《シスコンと姉妹と異世界と。》【第72話】文化祭⑨

「まぁざっくり説明するとね〜」

本來は二手に分けることなくそのまま順路を進み、棺の前でドラキュラと遭遇。札に気付いたドラキュラがビビって棺に戻り、そこに札をり付けて封印完了、ってのが通常の筋書き。

今回は俺が姉さんを脅かそうとして、ローズを脅かす事になるという逆ドッキリだったってことらしい。それでローズを抱えて俺が出ていく姿を他の客に見せつけることで恐怖心を煽り、更なる集客を見込んでいた、と。

「……ってわけ」

「あの後、お客様もすごいお見えになったからね」

「……なるほど」

「そゆこと〜」

「でも1つ気になったっていうか、引っかかったのがあるんですけどいいっすか?」

「なにかしら?」

「なんだろう?」

「……俺が脅かした時にローズが全然驚かなかったらどうしたんですか??」

「んー、それは無いと思ってたからね」

「そうそう。それにローズちゃんが仮に気絶するまでいかなくても、気絶したフリくらいはすると思ってたからねぇ? ほら、さっきも抱っこされてる時にも、目覚めてたけど黙って摑まってたでしょ?」

アリスさんがニヤニヤしながらローズを見る。

「うぅ〜……」

ローズは『カアァ』と効果音が聞こえそうな程に顔を真っ赤にした。さすがに寢たフリがバレたのは恥ずかしかったらしい。

「すごい察力っすね〜」

「學園長だからね」

「考えたのはわたしでしょ〜。そうやって下々の果を吸い上げていくんだ〜? 悪い大人まっしぐらだね〜ヴィオラは」

「そ、そんなつもりじゃっ」

「お姉ちゃんはこの事についてなんか言ってなかったんですか?」

「エリーゼはもうあの格好をするだけでいっぱいいっぱいになってたからね〜。周りなんてそんなに見えてなかったかも」

「たしかに」

「セクシーで似合ってたでしょう?」

「はい……。今度ローズもああいうの著てみてくれたら嬉しいなぁ〜。どんだけ可くなるのか見てみたいぞ?」

「うぇっ!? んん〜、お兄ちゃんが見たいっていうなら考えなくも……ない……ような……」

「その時はわたしが裝用意するからね!」

「大丈夫かアリスで?」

「今日のお姉ちゃんの借りるからそれで平気です!」

「でもそれじゃ多分らないわよ?」

「「「あっ……あぁ〜」」」

全員が察した。こんどギューでも大量に買ってきて上げようかな。でもこっちの意図に気付いた怒りそうだけど……。

「ショーくんなにかリクエストはある?」

「リクエストっすか? うーん……」

「考えるんだね……」

「お兄ちゃん、あんまり変なのは止めてね?」

「えと……フリフリのなんつーかこう……」

「アイドル的なじ!?

「そうそう! そんなじのを一つお願いします!」

ん、なんでアイドルっての知ってるんだ?? これも親父さんの影響が強いのかなぁ? 當然ローズは首傾げてるし……。

「あれ、ヴィオラさんはなんでその『アイドル』ってのを知ってるんですか? お兄ちゃんは変なところで博識な変態だから仕方ないにしても」

ごふぁ。妹から俺はそんな目で見られてたのか……。

「何度か見たことあるのよ。歌って踴れる可い娘、それがアイドルってもんよ。あ、男の人がアイドルやることもあるんだっけ? アリス、なんて言ったっけあの団……」

「シャリーズだったような……」

「だったかしら……あまりピンと來ないわね」

「シャリーズですか? なんか板前アイドルってじですね。握りなれてるんで!、みたいなこと言って握手會とかやりそう……」

「それも悪くないわね……使えるかも」

「いきなり商売モードらないで下さいよ……」

「まぁアリスから々聞いたりしているうちに、ってじかな」

「へぇ〜アリスさん知りなんですね」

「そうだな、アリスは何でも知っているかもと思う時があるわね」

「何でもは知らないよ、知ってることだけ」

やっぱりアリスさんもこっち側の住人だったのかなぁ? それを本心から言ってるのか、引用してるのかの線引きは出來ないけど……。

「じゃあお兄ちゃんもその裝著てみてよ!」

「えっ!!? 嫌だよ恥ずかしい!!」

「けち〜」

そんなこんなで雑談に花を咲かせて、あと30分もしないうちに姉さんのステージが始まるって頃合になった。

「あっ、大事なこと忘れてた!」

「大事なこととは?」

「どうしたんですアリスさん?」

「ショーくんとローズちゃんは知ってると思うけど、今朝うちクラスのサニーとゾラがサクラとしてメイド喫茶に行ったじゃない?」

嫌な流れだ……。

「それにクラリスもこっちから貸し出すってカタチだし〜」

よし逃げよう。ぐあっ。

「どこへ行くのかしらショーくん。おねーさんの話は最後まで聞きなさい?」

「は、はい……」

いつの間に服摑まれてたんだよ……。

「その報酬として『ショーくん1日貸し出し権』を與えてるのよねぇ〜」

「えええええぇぇぇ!!」

とローズ。

「何で俺なんですかぁ!??」

と俺。

「最初はモチロン、エリーゼ引換券だったのよ? あの2人のことだし。でもクラリスが『ショーくんでもいいですか』と言うものだから2人もそれに乗っかっちゃってねぇ……」

「クラリスさん……」

「だからどっかのタイミングで合計3日間、ショーくんはにご奉仕する事が出來るってワケ。どお?」

「どお? と言われましても……」

「お兄ちゃん、嫌ならハッキリと言わなきゃダメだよ?」

「もちろん拒否権は……」

「ないわよ」

「ですよねぇ〜はぁ」

「溜め息なんかついてどうしたの? もっと『ぐへへへ』とか『イヤッホォォォォイ!!』とかなると思ったのに」

「いくらショーくんでもそれは引くな……」

「んなこと言ってないですって!」

「お兄ちゃん引きけるの?」

「まぁ……アレのおかげで人気に火がついたのは間違いないからなぁ……。誠に殘念だが、ひじょ〜うに仕方無く、引きけるしかないと思うんだな」

「……うだい」

「え?」

「わたしにも1日貸し出し権ちょうだい」

「そっかそっかぁ〜。ローズちゃんはお兄ちゃん取られるのが嫌なのねぇ」

「そ、そんなんじゃないです! わたしにドッキリした分です!!」

「ふーん。どうするショーくん?」

「いや別にそんなん使わないでも、言ってくれればいつでも付きあってあげるぞ?」

「あ、う、うん……」

「じゃあショーくん、わたしにも付き合ってくれる?」

「そんな!? 俺なんかアリスさんにやっちゃいました……」

ましたね、そう言えば。して頂いたとも言えるのか。

「ッ……!!」

「2人ともどうしてそこで黙る!? おい、わたしの知らないところで何をしたんだぁ〜??」

その問に応える猛者はここにはいなかった。

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