《シスコンと姉妹と異世界と。》【第77話】貸し出し権③(サニー編)

「ショー、なんだ今のは」

「ショーくん、サニーと何があったの?」

「……お兄ちゃん、どういう事かな?」

「「……」」

察しがいいアリスさんと、さっき回線を1度繋がれていたゾラさんは比較的冷靜にけ止めてくれているようだった。ややジト目ではあるが……。

「えっと……詳しくはサニーさんから」

「わたしに振るの!?」

「さあサニー、説明してもらおうか……」

姉さん容赦ないな。

「ショーくんとテレパスしてたのを一部みんなに繋げただけです……」

「お兄ちゃん、ウトウトしてたから寢てるんだと思ってたら、サニーさんと話してたんだ……」

「あ、いや……」

「朝ごはん、抜きね」

「は、はい……」

なひと言だった。

______。

ぐ〜。

ショーの腹の蟲が空腹を訴える。目を瞑って窓に頭を預けているが表は穏やかではない。

(どうしようか……)

これがショーを除いた子6人の共通の想いだった。

エリーゼ、ローズの2人は強く出てしまったために引っ込みがつかなくなっていた。というより、ローズは既にショーの分まで弁當を食べきってしまっていて、戻すわけにもいかなかった。

ステラはただ、心配しつつも気まずさに勝てずに行に出ることができなかった。

ほか3人はというと、機を伺っていた。

(ねえねえ2人とも、聴こえる?)

サニーがアリスとゾラにテレパスを飛ばす。一瞬ゾラは驚いたようで、膝の上の弁當が軽く跳ねた。

(!? ああ……)

(どしたのサニー? どうせショーくんにお弁當わけてあげようとか考えてたんでしょ〜)

(あ、いや……まぁ、そうなんだけど……)

(姉妹を怒らせてしまったから、きづらいってことかな?)

(凄いね……2人は名探偵だぁ……)

(で、あたしたちはどうしたらいいのかしら?)

(え!? いいの?)

(出來る範囲でなら、だよ。もちろん)

(だって今日はサニーが『ショーくん貸し出し権』を使ってるんだから、サニーを優先したげるつもりだよ♪)

(そのかわりといってはなんだけど、わたしのときもちょっと々頼むかもしれないから? 持ちつ持たれつでいこうよ)

(アリス……ゾラ……)

(で、どうしたらいい?)

(とりあえずショーくんをこっちの座席に呼ぼう)

座席は2人がけのが向かい合って組まれた、よくあるボックス席で今回の旅では7人での移のため、往復ともに2ボックス8席で座席を用意していた。もちろんデュボワ家の力が働いているのは間違いない。

(ハァーイ、ショーくん。聴こえてるー?)

(アリスさん……)

(ちょっとこっちの席に來てもらえる? まだ汽車は止まらないからお話でもしましょ?)

(はい……)

アリスの呼びかけにショーは素直に応じ、姉妹とステラとの席からアリス、ゾラ、そしてサニーのいるボックスへと移った。アリスの言うことには案外ショーは素直に従うのだった。単に年上に弱いだけなのかもしれないが。

(あの〜ショーくん)

(ゾラさんもどうしたんです、テレパスなんか使って)

(わたしたち3人、ちょっとお弁當を食べきれなくてね……。これでもの子なんだ)

(はぁ……)

(察しが悪いなぁ。朝ごはん結局食べてないんでしょ? だからわたしたちの食べていいよってこと☆)

(サニーさんも……本當にいいんですか?)

(ショーくん、據え膳食わぬは……)

(男の恥!)

(よく言えました〜)

アリスがショーを満足げに褒める。

(でも、普通に食べられたらちょっと面白くないから〜。わたしが食べさせてあげる!)

(いや、そんな恥ずかしいですし……)

(ショーくん、據え膳)

年上3人に囲まれてこう言われてしまっては、ショーに斷るは殘されていなかった。

(はい、あーん)

(いただきます……。あーん)

(味しい?)

(はい……)

(ホントに? なんか思うところでもあるの? ……今は文字通りここだけの話にしてあるから、なんでも言って?)

(いやなんか、こうやって食べさせてもらうっていうのはなんか恥ずかしいくて……)

(ゾラとアリスの目があるからね〜)

(そういう訳でもないんですけど……)

(じゃあ何が?)

(その……。あーん、とかって彼氏彼とかでやるやつじゃないですか? だからその……)

(なーんだ、ショーくんそんなこと気にしてたんだぁ☆)

(サニーさんは気にしないんですか?)

(ショーくんはわたしが彼じゃ嫌なの?)

(サニーさんみたいな可い人がそうだったら、そりゃ嬉しいんですけどまだ僕は一応12歳ですし……)

(そんな真面目に答えなくてもいいのに〜。でも嬉しいって言ってもらえるのは幸せかも☆)

(言ったこっちが恥ずかしくなるじゃないですかッ……)

(今日はショーくんがわたしに盡くしてくれる日なんだから、これくらいの我儘は聞いてちょうだい。わたしだって男の子にこんなことするの初めてなんだから、ね?)

(はい……)

(照れてるのかな? ちょっと顔に出てるよ?)

(うぇ!?)

(ショーくん、今度わたしに付き添ってもらう時にも『あーん』やってほしいな?)

(ゾラさんもですか!?)

(何か不都合でもあるのかな?)

(いや……ごちそうさまです)

「おまえ達……」

(あちゃー、バレちゃったねぇ〜)

「ショーも、そこまでして食べたいならわたしのをやったというのに……」

「そっか〜、エリーゼは自分がショーくんに『あーん』したかったんだ〜」

「誤解をするなアリスッ!」

「じゃあ姉さんも食べさせてよ」

「それはちょっと話が違うよ!?」

サニーの絶が車にこだました。

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