《魔法陣を描いたら転生~龍の森出の規格外魔師~》60 弟子と真実
大変、お待たせしました……。
「あの……ユーリ様」
リリーは視線を左右に彷徨わせて言うべきか躊躇った様子を見せる。
そうか。そうだったな。
リリーにはちゃんと話していなかった。俺たちがどう言った立場なのか。
師匠と弟子。その関係に変わりがなくとも俺がどんな存在なのか知りたいと思うのは當然だ。
話すべきだ。そして、リリーが関わりを拒むと言うならそれを尊重すべきだ。
リリーは弟子であって、俺の部下でも召使でもない。
「リリー」
「は、はいっ」
リリーが俺の顔を見る。
その瞳はし張のが見えた。
このタイミングで話すのが正しいのかわからないけれど、リリーを信頼しているし、何より話したいという思いが俺の中にある。
そして、リリーにこれからも付いてきてしいと思う気持ちもあった。
そんな期待を乗せて、俺はリリーに話す。
「リリーに聞いてしい話がある。大事な話だ。この話を聞いて、リリーがどんな決斷を下しても俺はそれを尊重する」
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「――はい」
その返事からは「覚悟はできています」という意思がじ取れた。
「俺たちは龍の森の奧にある“龍人”の集落『ドラフヘン』からある目的・・・・のためにやってきた』
俺たちの目的、それは龍帝國の侵略を阻止すること。そのためには敵を知る必要がある。
その役目を果たすために編されたのが俺たち武龍団第五班調査班だ。
これまでパンプキンの巖龍襲來や、ここキャロットでの巨花竜の件など、明らかに龍帝國が関與しているだろうと思われることが立て続けにあった。
現狀は、敵を知るというよりも接してしまって、どうしたものかというものだが……。
龍帝國の大きなきは未だ確認されていないが、いつ侵略を本格化させるかはわからない。
出來る限り報を集め、対策していく必要がある。
「俺は人族だけど、育ててくれたのは龍人族の母さんだ。それと――俺は異世界からきた転生者なんだ」
包み隠さず、全てを話す。
リリーからの質問を一つ一つ丁寧に答える。
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それが誠意であり、これからのために必要なことだと思うから。
俺は想いを言葉にする。
「種族は違うし、元々住んでいた世界も違うけど、俺は集落の皆が大好きだし、守りたいと思っている。だから集落のみんなの力になりたいし、龍帝國の好きにはさせたくない」
龍帝國の侵略が本格化したとき、集落を放って置くなんて考えにくい。集落の存在を認知した今、龍帝國は集落を滅ぼしにくるはずだ。
「ずっと黙っていて悪かった。俺はただの旅人じゃなくて、異世界から転生して來た、龍の森出の魔師だったんだ」
「そうだったんですね。ユーリ様がただの旅人ではないことは分かっていましたが、転生者で龍の森出の魔師だったとは……いえ、ユーリ様の魔法のことを考えれば當たり前のことですね」
「ん?」
「ユーリ様は常識の中にあらず、想像すらも超えるお方ですから! 僕はそんなユーリ様だからこそ、弟子になりたいと思ったんです!」
「お、おう!」
「だから、今さら弟子を辭めてくれなんて言わせませんよ! 僕はずっとユーリ様についていきます! 例えそこが辛く険しい道だったとしても、弟子りをお願いしたときから僕の気持ちは変わりません。ユーリ様のような魔師になりたい」
リリーの目はすごく真剣だった。そして強い意志が宿っていた。
「僕は弟子として、ユーリ様をお近くでずっと見ている使命があるんです! ユーリ様の目的のお手伝いを――――僕にもさせてくださいっ!」
リリーはそう言い切ると急に顔を赤くする。それから不安そうな目になって俺を見つめた。
こんなにもリリーは俺に憧れていてくれて、俺のことを信頼してくれている。
疑っていたわけではないけど、もっと早くリリーに打ち明けるべきだったな。
弟子にここまで言わせておいて、師匠の俺が覚悟を決められてなかったら話にならない。
リリーを巻き込む覚悟を決めろ。
リリーを立派な魔師にすると約束しろ。
そしてリリーを絶対に守ると誓え。
「リリー、ありがとう。お前の気持ちがよく伝わった。これから今まで以上に大変で、危険なことがあると思うけど、リリーの力を貸してほしい」
「はい」
