《シスコンと姉妹と異世界と。》【第57話】メイドのお仕事③
今現在、俺は素數を數えている。何故か? それは罰ゲームだからだ。
先ほどの卓球にて俺は奇しくも3連敗を喫した訳だが、終始フワフワした狀態でプレーにならなかったのだ(みっともない言い訳なのはわかっている)。
で、その理由を3人から問い詰められ正直に告白したところ、2人が照れて1人がビンタを繰り出した。朦朧としながらも、言われるがまま涙ながらにコクコクと頷いていたら、というわけ。
正確に言えば、素數を數えながら背中を流しているのだ。3人の背中をだ。背中からおにかけてのキュッとしたラインが艶めかしく、自分が無垢な年だったらと恨めしく思う。悶々としてしまうのだ。
「はい、お兄ちゃん。そこ座ってー」
ローズが慣れたじで背中を流してくれる。前はよく2人でってたもんなぁ。俺が最初にローズの背中を流して、互いに向きを変えて座り直して、ローズが俺の背中を流してくれて。
「はいはい〜」
「痛いところはございませんか〜」
「顔以外はもう大丈夫です〜」
「かしこまりました〜」
いつもこんなじだった気がする。普段は顔痛くないんだけど、もちろん。
「さっき背中を流そうと思って來たのに、お兄ちゃんってばひっくり返っちゃうし」
「いや〜石鹸の泡が結構ってな……。でも、のこと気遣って來てくれたんだろ? ありがとな」
「……お兄ちゃん」
「ん?」
「でてくれるのは嬉しい。でも、こっちを向くのはダメ……」
ローズがそう告げた直後、首をグイッと戻される。ねじ切れそうなほどの強さで。ここまで容赦ないのは當然の如く姉さんだ。
「痛いってぇ……。俺、暴力振るう姉さん嫌だよ……(噓泣き)」
「あー、エリーゼがショーくん泣かしたー」
「いや、そんな……。ごめん……だからお姉ちゃんのこと、嫌なんて言わないで……」
ヤバイ。姉さんの方がガチ泣き。言っちゃなんだけど、めっちゃ可い。ヤバイ。
まぁ、かと言ってここで抱きしめにいったりでもしたら、問題ぶり返すだけだから我慢所なんだけど。ある意味勝負所でもある。
涙を隠すように姉さんが髪を洗いだした。その隣でアリスさんが、次はこっちと言わんばかりの手招き。
「お背中流させて頂きます」
「そんな堅くならないで大丈夫よ〜」
「か、かたくなってませんって!」
「ホントかなぁ〜」
もうなんなんだこの人は。思わせぶりっていうか意味深なこと言うし。どんだけ純樸年の心を弄ぶんだ!!
「か、かゆいとこは無いっすか?」
「んー、おしり!」
「おしり! じゃないですよ。そこは湯船の中で自分でお願いします」
「ショーくんのいけず〜。ほら、立ってあげるから」
「立たなくていいですって!」
「ひゃっ!!」
思わず腰を摑んで抑えてしまった……。そりゃ姉さんもそんな顔するわ。グルル……ってじの顔するわ。後でもう1回謝るとするか。さっきの1件があるからか、ギリ堪えてるみたいだけど。
「うあ、すいません!!」
「ショーくんてば大膽〜」
「そんな、へんなつもりじゃ……」
「罰として、前もよろしく〜。汗が溜まるのよ〜。ねー、ローズちゃん?」
「そうなんですよねぇ〜」
「…………くっ」
「……おや、鼻が出てしまったな」
輸パックでも裝備してないと、今後アリスさんとやっていけないんじゃなかろうか……。
「何考えてたのかな〜ショーくんは」
「そろそろ姉さんの背中流しますね!」
「あーにげたー。ぶーぶー」
三十六計逃げるに如かず。これ以上はどんなToLOVEる巻き起こすか分かったもんじゃない。対象年齢のラインがグラつく事になるかもしれない。
「その……お待たせ、姉さん」
「ああ」
「どこからやる?」
「まずは腕から頼む。軽くみほぐすようにしてくれ。ちょっと疲れが溜まっているみたいなんでな」
「わかったよ〜」
怪我してるわけじゃないし、行促進を兼ねて腕全に保溫魔法でも効かせてマッサージしてあげるか。
「はぁ……極楽だな。そのまま手で背中も頼む。そのタオルではどうしてもを痛めてしまうような気がしてならないからな」
「ま、まぁ姉さんがそう言うなら……」
「なんだ、嫌なのか?」
「嫌じゃないけど、やっぱ姉弟と言えどちょっとは恥ずかしさもあるんだよ、姉さん綺麗だし」
「……綺麗だなんて、そんな……」
「……ほら、やっちゃうからね!」
「……綺麗か……」
「ショーくん、エリーゼってばどっか別の世界に行っちゃったよ?」
「こんなに、こうかはばつぐん、だと思わなくて……」
くすぐっても帰ってこないし。そんなに褒められたのが嬉しかったのかな? もう背中流し終わっちゃった。
「とりあえず、お兄ちゃん。湯船浸かろ?」
「あ、あぁ……」
このあと姉さんは眠りにつくまでの間、ずーっとこの調子でどこかうわの空でいた。
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