《シスコンと姉妹と異世界と。》【第63話】全

「なんじゃあこりゃあ!?」

俺は竹力風にそう言った。

「でもなんか既視……」

見たことあるような真っ白な世界。辺り一面にシーツを張り巡らせたようなかんじ。洗剤のCM撮影とかにも向きそう。

「やほー。久しぶり翔一」

「げっ」

聲に振り返るといつかの真っ白な年が立っていた。

「げっ、って酷いな〜。12年と半年ぶりくらいかなぁ? あっという間だねぇ? つい昨日あったばっか、ってじするよ〜」

「いつぞやの全年じゃないか! まだ捕まってなかったのか〜。久しぶりだな〜、はっは〜」

「切り落とすよ?」

「どの部位をですかね……」

「この世界初のオネエキャラとして華々しくデビューを飾れるんじゃないかな?」

「新世界の神となる……ツ!!」

「そーゆーのいいから」

「で、向こうの、元いた方の世界は今どんなじ?」

「米大統領にはDTが選ばれたよ?」

貞大統領!??」

「ドナルド・トランプね。ホント熱狂的ファンとアンチとではっきり層が別れる主導者だね、今のところ」

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「ふーん。じゃあ親父たちはどうしてる?」

「こないだの有馬記念でヤマカツエースの複勝に結構突っ込んだのか、すんごい泣いてたよ。一瞬こっち來たくらいだし」

「それ死にかけてない!? つーか悲しんでたりしてないのかよ……。一応息子が死んでるんだぜ?」

「そりゃあ悲しんだよ。息子と娘を同時に失ってるんだからね、當然のことだよ」

「そっか……。って、は? 娘? 枝里香が?」

「そうだね。うん。君は妹を庇って即命を落としたけど、妹も意識不明を経て……ね」

「マジかよ……」

「でもこっちに來たのは君より早いよ?」

「は? 來てんの!?」

「前に言ったでしょ? 『神と時の部屋』とか言ってケラケラしてたのがいる、って。ソレが枝里香だったってこと」

「マジかよ! ケラケラしてるって隨分余裕だなおい」

「まぁなかなか珍しいよね……」

「アイツらしいけどな……」

「まだ枝里香は送り出してからこっちに來たことないし、自分の前世の記憶とかは戻ってないのかもね」

「あ、そんな條件があるのね」

「初対面のじで來られても僕も面倒だからね、説明とか」

「なるへそ。俺と枝里香以外にも日本人って結構な人數がこっちに転生してきたりしてるもんなの?」

「ん? まぁそこそこじゃない? 日本人しか転生させてないってのは間違いないよ。僕が日本人擔當だからね」

「擔當とかあるのね。いやね、ちょいちょい日本文化を前面に出したモノを目にする時があるからさ」

あの骨なメイド喫茶とかな。

「なるほどね。そのへんはもうこっちも干渉してないからね。なるようになるっていうか、勝手にしてくれっていうか」

「テキトーなのな」

「そう言えばナビゲーションの使い心地はどうだい?」

「ナビゲーション? ナビ子のこと?」

「そうそう。ああいう形でナビゲーションを呼び出したのは君が初めてだからね。ちょっと驚かされたよ」

「他の人はまだ呼び出したりしてないのか。まぁ見えてる人もいないし當然か」

「まぁ一応そうだね」

「ナビ子ってこの世界だとどのカテゴリなの? 當然魔でもないし、人でもないし」

「うーん……。まぁ式神とか妖とかの所に収まるんじゃないかな?」

「妖使いとかっているの?」

「いるよ? いつか旅でもしてたら出會うんじゃない?」

「マジか。これはお願いってか相談なんだけどさ、ナビ子って実化させたりできないもんなの?」

「二択で問われれば出來るよ。となるものに刻印を刻んで定著魔法をかければ、ね。1度定著させたらもう2度と実の無い今の段階には戻れなくなるし、刻印が破壊されたらナビ子の人格はそのまま消し飛ぶことになるけどね」

「ふーん。まぁアル●ォンスみたいなもんか。傀儡のにも近いのかね」

「傀儡のなんてよく知ってるね。かつてこの世界の魔と呼ばれた存在が使ってた魔法だよ」

「俺にはある程度の2次元の知識が詰め込まれてるからな。モノに定著させる以外にさ、ティンカ●ベルみたいに完全な妖とか、今の人の姿にまんま質量を與えるなんて蕓當は出來ないの?」

「出來るさ。ここは魔法の世界だし、君とナビ子が強く願えば出來るさ。世界のシステムはそう作られているんだから」

 「そっか。それはホント良かったわ」

「枝里香の事はどうするの?」

「どうするって言われてもなぁ。お前も枝里香とリンクしてるわけじゃ無さそうだしな。居場所も分からないんじゃ探しようがないし。俺が20になるまでにどこかで會えたら最高かな」

「まぁ言えるのは君より3年早く転生してるから、その分、君より年上になってるからね。前世では妹だったとしても」

歳上なのに妹ってか……悪くないな。

______。

そんなこんなで話は進んだが、特にもう聞きたいこともなかったので帰ることにした。分かったのは、ナビ子がどうとでもなること。枝里香が、実の妹が歳上としてこの世界のどこがで生きていること。その2點だが、大きな2點だ。

ともあれ、今後やりたいこと、やらなきゃいけないことがハッキリしたのは有難かった。

「そろそろ戻らないと。朝メシ間に合わなくなりそうだ」

「もう君が泊まってる宿の朝食の時間は過ぎてると思うよ」

「はぁーー!!?? 先言えよ!!」

こんなことが、昏睡狀態の時にありましたとさ。

めでたくなしめでたくなし。

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