《魔法陣を描いたら転生~龍の森出の規格外魔師~》62 市長室
窓口のお姉さんに案されるままについて行き、最上階(7階)にたどり著く。
そして最上階唯一の部屋の前まで來ると、立派な扉の前に若い兵士と中年の兵士が立っていた。
窓口のお姉さんが中年の兵士へ何かを喋ると、中年の兵士は頷いて部屋の中にっていく。
しばらくして、中年の兵士が戻ってくる。それから中年の兵士が若い兵士に指示を出し、この階の唯一の部屋である市長室の扉が開かれる。
扉が開かれたことで全面にが溢れた。
広い大きな部屋には、この世界では最高品質と言っていいほどの大きな窓ガラスが何枚も連なっている。
窓口のお姉さんに促され、俺たちは部屋の中に進む。
部屋の中は意外にもシンプルで、棚、書斎機と椅子、応接のソファーと機のみだ。
中央に置かれた応接ソファーの前に痩せ気味の初老の男が立っていた。男は頬がややこけていて、目の下に隈がある。不健康そうな印象だ。
「はじめまして、私はキャロットの市長を務めているリコピンと言うものだ」
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初老の男――リコピンが軽くお辭儀をして挨拶する。
その仕草から政治家という印象が強まった。
「ユーリです」
「妻のセレーナですっ」
「ユーリ様の弟子のリリーと申します」
俺が名乗ると、続けてセレーナとリリーも名乗る。アカネはずっと影の中だ。
「本當にまだ子供だとは……いや、失禮。君たちの活躍はギルドから聞いているよ。あの曲者で有名なサンサイ支部長のお墨付きだとね」
「いえ、大したことは……」
またサンサイ支部長が出てきた。もしかしなくても、サンサイ支部長って有名人?
「今日、ここに呼ばれた理由は知っているかね?」
「盜賊の件としか」
「うむ、そうだ。君が盜賊からお守りしたお方・・が直接、君たちにお禮を伝えたいと仰られていてな。そのお方というのが……」
そこで、先ほどから・・・・・ずっとソファーに座ってこちらを見ていたが立ち上がる。そのの側には燕尾服を著た、見たことのある執事風の男が立っていた。
は長くて、明るい金髪を揺らしながら見惚れるほどの所作でお辭儀をする。
顔を上げたところでのエメラルドグリーンの瞳が真っ直ぐ俺を見た。
ふと、俺は違和を覚える。その顔が誰かに似ているような気がしたからだ。
誰に似ている? そんなことを考えていると、が話し始める。
「初めまして、私わたくしはヴァレンティーノ王國第二王エプレ・ヴァレンティーノと申します。この度は私たちを賊か助けてくださり、心より謝いたします」
「い、いえ、王様がご無事でよかったです」
強者とはまた違う圧倒的なオーラをけて、腰が引けてしまう。言葉遣いとか大丈夫かな?
このがこの國の王様。
非常放送で市民の心をかしたのが、俺たちとそう年齢の変わらないだったのか。
その事実にし驚き、けれどそのオーラに納得する。
「何かお禮をさせて頂きたいのですが、おみのものがございましたら遠慮なく仰ってください。ご用意いたします」
「いえ、大したことはしていませんので……」
俺が斷ろうとすると、リリーが俺の袖を引っ張る。
何か伝えたいときは袖を引っ張るようにセレーナとリリーには言っておいてある。
〈どうした?〉
〈ユーリ様。王族や貴族からのお禮を斷るのは、凄く失禮なことなんです〉
〈え、そうなの?〉
〈はい。ここは素直にけ取っておきましょう〉
〈わ、わかった〉
リリーの必死さをじて、俺は慌てて言葉を選ぶ。
よく見れば、市長がソワソワして忙しなく俺と王様を互に見ている。
「あ、あの、それでは一つお願いしてもよろしいでしょうか?」
「はい! 何でも仰ってください」
王様は何故か嬉しそうな顔で俺の言葉を待つ。
「書庫を使わせてください」
「書庫……ですか?」
「はい、書庫です」
意味は理解できるが、意図まではわからないといった様子の王様。
この世界(と言っても知っているのは龍人族と人族だけだが)では読書をする文化がない。
そもそも書自がなく、大抵は権力者がひとまとめに管理している。
そのため市場には滅多に出回ることはない。
それによって人々は文字を読む習慣がなく、識字率は低下、書を書く者も読む者も増えない。そんな悪循環がこの世界には存在している。
故に読書という行為に関心が減り、今では本を読む者は変わり者という風さえあったりする。
「無理でしたら……」
「いえ、何の問題もありません。々驚いてしまっただけですので……リコピン市長、書庫を利用してもよろしいですね?」
「はい、王殿下」
市長は王様に言われると、すぐに頭を下げて答える。
市長から確認を得ると、王様がこちらを見てニッコリと微笑む。
俺も何となく微笑み返してお辭儀をした。
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