《魔法陣を描いたら転生~龍の森出の規格外魔師~》40 3日後

巖龍の暴走事件から3日後。

俺たちはギルドの支部長室に呼び出されていた。

どうやらギルドはギリギリ被害の範囲外だったらしく損害はない。事件の日は避難場所として開放していたらしい。

初めて會った日のように応接用のソファーに向かい合って座る。

ギルド職員の人が紅茶を全員分出し終わり、部屋を出てから話は始まった。

「ユーリ君、それにセレーナちゃん、アカネちゃん、リリスちゃん、今回は本當に助かった。ありがとう」

挨拶をわしてすぐにサンサイ支部長は俺たちに謝辭を述べた。

リリーが「あの、リリーでーす……」と呟いていたが、もちろんスルーして話の続きを聞く。

「今回の巖龍出現は予期せぬ事態だった。だが、警戒はできたはずだ。君が巖龍を止めてくれなければもっと被害は拡大していた。支部長として、この町をする者として謝してもしきれない」

聞けば、龍の目撃報がギルドに寄せられてから一級冒険者の招集は行なっていたらしい。しかし、各地で依頼をこなす一級冒険者がパンプキンまで來るにはそれなりの時間がかかる。

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パンプキンにいる二級冒険者だけで何とか警戒制を整えようとした矢先、この事件が起きてしまったというわけだ。

「當時の狀況はギルド職員から報告をけているんだけど、よくわからない部分もあって、よければ君から詳しい経緯を教えてほしい」

「え」

報告など全く考えていなかった俺は戸いのあまり聲を出してしまう。

あの時は被害を最小限にすることを優先してたから、後先考えず魔法を使いまくった。そのことを正直に話したら後で々と面倒なのは目に見えている。

それに龍人のことも説明が難しい。

俺はかなり誤魔化しながらサンサイ支部長に経緯を説明する。

「なるほど……つまり、ユーリ君が伝説の魔法を使って解決したんだね?」

「知ってたんですかっ?」

「やっぱり伝説の魔法を……」

な、鎌をかけられた……。

この人は本當に油斷ならない。

「鎌をかけてすまないね。でも、それを知ったからと言って君をどうこうしようとは考えていないからさ、許してほしい」

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その言葉に噓はなさそうだった。

信用はしていないが、約束を違える人ではないと思う。これまでのない會話からそれだけはじていた。

「と、ここまでは真面目モードだったけど、普段通りに戻させてもらうね」

真面目だったか?

というツッコミを呑み込んで、サンサイ支部長の話の続きを聞く。

「今後の君のことと、嬉しい報酬の話をしようか」

俺は一つ頷く。

「それじゃ先に今後の君についてだ。騒で通達が遅くなっちゃったけど、君の冒険者登録が完了したよ。これから特例・・初級冒険者として頑張ってね」

ん? 特例?

「特例って何ですか?」

「冒険者には階級があるのは知ってるかな?」

「はい」

上から特級、一級、二級、三級、初級の5つだったはずだ。

「分けている理由は?」

「知らないです」

「そかそか。理由って言うのは簡単に言うと、ギルドが冒険者の強さを把握したいっていうのと、冒険者にの丈に合わない依頼をさせないため、なんだよね」

「もしかして特例って言うのは……」

「そう、それを無視できる許可。つまりユーリ君は初級だけど、どんな依頼もけられる超大型新人ってわけだ」

サンサイ支部長が笑顔でグッドサインを送ってくる。

この人ふざけてる。

特例って特別があるけど、要するに俺を自由に使いたいってギルドの思だろう。ただの初級に二級、一級レベルの依頼をさせることはできない。

ギルドからすれば二級、一級の依頼をこなせる冒険者は限られているから、しでも多く人材がほしいと言ったところだろう。

「勘違いはしないでね。これはあくまでガイドの推薦を考慮して決めたことだからさ。もちろん今回の騒の実績は認めているし、報酬も出すけど、この件が君を特例に定めた拠ではないだ」

ガイドさんが推薦?

