《シスコンと姉妹と異世界と。》【第164話】北の幸25
「帰りたい……」
若干やつれたローズが半泣きになりながら呟いた。
サニーさんにガッツリ摑まって歩いている。
保育園の學式かな?
「いやー、まさかローズちゃんがお化けが苦手だとはね……」
サニーさんもお疲れのご様子。
道中出くわした人魂みたいな怨念の集合がよほど怖かったらしい。
文化祭のお化け屋敷の時はそんなにガチで怖がる事なんか無かった気がしたけど、本は違ったのだろうか。
なんとなくローズに集まって來ていたようにも見えたのだが、あいつは別に聖職者プリーストじゃないし……。
でも魔教の人たちが言うように、魔の因子の象徴たる赤髪には、そんな隠し能力があってもおかしくないのかもしれない。
「アリスさん。実際ここまで歩いてきたわけですけど、なんか巣って言えるほどではなくないですか? 出てくるのも基本的にゾンビ系ってじだし……。出てきてもスライムくらいで」
「そんな不用意にフラグ立てなくて良いんだけど……」
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引き気味なアリスさんのツッコミ。
「いや、てっきり四つ足の獣的なのが出るのかと思ってたから……」
「そこまで指定するとフラグとしてはダメかも……」
フラグ専門家、アリス。ここに誕生である。
なんか狼の魔みたいなのに出てきて貰って、サクッと倒してローズの願い通りに帰ってあげたかったんだけど。
そんなことを考えていると。
「ねえ、ショーくん、アリス! ここの奧に何かありそう!」
という無邪気なサニーさんのお聲が。
「「……」」
お前のせいだ的な視線をアリスさんから向けられるが、まぁそれはそれとして。
「ふむ……、調査となれば一応は確認しておかなければならないか」
割と乗り気なのが姉さんで、これではもう止められる気配をじない。
同じ考えに至ったのか、ローズがトテトテと寄ってきて。
「お兄ちゃんが一気に調べちゃった方がいいんじゃない?」
なんてことを耳打ちしてきた。
「なんで……俺?」
疑問をぶつけられずにはいられなかった。
納得のいく答えが出てきたら出陣を検討しよう。
「何かしらの罠があった時、に対処できるのはお兄ちゃんだと思うの」
「お前本當に十一歳なのか? ……、わかったよ」
「將來大になるわね……」
というアリスさんの呟きがやけに耳に殘った。
ンなわけで、その奧の方に來たわけですけど。
「明らかに人工的なスペースが……」
「ここの中に何かしらがあると思うんだけど……」
サニーさんの中では不安よりも好奇心が勝っている。
「なんとなくそれっぽい大きめの箱はありそうだけど、中までは見えないな……」
アリスさんの元日本人チートスキル、五の鋭敏化をもってしても見えないのであればもうカチコミかけるしかないだろう。
「姉さん、ローズ。俺が死んだらなんとか骨だけは連れ帰ってね」
「はーい」
「任せておけ」
「あれ? スルー? そこは普通突っ込むところじゃ……」
「良いからさっさと行ってこい。わたしたちは一旦下がって後ろを護っておくからな」
姉さんに理的に背中を押されて、獨り人工的な部屋に向かって歩く。
「まだ何もないですー!」
聲を張り上げて報告すると、
『今いる口から六歩いって右に九十度回転。そのまま壁に突き當たりまで行ってみて。確実に何かがあるから』
そんなアリスさんの聲が突如として脳で響く。
サニーさん得意のテレパス魔法だった。
言われた通りに歩を進めると、壁の一部に弾痕のような凹みが無數に出來ていた。
だが、この世界に來てからは一度たりとも拳銃を見たことがない。
日本からこの世界に來た誰かが銃を持ち込んでいて、その試し撃ちをした?
そんな可能もゼロではないだろうが、だとしたらこんなに等間隔で何らかの規則に従ったような形になるのか?
分からん。
分からないから、俺は結局スルーすることにした。
「何もない。何も無いんですけどー! それらしい箱も見當たらないです!」
聲を張り上げると。
『え、ホントに? ……そしたら、わたしたちも合流するから、かず待っててね』
し拍子抜けしたような聲だったが、言ってる事は『余計な事をするな』とのことだった。
まぁ、変に壁ったりしてスイッチ押しちゃう、なんて事になったら笑えない。
押した途端パカっと足元が開いて落としとか、スイッチ押し込んだ手が真実の口よろしく喰われるとか。
後者に限っては腕ぶった斬ってもらって、再生させればことは済むのだろうが、痛いのは嫌だ。
人間だもの。
とりあえずかないまま二分くらいして、この人工的な區畫にアリスさんたちも合流した。
何故か怒りマークが浮かんでいるようだが。
「ショーくん、あれだけ釘を刺したのに何やってるの?」
アリスさんの剣幕に、後ろの他三人が目も合わせてくれない。
「えっ?」
「これ何?」
アリスさんが床をたんたんと踏みながら、その床を指差した。
その先には。
「魔法陣……!?」
赤黒いのようなもので描かれた魔法陣があった。
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