《シスコンと姉妹と異世界と。》【第154話】北の幸〜幕間〜God is……

「うお、またここか」

気が付くと、広がるは懐かしい景。

死んで転生の手続きを踏んだ時に訪れた場所だ。

全てが真っ白の中でを持つのは俺だけ。

この異が凄い。

「よく來たね、ショー」

「よく來たねってか。俺の意思じゃないんだけどな」

現れたのは自稱神の真っ白年アルビノ君。名前は知らないし、年齢もまるで意味をなすのか分からない。そんな存在。

良くいえば儚げ、正直に言えばったら折れそうなモヤシ。

そんな雰囲気を攜えた年だった。

「まぁ、僕が呼んだからね」

「なんでまた急に。別に今回は死にかけたわけじゃないんだし、わざわざ夢の中に化けて出て來なくても良かったじゃんか」

「別に化けて出てるつもりはないよ。ただただ、ヒマでしょうがなかった。だから君の中に來た」

「……、毎日は來ないでね?」

「そこまで寂しくないよ!」

「てか何、神様ってそんな暇なの?」

「いやー、実を言うとね。暇過ぎたから下界に降りて街を探索したりはしてるんだよね」

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「は? マジ? じゃあ俺とどこかですれ違ったりしてた可能もあるってこと!?」

「あったよ、そりゃ。人のない所に降り立ってもつまらないしね」

「あー、そりゃそうか。でもさ、付っつか案人のお前がこっちに來てる間に、俺みたいに死んだ人が転生……みたいな特殊イベントとかはどうなるのよ?」

「ゼロだよ? 死んだらノーチャンスで真っ直ぐに幽世行き」

「……俺、結構ラッキーな方だったのかな」

 こいつが付として居てくれたから第二の人生が歩めてるわけだし。

「ショーは最近どう? 妹は見付けられた? なんて言ったっけ? え、え、え……」

「枝里香えりかね。まーったく手掛かりなしだよ。まず學生生活送ってるから自由にき回ることも出來ないしな。學校行かないと」

仮に上手いこといって世間に名が知れても、『紅蓮』と『黃金』の長男坊として話題になるだけで、『草場翔一』としてどうこうなるわけじゃない。だから、どういう方向でアプローチしたらいいのかも分からないのだ。

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「まぁ、心配しなくても妹ちゃんが死んだって報は無いし、そもそもそれなりに強めの力を授けてあげたから簡単には折れないよ。力の矛先を自分に向けたら別だけども」

「なるほど。……、そだ。妹のこととは関係無く質問があるんだけどいいか?」

「僕の楽しみが削がれないのであればなんでも答えるよ。もちろん神様だから噓は無しだ」

アルビノ君はフンスと鼻を鳴らし、姉さんより無いを張ってそう答えた。

腰を據えて話をするために、俺は神の前だろうと関係無く胡座をかいて地べたに座った。

「魔……、この世界の悪を掌握して世界を牛耳ろうとした黒薔薇の魔。その魔が初めて使った特殊な力を『魔法』と呼ぶ。ここまでは合ってるよな?」

「そうだね。この世界で學校に通ったことのある者であれば必ず習うことだ」

うんうん、と頷きながらアルビノ君は語る。

正直、習ったかどうか怪しいのだが黙っておくことにした。

「魔ってさ、元日本人か? あと、それを打倒したとされるシュヴァルツ・ウインザーもそうじゃないのか?」

「正解」

「違うよねそりゃそうだよね、って? マジ?」

さらっとした返事過ぎて、ツルッと耳から抜けそうだった。

「でも二人が命を落とす瞬間、その亡骸。それらを観たものは誰一人としていないと言われてる。ここまでは學校や家で眠ってた古い書とかで目にした。でも実際今はどうなんだ?」

「どうなんだろうね?」

疑問を疑問で返された。そして、

「彼たちはハッキリ言ってイレギュラーだ。正直、管理者である僕の予想の範疇から飛び出ちゃったんだよ。だからその調査も兼ねて下界に降りるわけ」

「下界言うなよ自稱神。仮にもお前が作ったんだからせめて箱庭くらいの表現に留めとけよ」

「……、その忠告は素直にけ取っておく」

言い過ぎた自覚があって何よりだ。

「あとは何か質問ある?」

「そうだなぁ……。おさらいというかアレなんだが。この世界ってそもそもどうなってんの? 地球なの? 言語とか文化とかどうなの? ……読者向けに聞いておきたい。決して俺が學校での座學を、居眠りやら任務やらですっぽかしていて聞いてないわけじゃないぞ!?」

「多いよ! ちゃんと答えるから待って!! 若くないんだからいっぺんには覚えられないの!!」

年齢不詳の子供にめっちゃ怒られた。

「まず、形狀としては地球だよ。ちゃんと月も太もあるでしょ? ショーの居る場所は日本ベースのジャポネって國」

「そのままだな」

「考えるの面倒だったからね。で、四十七あった都道府県だけど、北海道、東北、北関東、南関東、甲信越、中部、四國、近畿、中國、九州。十の地域がそれぞれアメリカの州みたいになって、合衆國という形を取ってるよ」

