《シスコンと姉妹と異世界と。》【第162話】北の幸23
「なんで起こしてくれなかったの!?」
朝飯前に風呂にった俺は、使ったタオルを置きに部屋へと一旦戻ってきた。
そこでアリスさんからそんなことを言われたのだった。
「おはようございます、アリスさん」
まずはこっちが先でしょう。
「お、おはようございます……、って違くて!」
「何が違うんすか? 特に何かアリスさんに対してやらかした記憶は無いんですけど……」
酒をあおったわけでもないので、一晩の過ちみたいなのももちろん無いのですけど。
「隣で寢てたんだから、ショーくんが起きたら起こしてくれたっていいじゃない」
それはどうなんだ?
まず不法侵して來たのはアリスさんで、隣で寢たのもアリスさんの勝手。俺の知らないところで全てが進んでいたのだが。
それに……。
「アリスさん、昨日俺に何かしました? 起きたら左腕がねぶられたかのように赤くなってたり歯型付いてたり」
「わわわわわ! それじゃショーくん、また食堂でねー!」
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ピューっと嵐のように去っていかれた。
「……おはよ、ショーくん」
アリスさんが出ていくタイミングを見計らっていたのか、洗面所から出てきてサニーさんが聲を掛けてきた。
「おはようございます」
「あの……、さっきのなぶられた云々の話は本當?」
「うーん、わざとなのか、ただ寢相悪くてたまたま涎が出ちゃっただけなのかはわかんないんですけど。まぁちょっとそのまま放置しておくわけにもいかないくらいだったので、お風呂にってきた次第です」
「そっか。まぁアリスならどっちの可能も否定出來ないね。ただ、本人の前では『涎が付いてたからお風呂行ってきた』なんて言っちゃダメだよ?」
「さすがにそんなこと言えませんて!」
そんなこんなで、所変わって食堂へ。
朝食のシステムとしては、日本でもよくある食べ放題式を採用していた。
ただ通常のビュッフェ形式とは異なり、テーブルには値段表記の無いメニューが置かれていて、注文をけた後に出來立てを持ってくるということらしい。
高級志向と食べ放題の両立を図ってこうなったのだろう。
ただ、結論から言って今日に限っては失敗であると言いきれる。
何故なら顧客にローズが含まれるからだ。
まだ材料が完全に揃っているわけではないので、近場で仕れられたもので料理を作ってくれるらしい。
正直なところ、まだ食堂の裝だったりも完璧に仕上がっている訳では無いのだし、適當にオムレツとトースト、コーヒーが並べてあれば個人的には満足だったのだが。
アリスお嬢様一行となれば、スタッフさんたちも譲れない部分があるらしく……。洗いが凄いことになるのが目に見えているだけに、後ろめたさ、申し訳なさが無意識のうちにのしかかってくる。
食べるけども。
スタッフさんに案されるままに席に著くと、もう、俺以外の全員が揃って座っていた。
そのままスタッフさんが説明を始める。
「基本の前菜、をお楽しみいただいた後、手書きで申し訳ないのですが、こちらの品書きにある十品をご満足頂けるまで堪能していただきます。勿論、前菜やのおかわりも何なりとお申し付けくださいませ。また食後にはデザートとしてプリンをご用意致しておりますので、是非ともそちらも楽しんでいただけたらと思います」
「「「……」」」
一同、黙って聞いていた。
プリンについては、さえあれば簡単に作れるスイーツとして、各家庭においても作られているほどにポピュラーなものとしてこの世界に付いている。
當然、騎士校の食堂にもメニューとしてねじ込んである。
普通の卵とカラメルのスタンダードなものに加え、お茶を使った抹茶(風味)プリンだったり、チョコだったりを食堂のおば、お姉さん方に自ら提案し、見事承認されたのだ。
「それでは、暫くお待ち下さいませ。五分ほどで前菜をお持ち出來ると思います」
そう言い殘してスタッフが下がる。
 「何が出てくるだろうな?」
姉さんも期待に目を輝かせている。
「大最初は野菜が多いかな」
と、アリスさん。
試食も擔當することが多いからか、こういったコース(形式)料理に慣れているようだ。
俺なんか日本時代を含めたってコースの店なんかったことがない。日本の母親はママ友と出掛けてたりしてたっけか……。オシャレなランチコースを堪能してたりしてたはずだ、羨ましい。
「野菜かぁ……」
どこか気落ちしたようにサニーさんが呟く。
「野菜、嫌いなんですか?」
食べれないものが嫌い、というローズが聲を掛けていた。
「によるのよ。辛い野菜ってたまーにあるじゃん? それがダメなの」
「辛い?」
「的なところを挙げると、大とかカイワレとか玉蔥とかを生で出されるとツラいかな……」
あ。
「お待たせ致しております。前菜のサラダでございます」
青年が歩いて來、スッと音を立てること無く、皿を全員の前に並べる。
「おまかせサラダ、でございます。本日は近くの市場で仕れられた大、玉蔥、玉菜キャベツを使っております」
見事なフラグ立てからの回収までの一連の流れだった。
サニーさんは喜びの余り震えているようだ。
……、ここは黙っておこう。
「こちらをおかけになってお召し上がりください」
といってスプーンのった容(洋食屋で見掛けるカレーのルーがってる、魔神が出てくるランプみたいなやつ)を置いた。
「ごま油と塩、醤油をイイじに合わせたものでございます」
「イイじときたか……」
微妙な表現に思わず聲がれる。
ガチなドレッシングはまだ開発されていないようだ。
ソースは以前文化祭で使わせて貰ったけど。
「それでは、ごゆっくりどうぞ」
綺麗なお辭儀とともに颯爽と席を去っていく。
「「「いただきます!」」」
全員アイコンタクトだけで意思の疎通が図れたのか、綺麗に聲がハモった。
「うん、ハズレないわな」
「そこは味しいって素直に言ってほしいのだけど」
思わずれた正直な想に、アリスさんから釘を刺されてしまった。
「味しいです!」
「はい、よろしい」
「う〜……」
唸るのは當然サニーさん。
いただきます、と言ったもののまるで手を付けた様子が無い。
「苦手なら、私が食べちゃってもいいですか?」
ローズが救いの手を差しべた。
ただの食ってだけかもしれないが。
「うん、よろしく頼むね……」
「いっただきまーす」
本日二回目のいただきますから五分後、ローズはきっちりと二人分のサラダを平らげたのだった。
これ以降特にこれといった特筆事項も無く食事が済んだ。強いて挙げればローズ専屬のウェイターが急配屬されたことくらいだ。
「また來ようね!」
とのローズの聲に、廚房全がビクッとなった気がした。
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