《シスコンと姉妹と異世界と。》【第168話】北の幸27
「痛っつー……。あ、ありがとうございます」
差しだされた手を握り、壁から離れて立ち上がる。
どうやら封印らしきものは解けたようだが、棺は消滅しなかったみたいだ。とけない氷で作られているのだろうか?
「あなたが私を助けてくれたのね。ありがとう、謝してるわ」
「「「「「!!!?!???」」」」」
そう言うなり俺の頭に手を回し寄せ、がっつりマウストゥマウスでキスをしてきた。
その人は、さっきまで氷の中で寢かされていた(?)そのものだった。
「ふふ。有り余っているのね。し回復させてもらっちゃったわ」
「この……め……」
姉さんが激おこぷんぷん丸でいらっしゃる。
なんて言ってるのかも微妙なところで、口からシュコーって白い息が出てそうだ。
腰に下げた剣にりながら近付いてくる。
「ぬっ!?」
しかしどんなに力をれたところで、剣と鞘がくっ付いてしまって離れないようで。
「しーっ」
魔サキュバスのお姉さんがに指を當てて、種明かしはしちゃダメだよとの合図。
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妙に人間らしい仕草だが、人の気を吸って生きると言われる質上、人に取りるためにはそういうのも必須スキルなのだろうか。
「おほん。単刀直に聞くけど、貴方は何者なの?」
「まずは自分の自己紹介がこういう時は先じゃないかしら?」
「…………、ここの窟付近で魔の活が盛んになってきたってことで、調査に來たアリスよ」
「わたしは……そうねぇ、フェリ。フェリ・アナスタシア。以前は氷の王のアナ、なんて呼ばれていた気がするわ。アナと呼んでくれて構わないわよ」
いや、それはダメだろ通り名付けた人……。
完全にアナと○の王じゃんか。意識するじゃんか。
「フェリさんと呼ばせてもらうわね」
アリスさんも同様の懸念を覚えたのだろう。
見事にアナ呼びを回避した。
「で、フェリさん。貴方はここで何をしていたの?」
ズバッと本題にる。
「わたしが何をした、と言うよりはされていたというのが正しいわね。あなたたちも見たでしょ? あの氷の檻を。そこの彼が助けてくれなかったら、何時まで眠らされっぱなしになったか分かったもんじゃないわ。それで……」
フェリさんはひと呼吸置いて。
「數多くあったであろう試練を乗り越えてわたしの封印を解いたんだ。君はわたしと契約しに來たんだろう?」
どうしよう。偶然、二分黙ってただけなんて言いづらいんだけど。
目線をローズへと向ける。
「契約って、何のことですか?」
悪びれることなく、臆することなく妹は言い切った。
「えっ?」
むしろフェリさんの方がビックリきてるような。
「わたしと契約しに來たんじゃないの?」
「はい。わたしたちはフェリさんについて何も知らないままここへ來ただけですから」
「本當に!? それなのにわたしは獨りで契約とかなんとか言っちゃって盛り上がってたなんて……」
「ちょっ、フェリさん! 微妙なじになったからって棺に戻ろうとしないでください!!」
「止めないで! 久しぶりに人と會ったからって舞い上がっちゃうなんて霊失格だもの!!」
俺はフェリさんの話を無視して、羽い締めにして棺から引きずり出した。
「はーい、契約立ネ♡」
「「「は?」」」
一同、ポカンである。
こんな良くわからない不當な契約もそう無いと思うのだが。
「わたしとの契約の條件は一日以に二回以上、を重ねることよ」
「なっ!?」
姉さんが初心うぶな反応を見せる。
「いや、言い方よ」
俺は生前高校三年まで生きていたし、この程度で心は揺らがない。
「……、的にはどういうこと?」
ふとサニーさんが尋ねた。
「職業病というかなんというか、わたしたちは人の気を糧にしなきゃいけないわけなんだけど。一度目は生きるために。でも、二回戦までいくのは本気になった人だけ。同じなら、何となく分かるんじゃないかしら?」
「分かるかもしれない……」
「噓だろおいっ!?」
妹のまさかの呟きに、揺を隠せなかった。
「わたしだっての端くれなんだからね、お兄ちゃん。心ってやつだよ!」
「大した妹さんなのね」
「將來大になりそうですよね、ほんとに……」
「お兄さんも々大変なのね」
「ほんとに……」
「そこは否定するところでしょ!?」
フェリさんとの軽快なやりとりに、ローズがつっこむ。
いや、実際お前の兄貴ってのは々大変なとこもあるよ?
例えば、食事に行った店に後日顔出して頭下げて、店の手伝いさせてもらったりのアフターフォローとか……。
「ん、んっ。話が逸れた。本題にそろそろ戻ろう」
姉さんが咳払いと同時に普段より聲のトーンを下げていた。
さっき揺したのが気になっているのだろうか。
「えっと、なんだったかしら?」
「契約の話っすね」
「ああ、そうだったわね。ついついおしゃべりが楽しくなっちゃってしまったわ」
「まるでババ」
ズバチィ!!!!
と目の前に紫電一閃。目の前の地面が抉り取られていた。
「二度目は無いわよ? 霊に年齢のことは句よ? 特にの場合はね。覚えておきなさい?」
「は、はい!」
「で、契約についてだけど。これは特に書類をわしたりするものでもないし、ましてや命を共有したりなんてこともないわ。ただわたしが、この人が気にったから付いて行こうっていうだけ」
なんだよ。桃太郎とその家來たちとさほど変わらないくらいの関係なのかよ。
「さらっと告白みたいな事言った……」
サニーさんが呆然と呟く。
「え!? あ、いや、別にそういうのじゃなくて! うぅー……」
「だー! 待て、だから棺に戻ろうとすんじゃねえよ!」
「あっ……」
「手がれただけで照れるなよ!? あんたさっきいきなりキスしてきてるんだからな!?」
「はわわわ……」
フェリさんがもうこれまでにないくらい茹で上がった。
「魔サキュバスなのに案外初心というか、純ピュアというか……」
困した様子でアリスさんが言う。
「と、とりあえず契約容の確認をしましょ」
失態を取り繕うかのようにフェリさんは背筋をばして正座した。
ので、俺らも各々地面に腰を下ろした。
「わたしは貴方に絶対服従。やれと言われれば出來ることは全てやるわ」
絶対服従の相手に向けてさっき凄い雷飛ばしてきたんだな……。
「もちろん、夜のお供もね?」
「……」
今までこんなに大きく唾を飲む音がじられたことは無かった。
「……、その代償は?」
死神と契約すると壽命半分持ってかれる、なんて話もどっかで聞いたことあるしな。
「子種の提供」
ド直球過ぎてさすがに軽く引いた。
「と言いたいところだけど、見たところまだ人もしてなさそうだし。活するのに最低限必要な魔力マナを供給してくれればそれでいいわ」
「魔力の供給?」
アリスさんが尋ねる。
大概サキュバスの魔力供給と聞いて思い浮かべるのは大抵アレだ。だからこそ確認すべきと判斷したのだろう。
「そ。の昂りによって活化された魔力をちょこっと吸わせて貰うのよ。味しいもの食べて幸せ! って時に魔力を貰えばわたしも幸せな気分になるしね。勿論魔らしく夢を見せて無理やり昂らせて魔力を貰うこともあるかもだけどね〜」
でも昂った狀態のところからそのを吸われたら、ある種の賢者モードみたいなじになるんじゃないのか?
夢はたまにでいいや……。
「そしたら、これはご主人様の周りの人に対しての話なんだけど……」
「ちょっと待ってて」
「どうしたの、ご主人様?」
一旦、CMです。
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