神だった。元の世界へ帰るため、彼女と契約を結ぶ。 「元の世界に帰るのは僕だけで十分だ!」 感情や感覚の一部を代償に、最強の力を手に入れた優希は、虐めてきたクラスメイトに復讐を決意するのだった。 *この物語の主人公は正義の味方のような善人ではありません。 クズで最低でサイコパスな主人公を書くつもりです。 小説家になろう、アルファポリスでも連載しています。
8 134