《シスコンと姉妹と異世界と。》【第1話】空白の空間

 

永い潛航から浮上するような覚。

 

無が、有に切り替わる。

黒が白に染まる_____。

ふと気が付くと、目の前に広がるのはまっさらな空間。

意識、思考はハッキリしているが手や足、口などが存在せず覚も無い。

ただ、見えているだけだ。

何か揺らぎのような、歪みのようなものに気付いた。

それは形を持ち始め、固まった。

人の子のようであった。ただ、どう見ても人の子ではない。

頭の先から足の先まで、この空間に溶け込むかのようにが白いのだ。中學生のような格で、どこかあどけなさの殘る顔立ちであった。

眼だけが赤く輝いているのが印象的だ。

目の前の真っ白な年がどこか笑ったような気がしたと思った時には、俺は俺になっていた。しっかりと手足の覚が揃い、自分が呼吸しているのがじられた。

「…………」

誰だこの白いの? でもそれより……。

「なんでお前、服著てないの? もしかしてめられてるとか……」

「違うから! そんなことより君の方こそどうなのさ!?」

指摘されて自分のを見やると、見慣れた相棒がセンター張って宙ぶらりん。

「「……、男二人が向かい合って全はキツイ」」

臺無しである。

閑話休題。

「まぁそれはそれとして、だ。君は自分が誰であったのか、その姿を見てわかるかい?」

「誰であった? 俺は翔一。草場翔一だ。で、お前は誰よ? そろそろ服著ないの俺ら?」

「意外と慌てたりしないもんだね。僕は、なんだろうな。一応、神様やってるんだよ、こんな形でも。まぁ僕以外にも神とされるのはいて、僕が唯一無二、一の神ってわけじゃないんだ」

「お、おう……」

廚二病をこじらせたのだろうか? いきなりの僕、神様宣言である。ただ何となく、噓を吐いているようにはじられない。空間といい、といい、白いせいだろうか。

ていうか、服著ないの?

 

「簡単に言うとね、ココは死後の世界。以前來た人間の中には『神と時の部屋』なんて名付けて、ケラケラ笑ってた子も居たんだ。死んだってのにね。でね、ここは死んだ人間の中でもほんのひと握りの人しかたどり著かないんだ。まぁ辿り著くというより、導かれるって方が正しいのかな」

「は、え? 死後の世界?? 俺、死んだ???」

「そう、君は死んだ。人を庇って死んだんだ。思い出してこないかい?」

そう、神様なる者が言った途端、脳に直接映像が送り込まれたような覚になった。そうだ。

「俺は、妹、枝里香エリカを庇って死んだんだ。」

 

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