《魔法陣を描いたら転生~龍の森出の規格外魔師~》サイドストーリー3 ラルージュママ

「ママ、ただいまー」

「あら、おかえり。セレーナ」

わたしは外から帰ってきた娘を両手を広げ迎える。セレーナはパタパタと翼を羽ばたかせて、わたしに向かって飛んでくる。そして、わたしに辿り著いたセレーナを、わたしはギュッと抱きしめた。

「ママー」

「よしよし」

頭をで、優しく聲をかける。毎日していることだが、可くて仕方がないと思ってしまう。わたしは娘に甘いらしい。

「ねぇねぇ、ママ! わたしのお話、聞いてくれる?」

「ふふふっ、聞きたいわぁ。ママに教えてくれる?」

「うん! あのね……」

***

今日は雪合戦をしたのねぇ。ふふふ、わたしも昔はよく遊んだわぁ。懐かしいわねぇ。

「それでね、ユーリくん雪だるまになっちゃったの!」

「あら、それは大変ねぇ」

「うん。でもね、ユーリくんは大丈夫だよって言ってくれたんだよ。やっぱり優しいなぁユーリくんは。うふふ」

セレーナはユーリくんが好きなのねぇ。ユーリくんのお話ばかりしてるわぁ。うふふ。

「そうねぇ。ユーリくんは優しい子だわぁ。セレーナもユーリくんに優しくしてあげるのよ」

「うんっ!」

もちろん、この子が優しいことは知っている。だからこそ、優しさを向ける先を間違えず、ユーリくんのような子を大切にしてしい。

親は勝手だわぁ。そんなことはセレーナ自が決めることなのにねぇ。それでも、ついつい口を出してしまうの。だって可くて、大切で、しい娘だもの。

「セレーナはユーリくんが好き?」

きっと好きだと答えるだろう。わたしはそう思っていると……

「ううん。違うよ」

「あら、そうなの?」

違うのかしら……。

「だってわたし、ユーリくんがだーいすきなんだもん!」

「あらあら、うふふ。そうね、大好きよね」

「うんっ!」

わたしが間違ってたわぁ。セレーナは心の底から、ユーリくんが好きなのねぇ。うふふ、妬いてしまうわね。

「でもね、でもね。ママも同じくらいだーいすきだから、わたし困ってるの。ふふふ」

「まぁあ、ふふふ。ママ、嬉しいわぁ。ママもセレーナが大好きよ」

わたしは思わずセレーナを抱き寄せる。ついこの間まで、あんなに小さかったと思っていた娘は、わたしの気づかないうちにどんどん長している。

いつか來るであろう旅立ちの日を考えると、なんだか寂しくなってしまう。だからこそ、今のうちにたくさん話して、たくさん笑顔を見て、教えてあげられることは教えて……の限りを盡くしたいと、わたしはそう思う。

「ねぇねぇ、ママー」

「なぁに? セレーナ」

「わたし、お腹空いちゃった」

「ふふふ、そうね。すぐに作るから待っててくれる?」

「うんっ!」

今日はセレーナの大好きなものを作るとしましょう。うふふ。

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