《魔法陣を描いたら転生~龍の森出の規格外魔師~》33 記録の検証

「よーし、始めよう!」

俺は魔書の能力『記録』を確かめるべく森まで來ている。なぜ森なのかというと、実際に魔法を使ってみるためだ。

魔書を発見したあの後、更に魔書の機能を見つけた。なんと、魔書はアクセサリーに形を変えることができるらしく、俺は指の形にして指にはめている。

とりあえず、魔法を使ってみてどう記録されるのか確かめてみよう。

「火よ」

俺は手のひらを広げ、唱える。今は魔法を使うだけでいいので、イメージは手から火がおこるだけにする。すると、手のひらの上に手のひらと同じ程度の魔法陣が現れた。

そこから、野球ボールほどの大きさをした火が創り出されていく。メラメラと燃える火は熱いというよりは溫かい。最近はただ火を出すだけではなく、溫度の調節も意識するようになった。

俺は火を握りこむように手を閉じる。もう一度手を開くと、そこにはもう火はない。

よし、魔書で確認してみよーう。

「魔書よ、書の形となれ」

指にはめられていた指る粒子のように変わると、本來あるべき形に戻る。俺は魔書を手でけ止め、適當なページを開く。開いたページは白紙だが、問題はない。

「魔書よ、最近行使した魔法を教えてくれ」

若干アバウトなじがしなくもないが、やはり問題はないらしい。

魔書は俺の言葉に応えるように、白紙であったはずのページに文字が浮かび上がる。

――――

行使した魔法の記録

<今日>

・火魔法<初級>『不定型』

*『不定型』とはイメージのみによる魔法の行使。

――――

ふむふむ、なるほど。俺のイメージにそって記してくれるのか。文字が出たと思ったら、俺の考えていた通りに文字が出るんだもん。ちょっとビックリした。

ふふふ、面白い。実に面白い。

次は……そうだ! 不定型じゃなくて、俺が使える指定型――不定型の逆で、『ファイアー』などの現象を指定して行使すること――の一覧とか見れないかな。

ちなみに『不定型』と『指定型』という発想は俺が考えたことだったりする。この世界では基本的に、魔法をるという発想が薄いらしく、ほとんどの者が魔法に対し共通のイメージを持っている。

そのため俺が使うような火、そのものをったり、風をったりすることは特異なこと、異質な考えだと言える。

「魔書よ、俺が使える火魔法『指定型』を教えてくれ」

俺は1ページめくり、呟く。魔書はすぐさま応えてくれる。

――――

火魔法『指定型』一覧(會得済)

<初級>

『ファイアー』

<下級>

『ファイアーボール』

『ファイアーウォール』

『ファイアーニードル』

『ファイアースタンプ』

<中級>

『ファイアーアロー』

『ファイアーウェーブ』

『ファイアーバーナー』

――――

うんうん。いいね! 魔書くん、素晴らしいっ!!

俺は優秀な我が魔書に激しながらも、その能力の可能をワクワク、ドキドキしながらまた考える。

ふふっ。次は魔力の消費量の計測とかどうだろう。あ、新魔法の會得にも使えるはず! ヤバイっ! 魔の可能が広がるー!

俺はあまりの嬉しさに終始にやけ、笑っていたため、その現場を見たものは酷く驚いたに違いない。幸い、森なので見られることはほとんどないと思うが……。

それから日が暮れるギリギリまで俺は魔書について検証を繰り返すのだった。

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