《シスコンと姉妹と異世界と。》【第19話】悩み
最近、俺は朝の目覚めが良くなった。良くなったと言うべきか、矯正されたと言うべきか。
「ショー、起きろー」
そう言って姉さんが俺の腹をポンポン叩いていた。剣の腹で。下手に起き上がる方が危ないように思えた狀況だった。
それがあまりにだらしなかったからか、それともその前の日にアリスさんが弾を放ったのが原因か定かでは無い。
健康的に6時半起床である。寮の食堂が7時から空くので、開幕ダッシュして座席を3つ確保することが目的である。
始業時間が8時半なので、余裕をもって朝ごはんを食べるためにはそれ位で丁度いい。
ローズがめっちゃ食うから、そんな目に遭うんだけど。
「ほら、2人とも、そろそろ學校に行く時間だぞ?」
「「ふぁーい」」
間の抜けた返事を2人で返す。
今はそんな毎朝だ。
______。
座學に関してはそこそこにやれている。
中は高校3年まで進學したのだから、計算等のことは特に難しくじない。そこまで高度なものをこの世界で強要されることもなさそうだけど……。
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まだ魔法に関しては座學の範囲での授業で、長ったらしい呪文を詠唱して掌サイズの事象改変を行う程度。指先から小さな火を出して維持する等だ。集中力、もとい神力の強化という名目らしい。擔當教師がリーヴァ先生じゃない以上、高度なことはまずしないと思う。
リアルチャッカマンの群れだな〜って、周りを見てて思う。
學校は平日授業で、新規學生は基礎をみっちり教え込む方針らしい。シャンティー先生の方針とも言える。だってリーヴァ先生は「細かい事なんか経験でどうにでもなるって〜。早いとこ実戦形式でやりたいよね〜」って言ってたから。
土日は休みだが、パーティーを組んでる人は土日を使って課題任務をこなしたりする。任務容は學園側で管理されているため、長期に及ぶ任務をけた段階で、休日の手続きも自的に取られる。こちらの手間が省けるのいいシステムである。
學式の2日後、騎士科、魔法士科り混じってのパーティー決めが行われたのだが、俺とローズは決まっていたのでとにかくやることが無かった。男子から聲を掛けてもらう事もあったが(ローズ目當てのような気がしたので)、兄妹で組むことを伝えて諦めてもらっていた。
ただ、男友達も出來た。
歳が1個上のモーリス・アルバートという超絶イケメンの騎士科の生徒。スポンジのように素直で冷靜沈著、かと言って気取った所も無くていい顔で笑う。剣が大好きなんだと。同期學のよしみで、互いに名前で呼び合う仲だ。
人3人に囲まれてることもあって(親衛隊の方々を含めると10人近い……)、他の男子生徒はちょっと俺を恨めしそうな目で見てくるのでし辛かった。寂しかったなぁ。
そんな俺をほっとけなかったのか、モーリスが話し掛けてくれたのだった。
力強化の名の元に持久走をやれば余裕の1位だし、模擬戦で剣をえると1回も勝てない。他の人には1回は勝ってるんだけど。モーリス相手じゃそうはいかない。いいところまで行くんだけどなぁ〜。魔法をえたら分からない、と信じたい。
魔法士科生も剣での模擬戦は行う。魔法士は接近された時に弱い。詠唱のタイムラグがある為だ。その為の護用に剣も最低限につけておく必要がある、とのこと。シャンティー先生が模擬戦の授業の度に、口を酸っぱくして言ってる。
家で長剣を使っていたのだが、授業の中では短剣を使うこともある。俺の場合は前世でのこともあって長剣がしっくりくる。大概の冒険もののゲームやアニメの主人公は、長剣を使うイメージが染み付いていたからだ。
が、ローズには短剣がハマったようだった。短剣同士でローズと模擬戦をした時には手も足も出なかった。笑っちゃうくらい。笑っていたのはローズの方だった気がしたが。「ひゃはっ」って。
長剣同士なら普通に勝てるので、俺の中での兄としての矜持は一応保たれている……はずだ。
まぁどちらの剣でも、1位はモーリスだった。期が違うから分かんないけど、姉さんやアリスさんともいい勝負になる気がする。まぁ姉さんが勝つだろうけど。
こんど、モーリス対策を姉さんやアリスさんに相談してみようかな。でもいっそ本人に聞いた方が早いかな……。
學してから1ヶ月間、この悩みの種は頭の中で花を咲かせ続けた。誰にも相談するタイミングが無かっただけだが……。
タイミングが見い出せず、俺はコミュ障を憾無く発揮してしまったのだった。
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