《魔法陣を描いたら転生~龍の森出の規格外魔師~》8 大切な話
椅子と椅子を向き合わせるように座る。
改まると張してしまい、靜寂が重くのしかかって一言目が上手く切り出せない。
そんな俺を急かすことなく母さんはじっと待っていてくれる。
いい加減話さなきゃな。
俺は大きく息を吸って、ゆっくりと吐き出す。
長い1日が終わる前に母さんにもしっかり話そう。
俺が経験してきたこと、アカネのこと、そして――これからのこと。
***
最初は森にってからひとりで魔獣と戦い生き抜いてきたことを話した。
俺が倒してきた魔獣たちの名を出す度に母さんは様々な表で驚く。
本來なら人族が軍を編制して討伐に挑むような魔獣たちをたった1人で立ち向かい打ち倒してきた。
客観的に見てみれば巨大な魔獣に襲われている子供が妥當だろう。
実際は対等、もしくはその逆だったこともある。
母さんが驚き慣れてきたところでアカネと出會ってからの話になる。
自分の思いをえながらありのままの出來事を話す。
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アカネが使い魔である前に大切な家族だということを伝えると「ユーリの家族は私の家族だ」と言ってくれた。
心配なんて微塵もなかったけど、でも安心した。よかった。
そして最後にもう1つ大切な話をする。
「ずっと母さんに隠していたことがあるんだ」
もう忘れ去ろうとしていた事実。
新たな人生として生きようと過去の自分を片隅に追いやった。
でもそれは拒絶されることを怖がって隠そうとしていただけだ。
話せる時はいくらでもあったのに俺は話さなかった。自分を誤魔化して……。
だけど、それも今日で終わりにしよう。
これからも家族であるために――。
「俺はこれから先に起きる大戦で、ある龍人を倒すために異世界から転生した転生者だったんだ」
一拍の沈黙。
その短い時間の中で、覚悟を決めたはずの俺の心は荒海のように荒れに荒れていた。
もし拒絶されたら……そう考えるだけで怖くて逃げ出したくなる。
意味がわからない、と一蹴されてもおかしくはない。
いやでも、と信じて期待する気持ちと怖くて不安な気持ちが心の中で対立していた。
しかし、その荒海の心も母さんの言葉で穏やかな海へと変わる。
「そんな気はしてた。異世界とは思っていなかったけどな」
「え?」
「私が気づいていないとでも? 私はユーリの母親なんだぞ?」
あぁ……なんだ。そうだよ。母さんは俺の母さんだ。
ほっとしたら涙が出そうになった。
いや、まだダメだ。まだ話さないといけないことがある。
俺はこの嬉しさを自ら手放すようなことを言わなければならないと思うと、途轍もなくが苦しくなった。
「俺……集落をでる」
今度は長い長い沈黙だった。
――森より外へ出た者は二度と集落に戻ることをずる。
これは集落の掟の1つだ。
つまり、集落を出ることは二度と帰ってこないことを意味する。
俺はいずれ來る戦いに集落のみんなを、大切な人たちを巻き込みたくない。
守れるくらい強くなったとしても萬が一、億が一だってあるかもしれない。
それなら俺が離れることを選ぶべきだと思った。甘い考えは大切な存在ものを失うことになるとあの森で學んだ。
そして更なる強さを手にれるためにも外の世界に旅立つことが必要だとも思った。
「……し時間をくれないか」
その聲はどこか悲しげで力のないようにじた。
俺は「うん」と頷くことしかできない。
「俺、ちょっと外に出てくるよ」
この場に居づらくなってしまった俺は母さんの返事を待つことなく外へ出る。
ゆっくりと閉まるドアを背に目的地もなく歩き出す。
悪いことをしてしまったような気分だった。
たとえ集落から出ることを母さんに止められたとしても、それでも俺は集落を出ると決めている。
「みんなにも話さないとな……」
全てを吸い込んでしまいそうな闇の空に向かって消える聲で俺は呟いた。
***
空のが徐々に明るいへと染め変わっていくのをじて早朝だと気がつく。
あれから戻るに戻れなくなってしまい森で鍛錬を今の時間までしていた。
途中アカネも影から出てきて魔法止の模擬戦もしたが、疲れたアカネが寢ると言って木の上で橫になってしまったのでそこからは1人で素振りなどをした。
なんだか思考がはっきりせずぼーっとしたじが続いている。鍛錬の最中もずっと。
きっと寢ていないからだと決めつけて俺はし仮眠をとることにした。
アカネが寢ている木に寄りかかって座る。
目を閉じてからは直ぐに眠りに就く。
しかし、この時の俺は油斷していた。
ここは終わりなき森とは違う・・・・・・・・・・ということを忘れて……。
読んで頂きありがとうございます!!
そして昨日更新だと予想されていた読者様、更新が本日になってしまい大変申し訳ございません……。
しばらくの間はこのぐらいの更新頻度で頑張りますので、溫かい目で見守って下さいっ。
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