《魔法陣を描いたら転生~龍の森出の規格外魔師~》31 支部長
「どうだった?」
買取窓口から戻ってきたリリーに俺は結果を聞く。
「すべてけ付けてもらえました! 今は査定中です」
「どれくらいもらえるのかなー?」
隣に座るセレーナが目をキラキラさせて聞く。
「どうだろう? まぁ全部最上級・・・魔獣の素材だし、しはお金になると思うけど――」
ガタッ!!
椅子に腰を下ろそうとしていたリリーが座り損ね、視界から消えた。
「だ、大丈夫か?」
「は、はい……って、そうじゃないですよ!? ユーリ様、さっき何と仰いましたか!?」
「え? 最上級魔獣の素材だからしはお金になるかなって……やっぱり角とか売れにくい? 他の素材もあるにはあるけど」
「失禮ながらユーリ様は“最上級”という意味を理解されていますか?」
魔獣の強さを表す階級が下から最下級、下級、中級、上級、最上級、絶級、神級と存在し、最上級は上から3番目に強いことになる。
と言っても、最上級の中でも最上級上位や下位というように強さが分かれていくため、階級は大まかな強さでしか分けられていない。
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「神級、絶級の次に強い魔獣でしょ? それくらいなら俺にもわか――」
「そうじゃないです!」
「え?」
食い気味に否定された俺は驚きを隠せない。
セレーナやアカネさえリリーの剣幕に目を丸くしていた。
「書などには神級や絶級と呼ばれる魔獣が書かれていますが、現実には存在しません・・・・・・・・・・! 伝説上の生きです。現実で最も強いのは最上級魔獣なんです」
そうなのか? いや、それは噓だ。
神級ならまだしも、絶級はいる。現に俺は麒麟キリンを倒したし、その他にも『終わりなき森』で倒した絶級魔獣もいる。
だけど、この國では存在しないことになっているのか。というよりも誰も絶級とは戦ったことがないのかも知れない。
「そうだとして、最上級魔獣を倒すとマズイ?」
「悪くはありません。ただ、最上級魔獣というのは1で數萬の軍勢に匹敵すると言われています。つまり、1人の人間がどうこう・・・・・・・・・・できる相手ではない・・・・・・・・・はずなんです」
そういうことか。
俺はまたもやらかしたというわけだ。
チラッと付カウンターの方を見やると、裏にいる職員の人達が先ほどよりも慌ただしくいていた。
二角獣バイコーンの角が32本、怪獅子キマイラの牙が40本、蛇竜王バジリスクの皮が28枚くらいだったか。もちろん全部最上級魔獣の素材です。
よくよく考えたら最上級って強いよね。あの狂暴竜バーサークドラゴンが最上級魔獣だったわけだし、武龍団総員レベルの強さなんだよね。
絶級と比べたら大人と子供くらいの差があるから覚が麻痺してた。
まぁしょうがないよね。買い取ってくれるといいんだけど……。
その時だ。
俺たちのいる席に1人の職員がやって來た。
「リリーくん、ちょっといいかしら。支部長があなたと話がしたいそうなの」
「し、支部長が!? ……わかりました。ユーリ様、いってきます」
そう言ってリリーは職員の後について行く。
「ちょっと待ってください」
「ユーリ様?」
俺の引き止める聲に職員とリリーが振り向く。
「何でしょうか?」
リリーに対するものより固い口調で職員は聞く。
「俺も同席させてください」
「あなたは?」
「俺はリリーの師匠です」
職員は「あなたが……」と呟いてし考えた後、「わかりました。ついてきてください」と言った。
***
カウンターの橫にある階段を上り、2階へと進む。2階は1階のような高さはなく、複數の部屋で區切られているため広々とした印象はけない。
ただ、通路の最奧に一際目立つ扉のついた部屋が見える。どうやらそこに向かって職員――ナータさん(リリーから教えてもらった)は進んでいるようだ。
ちなみに待たせているのも心配なのでセレーナとアカネも承諾を得て連れてきた。
最奧の扉の前に著く。
ナータさんが「しお待ちください」と言って部屋の中へる。
一瞬の靜寂の後、ナータさんが出てきた。
「どうぞ、おりください」
開かれた扉を進んだ先は厳粛な雰囲気に包まれた、客間と書斎が繋がったような部屋になっていた。
書斎を思わせる重厚な機の前に、その人は立っていた。
「どうも、どうも。初めまして! 冒険者ギルド・パンプキン支部支部長のサンサイと申します! どうぞ、お気軽にサンちゃんとお呼びくださいな」
インパクトの強いオレンジの髪はボブカットで中ぽさをじさせるが、郭やつきから言って男だということはわかる。
一見、目を開けているのかわからないほどニコニコした表は人當たりの良さを思わせるが、その裏側には得の知れない凄みがあるようにじた。
俺が今まで出會ったことのない人種なのは確かだ。
サンサイさんの挨拶からし遅れてリリーが挨拶をする。
「は、初めまして! り、リリーと申します。サンサイ支部長にお會いできたこと嬉しく思います!」
「はいはい、リンリンちゃんねっ。よろしくさん。で、そちらのお方の名前は何さんかな?」
サンサイさんにあの得の知れない笑顔を向けられて俺は構える。
隣で「リンリンじゃなくてリリー……」というリリーの呟きを聞き流しながら俺は挨拶を返した。
「俺……私はリリーの師匠で、魔師のユーリと言います。こちらの青髪のが妻のセレーナ、後ろいる白髪のが相棒のアカネです」
「妻・のセレーナです!」
俺の挨拶に続き、やけに妻の部分を強調してセレーナが挨拶する。
「……アカネ」
何故か不機嫌そうにアカネも挨拶する。
それにしても張してるのかどうかわからないけど、セレーナもアカネも俺にしがみついて離れない。
「ふふふ、面白いね君達。その若さで夫婦っていうのもツッコミどころ満載だけど、かなり訳ありでしょ・・・・・・・・・」
その一言で俺は油斷できない相手だと確信した。
「まあまあ、そんな構えないでよ。どうやら僕はユーリ君、君とお話しした方が良さそうだ」
サンサイさんは凄みを隠したその笑顔を見せながら言った。
読んで頂きありがとうございます!!
謎の個強めなキャラが登場しました。
作者も困気味です……。
サンちゃんことサンサイ支部長をよろしくお願いしますっ!
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