「リリーは必ず魔師にするし、絶対に守ってみせる。だから安心して俺の背中ことを見ててくれ」
「はいっ!」
俺とリリーは晴れやかな顔で笑い合った。
「よかったね」
セレーナがそっと近づいて耳元で言う。
俺は「うん」と頷く。
俺が張していたことをセレーナにはお見通しだったらしい。
アカネを見ると、いつもよりらかい表だ。
連戦続きで、張した雰囲気も今はすっかり和やかになっていた。
土地痩せの元兇だった巨花竜ギガフラワードラゴンを倒したので、もう帰りたい気持ちではあるが、行方不明の先発冒険者の捜索と調査報告の必要がある。
それにテーレはまだ生きている。
探索魔法を使ったが、範囲外にいるようだ。
魔力が枯渇した狀態のはずだから2、3日はまともにけないとは思うが、用心はした方がいい。
俺はアカネたちに先に家に戻っているように伝え、先発冒険者の捜索をして、報告のためにキャロットに向かった。
キャロットの外壁にはたくさんの避難民で溢れ返っていた。
すごい人の數だ。
都市の中ではあまりじなかったが、実際に市民が移するとこんなにも多いのか。
俺は飛翔魔法で上空から様子を伺うことにする。
これは、今日中に復舊は難しいそうだな。
ギルドの辺りも人がたくさん押しっていて、れそうにもない。
ひとまず、今日は家に帰ろう。
「と、その前に」
結界魔法を使い、俺は都市を結界で覆う。外からの魔法干渉と、テーレが萬が一この都市に戻ってきたときに俺へ知らせるための結界だ。
他の人からは見えないようにしているため、騒ぎになることはないだろう。
「よし、帰ろう」
俺は転移魔法を使って一瞬で帰宅した。
「だぁ〜……疲れた」
俺は家に帰るとすぐに、増設したときに作っておいた風呂にる。
基本的に魔法が使えるなら生活魔法等での汚れは一瞬に綺麗にできるが、「神の癒し」という意味で風呂は素晴らしい効果をもつ。
集落では(みんな魔法が使えるため)風呂という文化はなく、人族の人たちも水浴びが基本で風呂に馴染みがない。全く文化がないわけではないが、これまでの町では銭湯や風呂らしきものはなかった。
セレーナたちに風呂を始めて見せたときは何だろう? といったじだったが、使い方を教えてあげるとすぐに気にってくれた。
湯については、それこそ魔法があるため造作もない。數秒で、極楽な溫泉の出來上がりだ。
「今日は久しぶりに魔力を大量に消費したな」
広々と足をばさせる湯船で俺は力を抜いて、ぷかーっとリラックスする。俺は完全に油斷していた。
そんな時だった。
ガラガラガラ。
風呂場の引き戸を開く音に俺はボーッとした思考のまま目を向ける。
「ユーリ様、お背中を流しに參りました!」
「あー……リリーか」
リリー…………リリー!?
幸いか、リリーのいる辺りは湯気が濃くてはっきりと見えない。
が、リリーの姿が生まれたとき・・・・・・の姿であることがわかってしまった。つまりハ・ダ・カ。
「ま、待つんだ! リリー! いくら師弟と言えど、は良くない!」
「え? どうしてですか? ユーリ様が前に仰っていたではないですか! 風呂には「の付き合い」というのがあると!」
「いや、それは同同士の話で!」
「なら問題ありません! 僕は男ですから!」
「――――え」
な、何て?
僕は男? オトコ? 男の子? 男の娘?
いや、最後のは違う! 違くないけど、違う!
「リリーは男」
「はい」
何を今更という風に、リリーが湯船に近づく。
そこには紛うことなき男子の象徴が……。
「――えぇぇええええええええ!!!!」
俺のび聲が風呂場を越えて家中に響く。
その聲に慌てて駆けつけたセレーナとアカネ。
それに気がついて振り返ったリリー。
「「えぇぇええええええええ!!!!」」
真実を知った2人も思わずぶ。
この日、テーレや巨花竜の出來事を塗り潰す衝撃的な真実を知った。
リリーは――男の子(娘)でした。
読んで頂きありがとうございます!!
本當に、本當に、長い間更新を止めてしまい申し訳ありません。
病気とかではなく、作者のスランプが原因です。
続きが書けなくなり、執筆から逃げていました。
スランプから抜け出せたかは微妙ですが、再び続きを書けるようになりました。
しばらくの間は隔週更新で頑張ります。
余裕ができたら週一更新にできたらと思います。
改めて、描い転をよろしくお願いします!
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