《シスコンと姉妹と異世界と。》【第55話】メイドの仕事

「クラリス〜。案お願いー」

部屋を出ると、そこにはクラリスさんが待っていた。

「あいあいさー!」

「メイドさんの返事ってこうやるの?」

「多分違うから參考にするなよローズ……」

「え、そうなの?」

「まずメイドとお客さんって対等な関係には普通ならない筈なんだよな。アリスさんとクラリスさんがなじみってことで特殊なだけだと思うぜ」

「な〜んだ」

「それでもほら、歩き方とかは參考になるんじゃないか? なんというかこう、らしいらかさの中にも凜々しさもあるようなじするじゃん?」

「なんとなくわかるかも……」

わかるんか……。

「はーいこちらでーす」

さっき言ってたとおりに個室に通された。まあVIPてことなんだろうから當然か。

「こちらがメニューでございます。お決まりになりましたらこちらのベルでお呼びください」

おお、仕事モードにチェンジ。

「アリス、おすすめは何かあるか?」

「んー? 味はどれも甲乙付け難いくらいに味しいからねぇ」

「メニューは……どれにしようかなぁ」

①オムライス(ケチャップorデミグラス)

②パスタ(ミートソースorクリームソース)

③カレー

「えぇ!? カレーあんのぉ!!?」

「な、なんだ急に大聲出して……」

「お兄ちゃん……どしたの……」

「あ、いや、カレーなんて食べた事ないから……?」

「パパ特製の料理だよ。各地からスパイスってやつを取り寄せて、それで野菜とかおを煮込んで作ってるんだってさ。これが癖になるんだよね〜」

カレー食いてえな……。もうかれこれ12年か、こっち來て。そんな長いことカレー食わなくなるなんてなぁ。

でもメイド喫茶ったら、パスタまぜまぜとかオムライスにケチャップでお絵描きとかが基本だよな。

「クリームソースかぁ……」

マジで凝ってるよなぁ。こっちの世界でも作れるんだか、元々存在したのものに名前を付けたのか……。

「わたしはこの、パスタなるものにしようかな」

「わたしはカレー!」

「じゃあ俺はオムライスだな。んー、このケチャップってので」

「クラリスー、お願い」

そう言いながらアリスさんがベルを鳴らすと、すぐさまクラリスさんが姿を現した。

「ご注文はお決まりでしょうか、ご主人様、お嬢様」

「わたしはパスタをミートソースというので頼む」

「わたしカレー」

「で、俺がオムライスで、ケチャップで」

「アリスお嬢様は……」

「んーとねぇ、オムライスのデミグラスにしようかな」

「かしこまりました。それではしばらくお待ちください」

ここで俺就職するなりバイトして作り方教わりたいなぁ……。カレーとか家で食いたいわ〜。

寮で出してまたひと稼ぎ出來たら……。いっそ隠居したときに店でも構えちゃうか?

「アリス、メイド喫茶というのはこんなじなのか?」

「こんなじっていうのは?」

「これじゃ服裝が違うだけで普通の店と変わらなくないか?」

「確かにそうかも……」

これで終わりならタダのコスプレ好きの喫茶店だしな。まぁアリスさんのお父さんは振り切ってそうだし、やることやってるだろうけど……。

「まだまだ本番はこれからなんだから〜」

「何があるんですか……?」

「な・い・しょ♡ 來てのお楽しみよー」

「噂をすれば……來たようだな」

「お待たせしましたーお嬢様」

「あー、わたしはいいから、3人に、ね?」

「かしこまりました」

「皆様、お待たせ致しました」

それぞれの料理が運ばれてくる。

「それでは、こちらを付けてください」

なんと……ネコ耳である。

「あの……アリスさん、俺も付けるんですか?」

「もっちろん! ネコは嫌いだったかしら? だとしたらあとは……」

「ネコ大好きです! コレでいいです!!」

ここで妥協しとかないと何が來るか分からん。シンプルにうさ耳だったとしても、ネコよりハードル上がるしな。

「なかなかに恥ずかしいのだが……」

「イイじゃんエリーゼ〜。ねーショーくん?」

「え、えっと、可いと思うよ!」

「じゃあローズちゃんは……?」

このパターン可いって言ったらダメなやつ! どこが違うとか々質問攻めにあって墓ほって死ぬやつ……。

「んー、不思議なくらいしっくりくる。まるで元から付いてたみたいに似合ってるぞ」

「……ふふっ。ありがと」

一瞬の沈黙怖いって……。逆鱗にれたかと思ったわ。

「では、次はショーの番だな」

「えー。……これでどう?」

「なんというか……」

「ふむ……」

「悪戯好きの野良貓みたい、お兄ちゃん」

「薄な人たちです……」

「いえいえ、お似合いですよご主人様」

「クラリスさん……」

「お魚が似合いそうです」

「野良貓じゃねえか! ……悪夢かここは。味方ゼロか」

「まあまあ、ショーくん落ち込まないで」

「ではオムライスにケチャップでお絵かきしたいと思うのですが、何かご主人様のご希はありますか?」

「いや〜どうしよ。何でもいいんですか?」

「はい。仰せのままに」

あんまし変なこと書いてもらうのもアレだし、どんぐらいクラリスさんが高度なこと出來るのかもわからんし……。実際メイド喫茶では何書いてたんだ? 行ったことないから分かんねえよマジ!

「せっかくだし、おまかせでいいですか? クラリスさんの好きなようにお願いします」

「好きなように、ねぇ〜。……よし、閃いた!」

クラリスさんがケチャップを手に裝備する。てか、ちゃんとあのチューっと出てくる容ってるんだな。なんて言うんだっけ? マヨボトル? とにかく描きやすそうだ。

「……出來ました!」

「これ俺ですか?」

「好きなものって仰っていただいたので……」

「お兄ちゃんにそっくり……」

「しっかりと貓耳も付いているな……可い」

「凄いでしょ、クラリスの腕前。ウチのメイドで1番綺麗に上手いのを描けるんだから」

「そんな褒めても、何も出ないぞ♡」

「じゃ、次はエリーゼを宜しくね、クラリス」

「はい。お任せ下さい」

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