《シスコンと姉妹と異世界と。》【第74話】文化祭⑪

キミのとなりで 支え合い

キミのとなりで 眠りたい

キミととなりで 笑いたい

キミと出逢って もうどれくらいだろう

1日1日があっという間に過ぎて

考えられないよ もう

キミがいない 毎日なんて

初めて名前で呼んでくれたあの日

絶対忘れないよ

キミのせなかを 守りたい

キミのチカラに なりたい

キミととなりで 笑いたい

わたしは いつでも ここにいるから

1番まではこんな歌詞だったと思う。以降はちょっと思い出せない。俺もローズも、歌ってる姉さんも極まって泣いてしまったから。ここまでしか歌えなかった。

何となく俺やローズの事を想って歌詞を書いてくれたのかな、なんて考えたらもうボロボロ泣けた、ホントに。姉さんの膝の上でやらかしたあの時ほどじゃないが。だってヴィオラさんも號泣し、アリスさんもそれにつられてか瞳が潤んでいる。

育館は居心地の悪さのない靜寂の虜になった。

それを切り裂いたのはやはり俺とローズの拍手から。々なありがとうを込めて、覚が無くなるくらいに夢中になって手を叩いた。

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閉會式もこれといって特に滯りなく進んだ。

來賓の挨拶で登壇した父さんの目が赤くパンパンに腫れ上がっていたのには流石に驚いたが……。『黃金獅子の黃金伝説(笑)』として飲みの席での鉄板ネタとなるであろうことは想像がついた。

帰りのホームルームは文化祭といえどもちゃんとあるので、俺とローズは足並み揃えて教室に向かった。

「ローズちゃん、もうは平気なの!?」

「???」

教室にるなりそんな聲をかけられた。

「その、ショーくんにお晝ご飯奢ってもらって食べすぎて、臓に支障をきたしたってクラリス隊長が教えてくれたから……」

クラスの子が心配そうにしている。ありきたりだがそういう理由付けにしたってわけか……。

「あ、うん! もう大丈夫!!」

そう笑顔で言い張りながら、ローズは拳を握りしめて震えていた。十中八九怒りによってだろう。

「ショー達の親父さんってあの『黃金』だったんだな!」

「お母様も『紅蓮』なんでしょう?」

「そうだけど……どうしたんだ急に?」

今度は俺が質問攻めのターゲットになった。

「お前らが休憩時間ってる間にその2人が來たんだよ! まぁ親父さんは部下を連れてて、お袋さんはシャンティー先生とリーヴァ先生と來てたんだけどよ」

「……まぁ々あって、『息子達をよろしく』って言われて気づいたってわけよ」

々ってのが気になるんだけどな……」

「それは僕から簡単に話すよ」

「じゃあ頼む、モーリス」

「まぁ言いづらいんだけど……。君のお父さんが部下の人たちと一緒にオプション付きのトンカツセットを頼んだんだ。で、子生徒の放ったクラリスさん直伝の技に、まぁ簡単に言えば鼻をばしてしまったんだ」

「何やってんだ父さん……威厳もクソもねーな」

まぁそのへんは親子ってことなんだろうが。

「その一部始終をお母さんが目撃していたってわけ。一瞬食堂全が凍ったかと思えるくらいに迫した場面だったよ……」

母さんならホントに1発凍らせてそうだからな……。

「それでまぁ、『主人が相をして申し訳ない。何はともあれ息子達をよろしくね』的なじになって……ってわけ」

「なるほどなるほど。悪かった。うちの父さんが迷かけて」

「いやいや迷だなんて……」

「そうそう! あんな有名人に會えるなんて俺激だぜ!」

「『紅蓮』のお母様も素敵でしたし……」

「でも居合わせた人の票はめないだろ?」

「まぁ流石にあの場面ではね……まさに修羅場というか、人の命が失われるかもしれない狀況であったからね」

「頼むからローズは母さんほどやばいキレ方はしないでくれよ?」

「さすがにあれは真似出來ないから平気なの……」

「でも実際のところ、すっげーご褒ってのは何なんだろうな?」

「ショー達は聞かされてないのか?」

「特に何も。アリスさんやクラリスさんと話こそすれど、終わったあとの話については何もしなかったからね」

文化祭後の事については強いて言うなら、俺がサニーさんらに貸し出されるってことくらいだろうか。それはこの場で喋ってもいらん混を招くだけだろう。

「まぁでも優勝はお前のねーちゃんか、そのクラスのお化け屋敷じゃねーか?」

「確かに……。初めてだったけど本當に怖かったし!」

「あんな心に響く歌も生まれて初めてだったぜ……」

「集計結果は週明けに発表されるらしいね。流石に閉會式では來賓だったりもいるから、はしゃいだりするのには向かないってことだろうね」

「ま、それもそうか……」

客の前では発表出來ないようなご褒ってことはないよな……。

「あとそうだ、これ。ショーのお母さんから預かってたんだった」

「サンキュー、モーリス。ん、手紙かあ。どうせなんだから直接言えば良かったのになぁ」

「なんだかんだでお父様もお母様も忙しいからしょうがないよ〜。わたしたちと違って働いてるんだし」

「ローズの言う通りだな」

「じゃあみんな疲れてるだろうし今日はここまでにしよう! お兄ちゃん、何か一言」

「みんな、楽しめたかー!?」

「おうよ!」 「はい!」 「無論!!」

「ならオーケーだ。よくここまで頑張ってくれた!! 心から謝してる! ありがとう!! 解散!!」

そんなこんなで文化祭は無事功に終わり、母さんからの手紙と共に、寮へと戻ったのであった。

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