《シスコンと姉妹と異世界と。》【第145話】北の幸⑦
「おにーひゃーん、ふぁいるよー」
ローズが頬をりながらってきた。が、途端に表が能面のように切り替わった。
「な、に、してるのかな?」
「なにって……」
自分の今の狀況を俯瞰的に捉えると……、マズかった。
布団の中にはだけ気味のサニーさんがいて、そのベッドの傍らに俺が立っているっていうのは、セーフとは言えないだろう。
不二子に突撃する直前のルパン三世、のような狀況か?
……姉さんに見られたら、短刀でも持ち出されて『介錯はしてやる』くらいのことにはなるだろうな。
「まぁ、おにいひゃんとひてはへいひょううんほうらもんね」
「は? どしたよローズ? とてつもなく舌足らずじゃねーか。悪口言われてるのかもしんないけど全く響かないぞ? 口炎か?」
一方、ショーたちに一波起きそうなことなどつゆ知らず、クラリスとアリスはガールズトークに興じていた。
「で、肝心な彼とは何か進展あったの!?」
「え? 彼って?」
Advertisement
「またまた惚とぼけちゃって……。ショーくんよショーくん」
「なななな、何言ってるの! そんな特別なは無いんだからっ」
そう言いつつもアリスの目は縦橫無盡に泳ぎ回り、わたわたとしている。
ダメな犯罪者でも取り調べでここまでにはならないと思われるレベルだ。
「下手くそか」
普段は主人とメイドの関係である以上アリスの方が上になるのだが、ことに限ってはそれは逆転する。かといってクラリスが二段飛ばしで大人の階段をステップアップしたとかいうわけではなく。
単にアリスがあと一歩を踏み出せないというだけである。
「だってさ、ちょっと前まで男の子っぽいじだったのに急にになるしさ」
「……」
「剣の修行に明け暮れてて家事も得意じゃなかったのに、ある日突然料理を教えてくれなんて言うじゃん?」
「……」
「ある程度形になってきたと思ったら、ショーくんに手作り弁當ときたもんだ」
「……」
「極めつけはキス」
「ッ!! アレはクラリスが」
「文字通り背中を押したってわけよ」
ひょんなアクシデントでショーとアリスが押し倒し押し倒されの格好になった所を、クラリスが上から『ドーン!』と乗っかる形で不本意ながら(?)二人はキスまでいってしまった。
「うぅ……」
「でもさ、ショーくんってアリスが好意を寄せてるってのにはまーったく気付いてなさそうじゃない? キスまでしてるのにさ」
「だからそれはッ」
「まあまあ。わたしは食堂で食べることも多いけどさ、教室でアリスたちが食べてるのを周りが見れば好きなのがバレバレなわけよ」
「……マジ?」
目が點になり、冷や汗がドッと押し寄せる。
「ショーくんが『味しい!』っていい顔して食べてるところをさ、アリスは『にへら〜』ってじで見てるわけよこんなじで」
「そ、そんな顔してないもん!」
「してるの。ローズちゃんが食堂でドカ食いしてるのも、アリスが原因の一端を擔ってるのは間違いないと思うわ」
ローズの鬼神の如き食いっぷりは、もう騎士校生徒教師陣の間では知らない者は居ないほど有名になっていた。
「でもっ、サニーもいるからわたしも……」
「負ける訳にはいかないって?」
「うん……」
サニーも手作り弁當をショーに食べさせたりしているわけで。それはもうローズの箸をかす手が休むことを忘れてしまうのは明らかだった。
「まぁでも、料理の腕はサニーちゃんの方が上だし」
「ハッキリ言わなくても……」
「しょうがないじゃん、歴が違うもの」
「うぅ……」
「だからさ、まぁ料理の腕の向上のために続けるにしても、別方向から仕掛けていかないとダメだと思うわけよ」
「別方向?」
「そ。線しちゃったけどさ、鈍樸念仁のショーくん相手に普通に押しても駄目なのよ。こっちが投げた分、向こうは謝と遠慮と多の卑屈さでもって引いてるようなじかしら」
「まぁ、なんとなく分かるかも……」
「まぁそれに関しては歳の差もなからず影響はしちゃうのかもね。『先輩の手を煩わせてる』的な発想をされててもおかしい事じゃないのだし」
「むむむ……」
「それに、あの姉妹もいるわけで。ローズちゃんはともかくとして、エリーゼちゃんはそういうのに厳しそうじゃない? 特にショーくんに対しては」
「だよねぇ……。ショーくん賭けて西部劇よろしく決闘でもした方がいいのかしら……」
「??? なんやかんやでショーくんの優先順位一位はその二人になってるわけだしね、普段の様子見てると」
「まぁでもその二人とはまさか関係に発展することもないし……」
「斷のってヤツよそこは」
「それはダメ!!!」
「そんな聲出さないでよ。耳キーンなってるわ……。他人の家庭事なんて踏み込んだことは知らないけどさ、実はの繋がってない義理の関係だった……とかさ。それを本人たちも知らないのよ。能小説とかでよく見かける」
