《シスコンと姉妹と異世界と。》【第48話】下ごしらえ③

2人が落ち著きを取り戻した頃、改めて事聴取が再開された。

「で、ホントのところはどうなんだ?」

「……言わなきゃダメ?」

「だ・め・だ」

「ん……の子の事

「……」

「分かった! 言うから怒らないで!! ……皆と一緒に行きたいんだよ」

「……そんなことか」

「なんか拍子抜け……」

落ち著いてるからか2人ともリアクションが薄い。まぁ朝なんだしそれが本來なんだと思うんだけど。朝元気なのは男の子だけっすよ。ね?

「でも、任務は3人でけて書類も出しちゃいましたけど……」

「あ、そこは大丈夫! あの手この手で改竄しちゃったから。もちろん付でやってるから不正じゃないよ〜」

不正じゃないなら改竄なんて言葉使う必要無いだろうに……。まぁ俺も余計なこと言って怒られるのは多々経験があるから、その気持ちは分からなくもないんだけど。

「何しに行くかってのも分かってるんですか?」

「え? 旅行でしょ? エリーゼがそう言ってたよ」

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俺とローズから姉さんへの視線メガ粒子砲が炸裂。姉さんは骨に目を伏せ、俯いている。こうかはばつぐんだ!

「……お姉ちゃん?」

「……姉さん?」

「……エリーゼ?」

「…………」

さっきまで怒りの業火を背に従えていた修羅はどこへやら、小さな小さなチワワに早変わり。……でもキレたら木刀振り回すような人だしチワワほどヤワじゃないか。小型犬で例えるのは無理だな。やめた。だって手榴弾みたいなじするもん。花柄の手榴弾、そんなじ。

「……被告人、何か言いたいことは」

「……ありません」

「では判決を言い渡します」

正直臺本もない、中もないアドリブ劇である。ローズがどんな判決を下すのかが全く想像が付かない。

(……ゴクリ)

思わず息を呑んでしまう。期待半分、怖さ半分。そう、かつて向こうでは定番というか、夏の風詩であった稲川淳二の話を聞く前のような。

「判決。被告人は……」

ローズが姉さんの耳元で何かを囁く。するとどうだろうか、姉さんは膝から崩れ落ちるかのように、あっけなくベッドにへたりこんだ。

そんなリアクションするなんて何を言われたんだろうか。なくとも無罪放免という訳にはいかなかった、ってのは分かるんだけど。普通公表されるもんじゃないの、判決って。まさかここで半ケツ……まさかな。

「多分ショーくんの考えてる事は違うと思うよ? で、ショーくんたちは本來何しに行くの?」

「顔に出てました? 俺達は文化祭の準備です。ざっくり言うと。提供する飲みや料理の素材の仕れ、裝の調達ですね。まぁこの辺は當日までに用意できればいいものなんで、とりあえず流を持つのが目標ですね。それで仕れの約束まで取り付けたら百點満點です」

「なるほどね〜。いいよ、全然付き合うし。それに商談だったら僕は頼りになると思うよ?」

そっか、たしかアリスさんて父親が商売営んでるんだっけ? んで跡取りとして男としてしの間育てられた、だったか? そのせいで、男っぽい振る舞いも初めて會った頃の時は多かったっけ。最近はもっぱらの子だったけど、僕って言われると思い出す。わざとこのタイミングでそう言ってくれたんだろうな。

「はい! よろしくお願いします。ほら、ローズも」

「よろしくお願いします」

2人で仲良く頭を下げる。アリスさんは満更でもなさそうで、まさにご満悅といった顔をしていた。

「よっしゃよっしゃ。かまへんかまへん」

「どうしたんですか、いきなり……」

「僕のお父さんがよく言ってたんだよ。人間関係を円に運ぶ魔法の言葉だー、って」

商人のテンプレってじが強すぎるだろそのテイスト。でもけがいいからこそのテンプレってわけか?

「へぇー」

ローズは心したようだった。まぁ初耳だろうし変だというわけにもいかないだろうし、実際のとこはどうなのか分からないままだけど。

「朝ごはんは食堂で済ませてから行くでしょ?」

「はい! 腹が減っては戦はなんとやら、ですから!」

出來ぬ、くらい言い切っちゃえよ。文字數増えてるじゃないか……。

「したら出かける準備してから食堂行くね? 15分くらいあれば行けると思うから、それまでにエリーゼだったものの再起をお願いね〜」

「再起ってどうしたらいいんだ?」

「おとぎ話なら、王子様のキスで目覚めるよね」

「出來るかそんなこと!」

ほんとにそんな真似したらを木刀や竹刀で毆打して理的に奪われるような気がする。無くなるって意味で。

その後姉さんはローズの囁きによって一気に復活を果たした。協會で神父に頼むことなくタダで。にしても何を囁いたんだろうか、囁き將のローズは……。

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