「君は知らないと思うけど、ガイドは試験を任せている冒険者の中でも一番審査が厳しいことで有名なんだ。そのガイドが特例を推薦するほどの冒険者がユーリ君なんだよ」

ガイドさんとは試験以來會えていない。

ほんのしだけしか話せていないけど、俺の中で冒険者とはガイドさんのような人だと思わせてくれたように思える。

期待されている。そう思うと純粋に嬉しかった。

稼ぐために半ば仕方なくなった冒険者だけど、期待してくている人がいるなら頑張ってみようかと思える。

もちろん龍帝國の件が最優先ではあるけど、旅の途中で冒険者としてできることはしよう。

「そんなわけで、これからもよろしく頼むよ。期待のルーキー」

「はい、よろしくお願いします」

それからサンサイ支部長は「ではではお待ちかねの報酬だけど」と続けてギルド職員を呼ぶと、大きな袋をジャラジャラと鳴らしながら5人のギルド職員が部屋にってきた。

結果から言うと、5000萬Gを報酬として貰った。細かい訳は聞いていないけど、魔獣の素材とホシキノコ、それに今回の騒の報酬が含まれているらしい。

話によると、現狀支払える報酬が5000萬Gなだけで、更に報酬があるらしい。

リリーによると5000萬Gは質素に暮らせば一生暮らせるぐらいの大金だと説明された。額を知ったときのリリーの顔はいくら形とは言え、ドン引きするくらい驚愕した顔だった。

その後、俺たちのギルド証を発行して貰い、け取るとサンサイ支部長から“お願い”を言い渡される。容は町の復興支援というものだったため、特段斷る理由もないので引きけた。

ギルドでの諸々のことが終わり、今日のところは家に帰った。

リリーの稽古が終わり夕飯までの休憩時間、俺は自室でこれからのことを考える。

しばらくの間は復興支援に集中しながら、龍帝國に警戒することになりそうだ。

パンプキンの復興に目処がついたら、次の町を目指すことになるか。

この町以外にも被害に遭った、もしくは遭う可能がある町はあるだろう。

未然に防げるなら防ぎたい。そのためにはやはりこの町に長居してはいられない。

俺たちの目的はあくまで調査だが、助けられるものを助けないのは嫌だ。それが素直なだった。

きっとセレーナもそうだと思うし、母さんだってそうする。アカネは言わずとも力を貸してくれる。

で行するのはきっと一人前とは言えないのかもしれない。けど、大切な人にを張れる生き方をしたい。

今のこの人生は後悔したくないから。

目を閉じる。

脳裏には過去の人生が流れる。それはもう殆どおぼろげで、鮮明には思い出せない。

それから転生後のことが思い起こされていく。

それはどれも鮮やかで、褪いろあせない輝きで溢れている。

過去の自分を否定したいわけじゃないけど、今の自分は自分らしく生きている。

『ユーリくん』

い頃のセレーナが、長したセレーナが、人化したセレーナが、結婚式でセレーナが、々な日々の中でセレーナが俺を呼ぶ。

やっぱりどんな時でもセレーナが俺の中にいる。

今も側にセレーナをじる。それくらい俺はセレーナが大好きだ。

「俺はセレーナが大好き過ぎだな」

「ふぇっ!?」

「え?」

目を開けると、目の前に顔を真っ赤にしたセレーナがいた。

え、側にセレーナをじるって、現実のことだったのかい!

「……わたしもユーリくんが大好き過ぎだよ?」

ぐはっ!?

今すぐに抱き締めたい。

目線をチラチラと向けながら、恥ずかしそうに言ったら可すぎて困るから! ライフポイントがゼロになっちゃうから!

「ユーリくん、ご飯だよ。行こっ」

そう言って微笑みかけるセレーナに俺も笑顔になって「うん」と答えた。

読んで頂きありがとうございます!!

5000萬G。

もちろん、適當です。

ギルド証作るのに5萬G。これが4人家族の1ヶ月の生活費よりちょっと多いくらいのイメージです(參考程度に……)

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