《シスコンと姉妹と異世界と。》【第87話】貸し出し権⑬(サニー編)

「あ、マリーさん、お疲れ様です」

「あらショーくん、獨り?」

「ええ。今風呂から上がったところです。みんなはまだ中にいると思いますよ」

「結局、一緒にってたのね?」

「ええ。でも、アリスさんがみんなの分の水著を用意してくれてたので、助かりましたよ……。夜って溫泉れます?」

「夜? 24時間いつでもれるわよ」

「良かった〜。ろうかと思ってて……」

「さすがに落ち著かなかった?」

「無理がありますよ……」

なんだかんだで、姉さんも混浴に乗り気だったわけで。前からご飯抜いたりしてたのは、アリスさんから混浴の事を聞かされてたからだろう。

本人は迷がってはいるが、周りからしたら姉さんは憧れの存在。崇拝し、神聖視する人もいるほど。例えの子同士だとしても、文字通りの弛んだ姿は見せたくなかったんだろう。

枝里香にしても姉さんにしても皆似たり寄ったりで、の子は大概皆痩せようとするよなぁ。一種の強迫観念みたいなもんなのかね。別にそれ以上痩せるとこ無いんじゃない? ホントにぬりかべになっちゃうよ〜、くらいに姉さんについては思うのだけど……。

「男の子1人ってのも大変なのね」

「そりゃ、みんな人だし一緒にいられるのは栄っていうかありがたいっていうか、そんな思いはありますけどね……」

「ふーん……」

「そういや、この辺でお晝食べたりできるところありますか?」

「そうねぇ……。『千本ちもと』っていうわたし達がたまにお世話になる喫茶店というか軽食屋さんがあるから、そこなんかどうかしら? 多分アリスも行ったことが無い場所だと思うわ」

「なるほど……」

軽食・ でローズが満足出來るかってのは気になるけど。

「まぁがっつり食事ってのはないけど、甘味が富で子にはけがイイのよ。ショーくんには足りないかもしれないわね?」

「いや、俺より妹の方が食べるので……。鬼のように」

「あら……。夜の獻立も特別仕様にしようかしら」

レオンさん、もうひと仕事増えそうである。

「場所は……」

「それなら、後で観地図を付の娘に持たせておくからそれを使ってちょうだいな」

「ありがとうございます」

「それじゃ、楽しんできてね」

「はい!」

マリーさんと別れひと足先に部屋に戻ると、布団が既に敷かれていた。

「早くないかな……」

まだ、晝過ぎである。時刻にして12時半前。

「でも、折角敷いてくれたんだし橫にならせてもらお」

(では、わたしもご一緒に……)

ナビ子が添い寢。だが布団の中にれるわけではないので、掛け布団の上に寢る形になるからなんとも微妙。

(風呂から出てきたんだな)

(基本的にはショー様と離れると消えてしまいますからね。さぁし休みましょう)

(そうするよ……、おやすみ)

(はい、おやすみなさい)

______。

「ん……、ん?」

まわりを見ると誰もいない。時計を見ると時刻は12時45分を指している。ホントに一瞬沈むように寢てしまっただけのようだ。部屋に戻ってから大20分経ったわけだけど、どうして誰も戻ってこないんだろ。

「まだ風呂にってるのかな?」

でもサニーさんも俺が著替えたらすぐ後に続くようなこと言ってたような気がするんだけど……。尋問がそんなに続いてるのかな。

「…………、どうしよ。とりあえず風呂覗いてみるか……」

……変な意味で言った訳では無い。

「よっ」

「うわぁ!!?」

「サニーさん……丁度帰ってきたんですか」

「脅かさないでよ〜」

襖を開けると目の前にはサニーさんを先頭に、私服姿の全員が戻ってきたところだった。出かける想定だから浴ではないらしい。殘念。

でも良かった。場までいって全員のに遭遇からの修羅場、正座で説教の流れにならなくて……。

「すいませんでした。ささ、どうぞ」

「あれ、布団が敷いてあるね? ショーくんが?」

「あ、いや……」

違うんです、ゾラさん。と続ける前に、

「ショーくんったらこんな時間から〜? おねーさんは心しないなぁ?」

「どーゆー意味っすかアリスさん!」

「レディに言わせるのはナンセンスよん?」

「とりあえずお晝ご飯食べに行きましょうよ。なぁ、ローズ」

「……うん」

「どした? いつもなら『ヒャッハー! メシだメシだ!!』って喜ぶところじゃんか」

「……なんでもない」

?? まぁなんでもないって言うなら首突っ込まない方がいいな。子はよく分からんことで不機嫌になってる時があって、不用意に近づくと痛い目を見ることになるのは前世でよく學んだからな……。

「さっきマリーさんにあって、おすすめのお店を教えてもらってて。付の人に観地図を持たせるからそれで行って來て、って」

「どんなお店かは聞いたのか?」

「姉さんも気になる? 軽食や甘味が楽しめるんだってさ」

「それは楽しみだな」

「じゃあ早速そこに向かいましょう。わたしお腹ぺこぺこです……」

「ステラったらお風呂でお腹鳴らしてたもんね〜」 

「な、なんで言うんですかアリス!!」

「早く行きましょ☆ ちょっと、曇ってきちゃってるから」

サニーさんに急かされ、急いで宿を出た俺たちだった。

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