「クラリスは普段から何読んでるのよ……」
「という訳でまぁ……、お気で男の子はイチコロだゾ☆」
バシーンとウインク付きでクラリスはそう提案した。
「クラリスってそんなキャラだったっけ?」
「………………………………埋もれないように埋もれないように、生き殘るための苦の策よ」
「クラリスも苦労してるのね……」
「「はぁ…………」」
この部屋だけは他の部屋より度が五割増になっていた。
【書籍化】探索魔法は最強です~追放されたおっさん冒険者は探査と感知の魔法で成り上がる~
※BKブックス様より第1巻好評発売中! リーダーやメンバーから理不盡なパワハラを受け、冒険者パーティを追放されてしまったおっさん冒険者ロノム。 しかし、趣味に使える程度だと思っていた探査と感知の魔法は他を寄せ付けない圧倒的な便利さを誇っており、全てのダンジョン探索がイージーモードになるような能力だった。 おっさん冒険者ロノムはその能力もさることながら、人當たりの良さと器の大きさもあって新パーティのメンバーや後援者、更には冒険者ギルドや國の重鎮達にも好かれていき、周りの後押しも受けながらいつしか伝説の冒険者と呼ばれるようになっていく。 一方、知らないところでロノムの探査魔法にダンジョン攻略を依存していた前のパーティーはどんどん落ちぶれていくのであった。 追放によって運が開かれたおっさん冒険者のサクセスストーリー。
8 67男子が女子生徒として高校に入りハーレムを狙っている件(仮)
表紙は主人公の見た目イメージです。お気に入り設定とコメントして下さった作者様の小説読みに行きます。花間夏樹という男子高生が高校に女子として入り、男の子に告白されたり、女の子と一緒に旅行にいったりする話です。宜しければお気に入り設定と コメントお願いします。
8 198最強になって異世界を楽しむ!
現代高校生の近衛渡は、少女を庇って死んでしまった。 その渡の死は女神にとっても想定外だったようで、現実世界へと戻そうとするが、渡は1つの願いを女神へと伝える。 「剣や魔法が使える異世界に行きたい」 その願いを、少女を庇うという勇気ある行動を取った渡への褒美として女神は葉えることにする。 が、チート能力など一切無し、貰ったのは決して壊れないという剣と盾とお金のみ。 さらに渡には、人の輪に入るのが怖いという欠點があり、前途多難な異世界生活が始まる。 基本的に不定期更新です。 失蹤しないように頑張ります。 いいねやコメントを貰えると勵みになります。
8 125最近追放される方が多いみたいなのでパーティーに誘ったら最強ハーレムパーティーができました!?
Sランク冒険者であるジェイクはソロであった。 もともとはパーティーを組んでいたのだがわけあって幼馴染と義妹とのパーティーを解消しソロで活動していた。 しかし彼がパーティーから、「女が剣士とかないわ」 というふざけた理由で追放された女剣士エイダと出會うことで物語は始まる。 これはジェイクとふざけた理由でパーティーから追放された冒険者との出會いそして成長…?の物語である! ⚠︎復讐は保険です。 あまり復讐物っぽくはおそらくですがならないとおもいます! タグにはありませんが割と主人公最強物です。 決して無雙ではないですがかなり強い部類ですし、ヒロイン達もめちゃくちゃ強いので主人公のパーティー最強物です! なろうのほうでも連載しています。(日間ランキング総合12位、ジャンル別7位ありがとうございます) コメントしてくれると喜びます。
8 53未解決探偵-Detective of Urban Legend-
警察では解決できない都市伝説、超能力、霊的問題などの非科學的事件を扱う探偵水島勇吾と、負の感情が欠落した幼馴染神田あまねを中心とする“解決不能“な事件に挑む伝奇的ミステリー。
8 93問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』
女性だけしかなれない精霊使い達の物語--- ――その國の王となるには、次期王候補者と精霊使いは、四つの屬性の大精霊と大竜神の祝福を受けなければならない。 『ニュースです。昨夜、銀座のビルのテナントの一室で起きた爆発事故で、連絡が取れなくなっていた従業員とみられる男女四人の遺體が発見されました。』 女子大生のハルナはMMORPGにどっぷり浸かった生活を送っていたが、PCパーツ貧乏となり親族のお手伝いで夜のアルバイトへ。不慮の事故により異世界へ転生し、精霊と出會う。 ハルナは失蹤した精霊使いの少女と似ていたため、この世界の事情に取り込まれていくことになる。
8 198