《シスコンと姉妹と異世界と。》【第44話】文化祭準備③

「うわっ! 急に止まんないでよショー」

「すまん……。でも廊下に鬼が、阿修羅が……」

「どういうこと?」

「要するにだ、憤怒の表で姉さんがこっちに進撃してきてるんだよ!」

「なんで?」

「心當たりがないから怖いんだよ! 隠れるから上手いことやってくれ」

「隠れるったってここじゃ……」

「ローズ。こっち來てくれ」

「う、うん」

「心當たりとかないか?」

「わたしもわかんない……」

「もうちょいこっちに寄ってくれ」

ローズの腰に手をやり抱き寄せる。

「ちょっ……。もう……」

別に腕まで回して抱きつかなくてもいいけど……。

「じゃ、モーリス。あとは頼んだ」

遁・卦流遁スケルトン……!! 

「隠れるっていうのは、明になるって事か……。使える魔法だね」

モーリスがそういった所で、シャッ!、っと扉が勢いよく開かれる。

「モーリス君、うちの妹と弟どこにいるか知らない?」 

「いや……。2人で文化祭の書類出しに行くって言って出ていったきり、戻ってきてませんよ? 鞄もないしもう部屋に戻ってるんじゃないですか?」

「なるほど。モーリス君は何故ここに?」

「今後の予定を立ててまして。いつコブシシ狩りに行くとか、いつ裝を仕れる、とか」

「モーリス君は優秀なんだな。君みたいな友達が2人に出來て、姉として嬉しく思うよ。もし2人を見つけたら部屋に戻ってくるように伝えてくれ」

「はい、分かりました」

「では、頑張れよ」

そう言うと姉さんは教室を後にした。 

「行ったみたいだよ」

「やっぱり俺らのこと捜してるんだな。何があったんだか……」

「お兄ちゃんなんかしたんじゃないの?」

「心當たりがホントにな……。朝メシから會ってなかったしな」

「とりあえず僕は自分の部屋に戻るね?」

「ああ。そのほうがいいと思う。巻き添え食らう前に戻った方がいいと思う」

「それじゃ2人とも、達者で」

「そんな挨拶あるかよ……」

ヤバイフラグが立った気がする。

「どーする、ローズ?」

「諦めて帰るしかないよね……」 

「だよなぁ……」

「「はぁ……」」

どうなることやら……。何で怒られるかもわからんのになぁ。姉さんおっかねえよ……。

「あっ、ショーくん、ローズちゃん」

「アリスさん……」

「どもっす」

「どうしたのー2人してー。元気ないじゃん?」

「いや、なんか姉さんがキレてるらしくて……」

「あぁそのことね。まぁエリーゼも可哀想っちゃ可哀想なんだけどね〜」

 

「何か知ってるんですか?」

「話せることであれば教えてほしいっすけど……」

「エリーゼって歌が上手いんだよね。んでそれをシャンティー先生が耳にしたみたいで、舞臺を整えて皆の前で歌えってなったらしいの。もちろんエリーゼはそれを拒否したんだ。したら、ちゃんと例年通り出しを10個以上用意することが出來たら、歌は無しになるって話らしかったの」

「それで実行委員長なんてやってたのか……」

「お姉ちゃんも大変だぁ……」

「で、2人のクラスの出しはメイド喫茶のひとつだけ。それでエリーゼは歌を披するのが確定したわけ」

「それで……」

「キレてたわけか……」

出しが足りないと思ったら自分の弟妹のクラスと來たもんだ。そりゃ突撃したくなる気持ちも分かるかもしんない。だとしてもあそこまで殺意というかオーラみたいなのをダダれにして來なくてもいいんじゃないかと思うけど。

殺されるかと思ったし。

「ま、そゆことだね。まぁでもそんなに怒ってないと思うよ? ただそのやり場が無いだけでね」

だから怖いんですけど……。

「だーかーらー、怒られる前に抱きつくなりして甘えて、怒りを忘れさせちゃえ!」

「「えぇ!?」」

「それが一番だと思うよ? 弟妹に甘えられて喜ばない姉なんてそう居ないんだから」

「そうします!」

「そうする……しかないよなぁ」

事前に慘劇回避するなら。

「それじゃね。また無事に會えるといいね〜」

「はい、俺もそう願ってます……」

アリスさんが手をひらひら振りながら帰っていく。

「じゃあ大人しく帰ろうか〜」

こういう時は子の方が腹をくくるのが早いのだと思った。

 

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