「さらっと本音らすなよ、ほんと。とある魔神よりタチが悪いかもしれないからな?」

「で、まぁ言語はご存知の通り日本語が基本。ところどころ日用品だったり魔法だったりに英語がじるのは、日本から転生した先人たちがしていっただね」

になった人も、かっこよく英語で魔法を唱えたかったんだろうか。そう思うとなんだか親近が湧くから不思議だ。

「ナイフとかフォークとかそうだもんな。フォークとか馴染み過ぎて日本語に直す方が難しいわ」

「とまぁ、文化だったりのざっくりした説明はこんなとこだね。イメージした世界観としては、科學による進化をした日本とは逆に、魔法による進化をしたジャポネ。そんなじ」

「ふわっとし過ぎてなぁ。まぁ、言いたいことはなんとなくわかるけどさ」

「転生者からしたら不便だろうけど、それはその分ビジネスチャンスだと思えば、ね? えっと、アリスちゃんだったっけ。そのお父さんも々と前世での知識を活かして荒稼ぎしてるみたいだし?」

「まぁ、それもそうだわな。こないだこっちの世界のウチの妹も世話になってたわ、歯醫者」

あそこまで取りしたローズは新鮮だった。

思い出しただけでも、思わずにやけてしまいそうになる。

「條例違反レベルの顔になってるとこ申し訳ないんだけど、僕からも質問していい?」

「まだしてねえよ! で、質問とは?」

「うん。……今の生活、満足してる?」

「してるよ? ただ気になることはあってさ。この世界での目標みたいなのってあんの? ファンタジーものならさぁ、魔王を倒すとか世界を救うみたいな大層なものがあるけどさ。今のところ俺にはそれが無い。ノーヒントの妹探しってくらいなもんだよ?」

「でも、悪の魔結社が今の妹……、ローズちゃんの命を狙ってるじゃん?」

「そう言われるとシリアスなじは出るんだけどさ。実際のところその組織の人にもあったけど、実の叔母だったりバイト覚の教師だったり。なんかな……、そりゃ勿論いざとなれば何とかしなくちゃとは思うけど」

「魔復活を阻止したら、それはもう世界を平和に導いたってことじゃないのかな?」

「そんな大袈裟な……」

「ショーがそれをんでるって言ったのに……」

ちょっと拗ねやがった。

「つか、俺のこと翔一じゃなくてショーって呼ぶんだな?」

「あ、あぁー。もうショーって呼ばれなれてるだろうし? の方が良いかなーってね」

「ふーん……」

ジト目攻撃。陣の得意技を盜ませてもらった。

「な、何かな? 神を疑うようなその目は」

効果があるようだ。

「じゃあ聞くけど。もしこの先、ローズちゃんとエリーゼさんのどちらか二者択一の選択を迫られた時、君はどうする?」

「……、どの狀況で?」

「人質と要求の人。その人質の首には銃なりナイフなりが」

「…………、俺の命でどうにかなるならそうするけどな」

何故こんな心詰まるようなことを聞くのだろうか。そんなにジト目攻撃が堪えたのであれば、もうし直接的に怒るなりすりゃいいのに。

ひねくれ者にもほどがあるってばよ。

「まぁそうならないようにながら助力はするけどね!?」

微妙な空気を察したのか(自分でやったくせに)、ちょっと聲を大きめにして神が言う。

「干渉していいのかよ?」

「だって神だし。自分のやりたい事を通しきるのが神らしさだから」

ドヤ顔でそんな事を言われた。

が忙しいなぁほんと。

「まぁ、そん時はよろしく頼みますよー」

「なんで棒読みなのかな!? 神を信用しないのか!? それは罰當たりだぞ! てか當てるぞ!! ショーがこれ以上びなくなったり、お姉さんの長が止まったりするんだ! それでもいいのか!?」

「んな脅し方アリかよ! てかんなピンポイントに狙うんじゃねえ! ただでさえBカップあるかないかのところでなやんでるんだぞ!!」

姉さんの前で、こんなこと話し合ってたらまず祭りにあげられるな……。

「よし、もう今日は帰って良いぞ」

「どの口が言うんだ!?」

そんなこんなで目を覚ます。

「あれ? なんで姉さん?」

顔が真っ赤なんだけど。

もしかして聞かれてた系? んでブチ切れてる系?

いやいや、夢の中の話だしなアレは。へいきへいき。

「まぁ、お前も寢ていたんだろうし悪気は無いのだろうが。姉の腰に抱き著いて押し倒すというのはなかなかだと思うぞ?」

この後五分間、俺は土下座を続けた。

アイツの仕業だろうか……。

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