《シスコンと姉妹と異世界と。》【第53話】下ごしらえ⑧

「それじゃわたしはまだ話し合いとかあるから、一旦席外すわね」

「そうか。ありがとうなアリス。2人のために」

「ホントにありがとうございます。でもいいんですか? 敵に塩を送るようなものじゃないですか」

「いーのいーの。それに1位はエリーゼが個人で取っちゃうんじゃないの? 歌、凄いんでしょう?」

「思い出させるな……」

「ほいじゃねー」

アリスさんが居なくなったなら……。計畫を実行に移さないとね。ふっふっふ。

「ねーねー、お姉ちゃんは何歌うの?」 

「まだ特に決めてはいないが、國歌でいいんじゃないかと思っててな……。吹奏楽部も協力してくれるそうなんだが、新たに練習させるような手間もかけさせたくないし」

「みんな知ってるしいいんじゃない!?」

「そうだと助かる。ローズはメイドとして接客するのか?」

「うん。なんかみんなが『ローズはメイドだー』って言うもんだからさ」

「ふふっ。その景が目に浮かぶな。でも確かにメイド服は似合うんじゃないか?」

「だといいんだけどー。お兄ちゃんはちなみに廚房係だよ」

「そうなのか……」

「お兄ちゃんの執事姿見たかった?」

「いや、そういう訳では……。まぁ気にならないと言えば噓にはなるけど……」

「廚房だけど作業風景が見えるようにするから、珍しく真剣な顔したお兄ちゃんが見れると思うよ! ちゃんとお姉ちゃんの出番の時間と被らないようにしておくから☆」

「そ、そうか。ありがとう……」

ふふ。お姉ちゃん嬉しそう……。素直じゃないところもまた可い……。

「ここの宿結構広そうだし、ちょっと探検してきていい!?」

「ああ。でも迷子になるなよ?」

「分かってるー!」

さてと。作戦行りますか。

______。

「ふいー。一番風呂は最高だなぁ……」

(ですね……)

「ナビ子も人の形になれるんだな」

(これだけお湯があればその分マナもありますからね。……今誰か來たら、ショー様はそれなりの音量で獨り言を話している危ないヤツだと思われるかもしれませんね)

「まぁどうせ誰も來ないんだからいいのいいの」ガラッ

(……)

「ゔぁ〜。極楽極楽〜」

「やっほーショーくん。來ちゃった?♡」

「んなぁぁ!???」

「あら……ショーくん。その……剣を収めてくれるといいのだけど……。いや、そのままが良ければそれでもいいの……」

タオルを巻いただけのアリスさんが突然現れるもんだから、気が転して俺は思わず湯船から立ち上がってしまった。つまりは、マイ・スウィート・サン☆がこんにちは〜してる狀況である。

「は、うあ、すいません!!」

タオルが手元に無いのでとりあえず湯船に戻る。揺してしまったせいかナビ子も消えてしまった。逃げた?

「……あの、お背中流しましょうか?」

「え!?」

「そのために來たんだよ。それに、晝間落ちた時に魔法使ったってあれ、噓なんでしょう?」

「まぁ……」

「エリーゼに心配かけないように無理して意地張っちゃって〜。姉弟揃って頑固なんだから。ほらそこ座って」

ここは、自分で出來るって言う場面じゃないよな。人に背中を流してもらえるなんてそう無いし、役得ってとこで。お言葉に甘えさせてもらおう。

「じゃあ、お願いします。……いっ!!」

「やっぱ痛いんじゃないの……。ゆっくりやったげるから、大人しくしてなさい。なかなか石鹸が泡立たない……。あ、タオル落ちた」

見ちゃダメだ……想像するな……俺……。

「結構12歳っていってもやっぱ男の子っじするんだねー。こりゃ3年後が楽しみだねぇ〜。いところない?」

「ちょっとくすぐったいくらいです。あれ、痛みが引いてきてる……?」

泡が背中を滴る覚とアリスさんの手がくすぐったくも心地いい。それにも軽くなってるような……。

「治癒魔法くらいはわたしも使えるのよ? クラリスから基礎的なことは教わってるから」

「そうだったんですか……。ありがとうございます、何から何まで」

「お禮言われるほどの事じゃないから。お客様、前はどうしますか?」

「それは自分でやりますから!」 ガラッ

ん? なんか扉空いたような? 気のせい?

「お兄ちゃーん!! 背中流しに來たよー!!!」

「どぅわ!?!」

そんな大聲出すなよ! ビックリして足を泡でらせてしまったじゃないか……。ああ、床が近づいてくる。世界がスローだ。

「うーん……」

俺は大の字にすっ転び、マイ・スウィート・サンが本日2度目の挨拶をしたところで視界が暗転した。

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