《魔法陣を描いたら転生~龍の森出の規格外魔師~》59 天神様

お待たせしました……。

遅くてごめんなさい……。

剣先と巨花竜の一部がれた瞬間、巨花竜の全てが白い灰のような塵となって存在そのものが消滅する。

キャロット上空を覆ってしまうほど大きかった巨花竜が消え去る一瞬、太によって輝く景がこれまでのと相反して幻想的に見えた。

終わってしまうと何とも呆気ないように思えてしまうが、これでキャロットの危機は救えたはずだ。

いや、まだだ。生きているはずのテーレの存在が気になる。

テーレがどこに転移した逃げたのか行方がわからない現狀、安心するのはまだ早い。

ただ……。

「助かった……助かったぞ!」

「……お母さん、もう逃げなくていいの?」

「えぇ、そうよ……本當に……よかった」

『――――うぉぉおおおお!』

歓喜、泣き聲、謝、、安堵、等々。

戻ってきた平和にキャロットの市民は皆それぞれのを表に出して生きていることを実していた。

きっと死を覚悟したものはなくないはずだ。それほどまでに危機的狀況だったと思い返すと、本當に救えて良かったと思う。

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本當に良かった。

「天神・・様が我々を救って下さった!」

「天神(てんじん)様、ありがとうございます……」

「天神様、萬歳!」

『萬歳!』

市民の様子が変わって、何かを崇め奉るような空気になっていく。

ん? 天神様? どこかで聞いたことがあるような……。

〈ふむ。天神様とは龍神アミナス様の人族での通り名じゃな〉

〈そうだ! 人族の崇める三神のうちの一神が天神様で、それが龍神アミナス様だ!〉

〈いや、それは今妾が言ったであろう……それに、そのことをお主に教えたのも妾だったではないか〉

〈そうでしたか?〉

師匠に遅れを取るなんて、弟子の恥!

ん? 何か逆なじ?

まぁ、細かいことはいいよね!

〈今、失禮なことを考えたな?〉

〈さっきもそうですけど、俺の思考を読んでませんか?〉

〈そんなことはない。それより、やっぱり失禮なことを考えていたのじゃな!〉

〈いえ、そんなことはないですよ?〉

思念の疎通をしていても考えを悟られない修行をしたはずなのに、師匠に考えを見かされてる気がする。

さすが師匠というか、俺がまだ甘いのか。

これじゃ、下手なことは言えなくなっちゃうよ。

〈まぁいいのじゃ……それはそうと、下にいる人族の者たちがお主のことを天神様だと勘違いしているようじゃぞ?〉

市民が集まる方を見ると、確かに俺に向かって萬歳をしているように見えなくもない。

次第にキャロット全で天神様コールが繰り返される。

〈いっそのことお主が天神様を演じたらどうなのじゃ?〉

〈えっ!? 俺が天神様を!?〉

〈その方が混なく、お主の正がバレることもないのじゃ〉

〈確かに……〉

師匠の提案は最もだった。

俺が天神様を名乗るなんて恐れ多いが、正を悟られないためには神になった方が都合がいい。

それに俺が巨花竜を倒したと伝えたところで信じる者はいないだろう。

神が危機を救ってくれたという方が納得がいく。

〈わかりました。俺が天神様になります!〉

〈いや、天神様になれとまでは言ってないのじゃ!?〉

ひとまず顔をお面で隠して、念のために変魔法で背丈も大人に変えておこう。

それと天神様は大きな純白の翼が生えていると言われているから、翼も生やして……。

あれこれと変裝していると、我ながらびっくりするほど天神様になっていた。

〈お主、変裝の才もあったのじゃな〉

〈そうですか? ……あ、神々しさも出したいから魔法を使うか〉

〈うむ、本気じゃな〉

〈天神様のイメージは崩したくないので〉

〈そ、そうか〉

こんなじだな。

俺は準備を終え、一芝居打つために臺詞を頭の中で用意する。

市長塔の頂上あたりまで降下すると、市長塔の周りにいた市民や行政局員が歓聲を上げた。

視線が俺へと一點に集まる。

深呼吸をして、気持ちを整える。

よし、俺は……私は天神だ!

魔法を使って神々しさを最大限に演出する。

『おぉ……』

目に見える全ての人たちが両膝をついて俺を仰ぎ見る。

「私は天神。助けを求める聲を聞き、この地に參った」

出だしは良しだ。

「この地を脅かす危険は今し方去った。平和を願い、健やかに生きられよ――――」

俺はその言葉を最後に魔法の発を強め、それと同時に翼を羽ばたかせる。羽が舞い、神々しさは極限まで高まっていた。

「さらば、この地に生きる民よ」

俺は転移魔法を使ってその場から消え去る。

消え去る間際、市民の人たちの『天神様ぁぁぁあああ!』とぶような聲が聞こえた気がするけど大丈夫……だよね。

転移した先はキャロットの北側市外。巨花竜がを張っていた荒地に再び戻ってきた。

俺が変魔法などを解いていると、アカネたちが転移魔法を使って合流を果たす。

「ユーリくん!」

「ユーリ様!」

「……」

「セレーナ、リリー、アカネ。みんな無事でよかった」

駆け寄ってきたセレーナをけ止め、その次にリリーをけ止める。

後からアカネが側まで來るが、飛び込んでは來なかった。

森にいた頃みたいにもっと素直になってもいいと思うんだけどな。

最近じるアカネとの距離し寂しい。

別に仲が悪くなったとか、気にらないことがあったということではないと思う。

さっきだって結界や、セレーナたちのことを任せたわけだし、その役目を相棒として果たしてくた。

信頼は揺るがない。

この距離はきっとそれとは別の何かなのだろう。

これが反抗期ってやつなのかな?

「アカネ、ありがとな」

アカネの頭を軽くでる。

「……ん」

その表は他人が見れば無想だが、俺からすれば嬉しそうに頬を緩めているように見えた。

んーやっぱり気のせい?

「ねぇ、ユーリくん。さっきのテンジン様? ってユーリくんだよね?」

俺の腕をがっちりホールドしたセレーナが、じっーと俺の顔を見つめて疑問をぶつける。

ちゃんと説明してね、というセレーナからの無言のプレッシャーをじる。

腕をホールドしなくても逃げないんだけどなぁ、と思いつつ苦笑いを浮かべて俺は答える。

「そうだよ。さっきの天神様は俺が変した姿だ。本來の天神様は俺たちの神である龍神様のことで、人族では龍神様を天神様って呼んでいるんだよ」

読んで頂きありがとうございます!!

この更新ペースに甘んじている自分がいて、申し訳なさと申し訳なさでいっぱいです……。

しでも書くようにします!

ので、これからも読んでください(切実)

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