《魔法陣を描いたら転生~龍の森出の規格外魔師~》26 人族の子供
(注)25話のユーリ視點です。
語は進んでいません。
俺たちは雑草の生い茂る草原をひとまず進んでいた。
早急に街を見つけないといけないほど切羽詰まっているわけではないので、森の外を調査するという意味で歩いていく。
それにしても本當にただの草原だ。
目視できる範囲では街、村はない。
と言っても、數キロ先はし小高くなっていてその先は見えない。
魔力知に魔獣の荒々しい魔力をじる。
距離は右に3キロくらい、數は1匹か。
ん? 小さい魔力だけど近くに人がいる。
「セレーナ、アカネ、魔獣がいる。距離は東に3トルメハイくらい。數は1匹。それと……人族が1人」
「どうする?」
「え、見えないよ!?」
アカネもすでに知していたらしく、指示を求める。
セレーナはキョロキョロと唸りながら魔獣を探しているが見つけられていない。眼では難しいと思うぞ。
そんな姿に微笑ましくなりつつも、班長として行を決める。
「近くまで転移して様子を見る」
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俺がそう言うと、アカネはサッと俺の背中に抱きつく・・・・。
「いや、何で背中?」
「他意はない」
「え、どういうこと」
というか、どこでそんな言葉を知るの?
「あ! ずるい! わたしもっ」
アカネの行に化されてセレーナも俺に抱きつく。
正面はセレーナ、背中はアカネ。突然のサンドイッチ狀態で揺を隠せない。
煩悩が頭の中を埋め盡くしていく。
セレーナの髪はいい匂いだとか、腕が細いとか、々とらか……ダメだ、無になれ。無になるんだ俺。
好きなの子から、こんなことされたら々とヤバイ。一種の試練だ。
俺は後ろからグサグサと指を刺してくるアカネによって正気を戻し転移魔法を使う。
今更だけど、俺の近くにいれば引っ付かなくても転移できるんだけどね。
転移後、念のため結界魔法で気配を遮斷する結界を展開する。
魔獣との距離は20メートル弱。俺たちが転移してきたことに気がついていないようだ。
魔獣の正はシザーマンティス。中級魔獣で、鎌が鋏に変わった巨大なカマキリだ。
魔法は使えないが、あの鋏の斬れ味は抜群なので注意が必要。と言っても、俺とアカネに傷をつけることは無理だと思うけど。
シザーマンティスの進行方向に視線をしずらすと、そこには7〜8歳くらいの子供がいた。
どうやら雑草を採るのに夢中でシザーマンティスが近づいていることに気がついていない。
いや、もしかしたら実は気がついていてシザーマンティスの油斷をっているのかも、と思ってしまうほどに無防備だった。
聲かけた方がいいのかな。
しかし、自分でも驚くほどに俺は“初めて見る人族”に対して警戒していた。
魔獣に対するものよりも、はっきりとした警戒心が俺の中にある。
魔力はない。あのシザーマンティスよりずっとない。
だけど、自分と同じ種族である人族というものを俺は全くと言ってもいいほどに知らない。
どんな言語を使い、どんな文明文化が存在するのか。
知っていることと言えば、ここから更に北へ進めば人族の國があるということくらい。
だけど、どんな國かは知らない。
俺は人族という種族ではあるが、言ってしまえば中は龍人族なんだ。
それに今は大切な人たちがいる。
無闇にセレーナたちを危険な目には合わせたくない。
簡単にやられる気はないが、油斷はしない。
ついに、シザーマンティスが子供に到達する。
そして子供は驚きの聲を上げていた。
やっぱり、気がついていなかったのか。
「もしあの人族の子がやられそうになったら……助ける」
「んっ」
「うん」
俺は人族との接を覚悟する。
そんな俺の張が2人にも伝わってしまったのか、2人の顔もし強張っていた。
必死になって逃げる子供、それをゆっくり追いかけるシザーマンティス。
その追走劇も終わりを迎える。
子供が勢いよく一回転して転ぶ。
シザーマンティスは鋏を鳴らし、子供に襲いかかろうとしていた。
反撃できそう……にないな。
俺は魔法を発する。
基礎魔法と呼ばれるほど魔師ならば使えて當たり前の魔法であり、俺もお気にりな魔法である火魔法を選択。
この世界に來てから長い付き合いである火魔法は、今では息をするよりも自然なくらいに使える。
指先から五百円玉くらいの魔法陣が展開される。
その速さは瞬きをするよりも速い。
魔法陣の蒼いが一瞬強まると、そこからバランスボールよりも大きい炎の塊が放たれる。
俺から魔獣までの距離は20メートル近くあるが、炎の塊は1秒も経たないうちに著弾した。
炎は踠き苦しむことも許さず魔獣を焼き盡くす。
もはや戦闘とは呼べない戦いだった。
「転移するよ、一応警戒しといて」
「ん」
「あ、うん」
いつも通り短い返事のアカネ。
ちょっと固まっていたセレーナは我に戻って遅れながら返事をした。
再び転移。
場所は子供の近くまで。
「え、えぇええっ!?」
転移直後、子供驚く聲に俺も若干驚く。
直ぐに平靜を取り戻し、子供に近づいて行く。
「魔獣がコゲコゲだ……ユーリくんはやっぱりすごいね!」
「あれくらい當たり前」
一応警戒しといてって言ったんだけどなぁ……まぁいいか。どうやらあの子も驚いて固まってるし。
油斷はできないけど、もうし早く助けてあげれば良かったかな?
「ありがと、でもそれより……君、怪我はない?」
初めて見た人族の子供は、酷く弱々しい碧眼で俺を見ていた。
読んで頂きありがとうございます!!
前書きでも書きましたが、25話のユーリ視點です。
語は進んでいません。すみません!
ただ、ユーリの心は必要かと思ったので、書きました。
次話はセレーナの心……なんてことはないのでご安心を!
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