王様との會談から３日が経過した。

この３日間はほとんどを書庫で過ごしていた。

と言うのも、キャロットの書庫は長の家ほどではないが、それに近いくらいに書が蔵書されていたのだ。

予想を超える書の量に正直驚いたが、それよりも嬉しさの方が勝っている。

それはそうだ。

本、書とは報。

報を得ることで、それは知識となって時に大きな力となる。

実は、その言葉は集落にいたときに読んだ書からの引用だ。

報は知識に、知識は力になるというは確かにその通りだと思う。

知っていると、知っていないでは大きく違うこともある。

俺は書から魔法の知識を得た部分もたくさんあって、その意味を何度も実していた。

この書庫にある書の多くは地理、歴史、伝記であり、魔導書（魔法の指南書のこと）や語のようなものはない。

これも文化の違いというやつなのだろう。

俺は魔力の腕を書庫に２００本ほど現化して書を片っ端から目を通している。

魔力の腕に視覚も共有することで、一々眼で見なくとも書が読める。

さらに、魔で鍛えた並行思考技を使うことで複數の書を同時に読めるため、この書庫にあるすべての書に目を通し終わるのもあとしだ。

「ユーリくん、ここの意味教えて」

隣で書を読んでいたセレーナがわからないところを指差して聞いてくる。

その際に俺のにピッタリとを寄せてくるため、セレーナのいい匂いが鼻孔をくすぐって、がソワソワとして何かがヤバイ。

セレーナのことだから、わざとではないのだろうけど、というか嫁だからいくらでもくっついていいんだけど、俺の理をし、もうしだけ考慮してほしい。

「ユーリくん？」

俺の顔を純粋無垢な表でセレーナが覗く。

煩悩を必死に打ち消して、俺は何とか答える。

「こ、これは……という意味で、もうしざっくり言うと……ってことだね」

「そっか！　ありがとう、ユーリくん」

そう言ったセレーナは無邪気に俺に抱きつく。

に、逃げてくれ、セレーナ！　俺の中に眠る狼が暴れ出そうとしてるっ！　くっ、もうダメか……。

「ユーリ様、しいいですか？」

「わうっ！　な、なに？　リリー」

セレーナに襲い掛かろうと出していた両腕を慌てて背中に隠し、何事もなかったかのように取り繕う。

「わう？　あ、そうではなくて、この書何ですが……」

リリーもわからないところがあったらしく、俺はリリーの疑問點を丁寧に答えていく。

質問の多くは魔関連であり、ないながらもこの書庫にあった魔導書をリリーは読んでいた。

魔について基本的な部分は同じだが、龍人族と人族の違いなのか解釈が所々違う。

それに、明らかに魔のレベルが龍人族と比べて遅れている。

種族的な能力の差はしょうがないとは言っても、ここにある魔導書は龍人族の子供が遊びながら覚えるところだ。それをさも高度な技として書かれている。

うーん、何でだろ？

「リリー、この魔導書も參考程度に読むだけでいいよ」

「はい、ユーリ様」

リリーはこくりと一度頷き、それから言葉を続ける。

「初日にも參考程度にとおっしゃっていましたけど、この書庫に置いてある魔導書はそれほどまでに実踐的ではないのですか？」

「何て言ったらいいのかな。目玉焼きの作り方を無理やり難しく説明しているような、そんなじなんだよ。目玉焼きなんて、卵を割って焼く、工程で言えばそれだけだ」

「なるほど……」

「確かに、目玉焼きが火加減や焼き時間で変わるように、魔法も魔力やイメージによってその効果は変わる。でもそれは、経験やその場によって変化していくものだから、定石があったとしても例外はいくらでも存在する」

「はい」

いつの間にか魔講義になってるな。

セレーナも隣でふむふむと頷いて聞いている。

集落にいるときに、セレーナには一度教えているから復習だな。

「魔導書はあくまで「魔法へと導く書」であり、魔法を定めるものではないんだ」

「ユーリ様、わかりました！　魔法は１つではない、ということですね」

「うん、正解」

俺がそう言って、頭を軽くポンポンとでるとリリーは嬉しそうに笑う。

うん、この笑顔は完全にの子だよね。

「魔法の話をしていたら、魔法の練習がしたくなってきました。僕、外に行ってきます！」

「そっか、気をつけてな」

「はい！」

それでは行ってまいります、とお辭儀をしてリリーは書庫を去る。

その姿を見て、俺は魔法の練習に明け暮れた過去の自分を思い出して重なって見えた。

頑張れ、年よ。

こんな気持ちになってしまうのは、俺も歳をとったということなのかな？　いや、この世界だとまだ１２歳なんだけどね。

「ねぇ、ユーリくん」

「なに？」

「私、ここの意味がわかったよ！　これはね……ということでね、だから……ということなんだよ」

うん、合ってる。

合ってるけど、それ、さっき俺がした説明と同じだね。

「……ね？」

セレーナの何かを期待する瞳が俺を見つめる。

ね？　とは……。

えーと……あ、そういうことか。

「すごいね、セレーナ！　よしよし」

「ふふふ」

俺はセレーナの頭を優しくでる。

満足そうなセレーナの表を見て、俺の頬も緩んでしまう。

俺の嫁が可すぎて困っている件。

しばらく二人でイチャイチャしたのはここだけのだ。（アカネにバッチリ見られてました）

読んで頂きありがとうございます！！

イチャイチャさせるのは楽しいですね。

このままずっとイチャイチャさせてもいいですか？（いや、ダメに決まってるだろ）

次回からは、魔法陣を描いたら転生〜イチャイチャするだけのスローライフ〜が始まります。お楽しみに！

※始まりません。