《シスコンと姉妹と異世界と。》【第4話】食卓を囲んで
「だって! お母様! ショーが……」
「はいはい。お姉ちゃんなんだから言い訳しないの」
エリーゼ姉さんが、凄い顔でこちらを睨んできている。姉だから、で突っぱねられては反論しても無意味だ。それは姉自が15年生きてきてよく分かっていた。
「……姉さん、早く食べよ」
「アンタねぇっ……まぁ、いいわ。わたしの作った料理の味しさが落ちては困るもの」
なんやかんやで、本當にエリーゼ姉さんが料理を作ったようである。わざわざ治癒魔法を使わずに、指の傷を殘しているのがあざとい。ローズのれ知恵だろうか。
まぁ、母さん監督の下であれば味は大丈夫だろ。うん。多分。
「母さんもお疲れ様」
「あら、ショーも言うようになったのねぇ。お母さん嬉しいわ」
この口調だが、見た目とまるで釣り合わない。何せ我が家の元祖赤ロリ巨である。ウェーブのかかった長髪が自慢らしい。
「甘やかし過ぎですお母様。ショーはヴァッハウ家の長男としてしっかりしてもらわなければならないのですから」
さすがに母さんの態度には姉さんも呆れ気味だ。エリーゼ姉さんは父親譲りの金髪で、びた髪を一つに纏めるスタイルを好むようである。面倒臭いだけなのかもしれないが。奧ゆかしいといい、たまの斜め上の言といい、やや殘念である。その反か男勝りが過ぎる気がする、ホント。
「さ、全員揃ったことですし、早く食べましょう。ショー、誕生日おめでとう。はい乾杯」
「おめでとう、ショー」
「お兄ちゃんおめでとー!!」
「なんか照れるな……。母さんも、エリーゼ姉さんも、ローズも、みんなありがとう。ついでに父さんも」
父、アレクサンダー・ヴァッハウはこの日、國の騎士としての急務に呼び出され、席を外していた。剣士としての腕一本で、一代でり上がったエリートであり、同僚からはアレックスの稱で親しまれている様だ。周囲の信頼も厚いのだろう。オールバックにした金髪を振りして剣を振るう事から、『黃金獅子』という二つ名があるらしい。
自慢の親父である。姉さんが騎士を志すのも、多分に親父の背中を見て育ったからであろう。ローズに関しては、お姉様とお兄ちゃんがなるならわたしも、ということらしい。
そんな親父だからこそ、偶然夜にトイレで起きた時に見た、深酒して帰って來、母さんの前で子貓の様に震えてた様は衝撃的であった。姉さんが見たらショックをけそうな絵だったので、心の中にしまっておいてある。
「お父さんも仕事だから仕方ないわよ。あれでも楽しみにしてたんだから。わたしからも仕事が重ならないようにねって言っておいたのだけど……」
一瞬、母さんの額に青筋が浮かんだような。また親父の子貓姿が見れる気がするな。合掌。
「「「「ご馳走様でした」」」」
「うん、味しかった。姉さんすごい!」
「そ、そんなこと無くはないけど……。ところで、ねえ、ショー。この先どうするんだ? そろそろ騎士學校験してもいい位には腕を上げてると思うのだけれど……」
「あれだけコテンパンにしといてよく言うよ……」
「や、違う、そんなつもりで言ったんじゃ」
母さんとローズが、狼狽える姉さんをみて、笑いを堪えている。ほんの皮でからかっただけなのだが、言われた本人だけはストレートにけ取ってしまったらしい。
「分かってるって。俺もローズも一緒に験するつもりだよ」
「ローズも!?」
「そーだよー。わたしだけ置いてけぼりなんて寂しいじゃん。験資格そのものは10歳からなんだから、何も問題ナシ!」
「……母さんも、知ってたの??」
「もちろんよ? 娘のことですもの」
「なんでわたしだけ!!」
エリーゼ姉さん、心からのびであった。
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