《シスコンと姉妹と異世界と。》【第37話】夏來る

時は8月。夏真っ盛りのこと。3人で買いに來ていた。

ちょっとした思いつきがキッカケだった。

ローズたちと夕飯を食べている最中のことである。

「こんなあっついのによくそんなもん食えるな……」

「食べるの我慢してちゃ生きてる心地しないから!」

そう言いながらローズはズルズルうどんを流し込む。

「そうだぞ、ショー。よく食べて、よく鍛錬を積むのが騎士たる者の勤めだからな」

「姉さん、おにぎり1つじゃん……」

「あ、いや、これはだな。じ、実はわたしはさっき1人でお腹が空いたから食べてしまったんだ……」

「んな食べたら太るぞエリーゼ〜」

「食べてない! あっ……」

「「イエーイ」」

アリスさんとハイタッチ。近くに座っていたサニーさんたち、もとい親衛隊の5人もけらけら笑っていた。

「計ったな。しかもいつの間にそんな仲良くなったんだ……」

「まぁね〜。ショーくんと僕って相いいから☆」

「相なら妹のわたしだって、うっ」

絶対そこで吐くなよ妹よ。急にんだから一瞬上がって來たんだろうけど。

「わたしたちも負けてないよねぇ?」

「「「「うんうん」」」」

サニーさんたちとも簡単な任務に行ったりしたのだ。まぁメシ奢るからご飯に行こう、って言われて行ったら、それは任務の後ってことで騙されたのだが。

「な、みんなショーと任務行っているのか!?」

実は姉さんと2人で任務に行ったことがない。何でかっていうと、われていないから。こっちから初級任務に同行願うってのも気が引けてしまう。ホントは行きたいんだけど。ちなみにローズとはとうぜん同期なので行っている。食料とか採集関係が多いが。

「なんでってくれない!?」

「だって姉さん、任務無い時って大稽古したりするから邪魔しちゃ悪いかな〜って……」

「あらあら、エリーゼったら気を使わせちゃってる上に一緒に行けないなんて悲しい……」

「うぅ、皆まで言うな……」

姉さんが肩を落としている。ちょっと申し訳ない気になる。

そんななか、おもむろにローズがハッと顔を上げて言い放った。

「お兄ちゃんさ、暑い暑いっていうなら海でも行く?」

「それいいな!」

思わず即答してしまった。水著ラッシュ突だぜ!

「ショーくん変な事考えてるでしょー。でもその期待にお姉さんは応えてあげよう」

「いや、考えてないですって!! ……お願いします」

「本音が出てますよ、ショーくん」

「ステラさん、言わないでください……」

真面目そうなステラさんに言われると返す言葉が浮かばない。なんか冗談で返しても正論でけ止められそうで……。

「でしたら皆さん、今週末の日曜日なんてどうでしょうか?」

「うん! そーしよ! 新しい水著も買わないとだしね」

「最近サニーは食べてばっかだったものな」

「ゾラ、違うから! ちょっとおっぱいが大きくなって去年のがらなそうなの! ゾラもそうでしょ!? ローズちゃんもでしょ!?」

「は、はい……」

「……」

ローズと姉さんが俯いている。ローズは恥ずかしそうにしている。姉さんが俯いているのもお察し。

「ちょっと、お姉様の前での話は……」

「……はぁ」

シャロンさんのフォローのような右ストレートが姉さんにトドメを刺してしまったようだった。

そんなこんなで土曜日の今日、三人揃って水著を買いに來ているのだった。

「俺自分の買ったら椅子にでも座って待ってるから」

「「それじゃダメなの!」」

「へ? それは、えっと……。俺が一緒に見て回れってこと?」

「ま、まぁ平たくいえばそうなるな……」

「やっぱ男子の意見も聞きたいってゆーか……」

の人の売り場歩くのはちょっと恥ずかしいし……。やっぱ、楽しみは後に取っておきたいしね」

「楽しみ……なのか??」

「そりゃ、楽しみでしょ。魔法の中でもやっちゃったんだし。姉さんいっそ貝殻でもいいよ?」

「それは、ダメだ! アリスやサニーたちも來るんだぞ!? おまえ達2人だけならまだしもだな……」

「わたしたち2人とならいいのお姉ちゃん!?」

「いや、今のは言葉のあやだ。忘れてくれ」

「じゃあローズは」

「ギューフィレ(?)ステーキ食べさせてくれたら」

「考えておこう……」

「あ、あれは……」

幾度となく見覚えのある姿が前方に見えていた。

    人が読んでいる<シスコンと姉妹と異世界と。>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください